この間、さまざまな専門の方々に危機管理に関する意見を聞いております。
それをいくつかご紹介します。
1.災害の進行に伴う3段階
災害には3段階があるのだそうです。
「発災期」、「復旧期」、「復興期」 の3段階です。
今回の震災では、大地震と大津波という災害が広範囲にわたって襲いました。
その傷跡はあまりにも激しく、復旧にはまだまだ手間取りそうです。
電気、通信すらまだ通っていないところがあり、ガスや水道もまだまだです。
そしてなんといっても交通、輸送の復旧が信じられないほど遅れています。
それによって物資の流れも極端に悪くなっています。
東北から関東の多くの地域は今、そういう長くツライ 「復旧期」 を過ごしているわけです。
復興の時期を迎えるのはまだ先のことでしょう。
しかし、例外があります。
復旧どころか、まだ発災中のところがあるのです。
そうです、福島第一原発の問題です。
ここでは11日からトラブルが発生し始めて、
その後時間の経過とともにさらなるトラブルが続発し、
被害がじわりじわりと広がりつつあります。
あの大津波が町を呑み込んだスピードとは正反対に、
目に見えない形で本当に少しずつゆっくりと周辺に広がっていっているのです。
最初は3キロ、次に10キロ、そして20キロ、30キロと波が押し寄せています。
今のところ30キロのところで止まっているかのように思えますが、
それはこの災害が目に見えないからであって、
国際社会の評価では、30キロなんかを軽く超えて、
さらに災害範囲は広がっているという見方が主流のようです。
日本政府のトップや当事者である福島県がそうは判断していないというだけのことであって、
実際のところ放射線被害の波がどこまで押し寄せているのかは計りしれません
しかしいずれにせよ、福島県において災害が現在進行中であることはまちがいありません。
福島県はまだ復旧でも、復興でもなく、発災の最中なのです。
2.予防原則
復興支援のエキスパートの方によると、復興支援は復興期にするべきことなので、
発災中である現在はきちんと身を守ることのほうが大事なのだそうです。
けっして私の行動を正当化しようと思ってこの話を紹介しているわけではありません。
専門家の判断として、今はそうすべき時期だということです。
そして、その方の話によると、この時期に大切なのは 「予防原則」 だそうです。
津波が本当に来てから、津波を自分の目で見てから逃げるのではなく、
津波注意報が出されたら、たとえ来ないかもしれなくとも高台に逃げなければいけないのです。
もしも来なかったら、来なくてよかったねと笑って戻ればいいのです。
それを怠ってしまうと、本当に来てしまったときに逃げ遅れてしまうのです。
その方によると、「予防原則の立場に立つのであれば、
どうしてもそこにいなくてはならない理由、そこでなくてはならない理由がないのであれば、
そこを去るという判断をするのが賢明だろう」 とのことでした。
また、原子力の専門家の方にもお聞きしたのですが、
では今回の原発の問題で 「予防原則」 に立つとするとどの程度の人が避難するべきか。
これは、専門家でも難しい判断だそうなのですが、
現在の20キロ圏内避難、30キロ圏内屋内退避というのは明らかに不十分で、
全体に風は海上に向かって吹いているはずなのに、北西に位置する福島市でも、
10マイクロシーベルトパーアワーを超える放射線が観測されているので、
やはり少なくとも米軍が出した、
80キロ圏内避難命令というぐらいが適切ではないか、とのことでした。
ちなみに、内田樹氏は 「疎開のすすめ」 という一文を書き、
東日本一円の人に西日本への疎開を勧めていました。
これはちょっと煽りすぎかもしれませんが、
予防原則に立つならばそれくらいでもいいのかもしれません。
「その備えが結果的に無駄だったとしても、それは非とされるべきではない。
むしろ喜ぶべきことである。」
3.避難距離よりも避難回数
同じ原子力の専門家の方によると、
現在は、最低限の想定範囲の人に避難を指示し、
その人たちは避難圏から外れたすぐ近くのところに避難しているわけですが、
これはチェルノブイリのときとまったく同じ構図なんだそうです。
あのときの悲劇からまったく何も学んでいないと怒っていらっしゃいました。
最初の避難民は、やっとの思いで避難したのに、
次々と、避難先を遠方へ遠方へと移動させられたのだそうです。
それに対して原発について知識のある人や原発関係者たちは、被害の拡大の可能性を意識して、
最初から、用品準備をして、思い切って遠方に移動していたのだそうです。
最初から、大きく事故エリアから離してあげることが、
被災者のたび重なる移動をせずにすみ、結果として、楽になるのだそうです。
また、避難先を近くにしてしまうと、避難指示エリアが拡大された場合、
避難してきた人と、拡大された避難指示エリア内の人が、
二重になって新たな避難所に駆け込むという、難しい状況が生じるとのことでした。
避難距離よりも、避難回数の方が、被災者にとって大きな負担になるので、
最初から、思い切って遠隔地に避難させてあげたほうがいいのだそうです。
福島市では、今、福島大学をはじめとして各学校で被災者の受け入れを行っています。
その対応に当たっている方々の御苦労や善意は本当に素晴らしいと思いますが、
上述したように、まだ現に発災中であるときに、
しかも他の地域に比べて放射線値の高い福島市に受け入れてしまうことは、
結果的に被災者の方々にご負担をかけてしまうことになるのではないかと心配です。
トップの方々の冷静でかつ大局的な判断を望みたいところです。
それをいくつかご紹介します。
1.災害の進行に伴う3段階
災害には3段階があるのだそうです。
「発災期」、「復旧期」、「復興期」 の3段階です。
今回の震災では、大地震と大津波という災害が広範囲にわたって襲いました。
その傷跡はあまりにも激しく、復旧にはまだまだ手間取りそうです。
電気、通信すらまだ通っていないところがあり、ガスや水道もまだまだです。
そしてなんといっても交通、輸送の復旧が信じられないほど遅れています。
それによって物資の流れも極端に悪くなっています。
東北から関東の多くの地域は今、そういう長くツライ 「復旧期」 を過ごしているわけです。
復興の時期を迎えるのはまだ先のことでしょう。
しかし、例外があります。
復旧どころか、まだ発災中のところがあるのです。
そうです、福島第一原発の問題です。
ここでは11日からトラブルが発生し始めて、
その後時間の経過とともにさらなるトラブルが続発し、
被害がじわりじわりと広がりつつあります。
あの大津波が町を呑み込んだスピードとは正反対に、
目に見えない形で本当に少しずつゆっくりと周辺に広がっていっているのです。
最初は3キロ、次に10キロ、そして20キロ、30キロと波が押し寄せています。
今のところ30キロのところで止まっているかのように思えますが、
それはこの災害が目に見えないからであって、
国際社会の評価では、30キロなんかを軽く超えて、
さらに災害範囲は広がっているという見方が主流のようです。
日本政府のトップや当事者である福島県がそうは判断していないというだけのことであって、
実際のところ放射線被害の波がどこまで押し寄せているのかは計りしれません
しかしいずれにせよ、福島県において災害が現在進行中であることはまちがいありません。
福島県はまだ復旧でも、復興でもなく、発災の最中なのです。
2.予防原則
復興支援のエキスパートの方によると、復興支援は復興期にするべきことなので、
発災中である現在はきちんと身を守ることのほうが大事なのだそうです。
けっして私の行動を正当化しようと思ってこの話を紹介しているわけではありません。
専門家の判断として、今はそうすべき時期だということです。
そして、その方の話によると、この時期に大切なのは 「予防原則」 だそうです。
津波が本当に来てから、津波を自分の目で見てから逃げるのではなく、
津波注意報が出されたら、たとえ来ないかもしれなくとも高台に逃げなければいけないのです。
もしも来なかったら、来なくてよかったねと笑って戻ればいいのです。
それを怠ってしまうと、本当に来てしまったときに逃げ遅れてしまうのです。
その方によると、「予防原則の立場に立つのであれば、
どうしてもそこにいなくてはならない理由、そこでなくてはならない理由がないのであれば、
そこを去るという判断をするのが賢明だろう」 とのことでした。
また、原子力の専門家の方にもお聞きしたのですが、
では今回の原発の問題で 「予防原則」 に立つとするとどの程度の人が避難するべきか。
これは、専門家でも難しい判断だそうなのですが、
現在の20キロ圏内避難、30キロ圏内屋内退避というのは明らかに不十分で、
全体に風は海上に向かって吹いているはずなのに、北西に位置する福島市でも、
10マイクロシーベルトパーアワーを超える放射線が観測されているので、
やはり少なくとも米軍が出した、
80キロ圏内避難命令というぐらいが適切ではないか、とのことでした。
ちなみに、内田樹氏は 「疎開のすすめ」 という一文を書き、
東日本一円の人に西日本への疎開を勧めていました。
これはちょっと煽りすぎかもしれませんが、
予防原則に立つならばそれくらいでもいいのかもしれません。
「その備えが結果的に無駄だったとしても、それは非とされるべきではない。
むしろ喜ぶべきことである。」
3.避難距離よりも避難回数
同じ原子力の専門家の方によると、
現在は、最低限の想定範囲の人に避難を指示し、
その人たちは避難圏から外れたすぐ近くのところに避難しているわけですが、
これはチェルノブイリのときとまったく同じ構図なんだそうです。
あのときの悲劇からまったく何も学んでいないと怒っていらっしゃいました。
最初の避難民は、やっとの思いで避難したのに、
次々と、避難先を遠方へ遠方へと移動させられたのだそうです。
それに対して原発について知識のある人や原発関係者たちは、被害の拡大の可能性を意識して、
最初から、用品準備をして、思い切って遠方に移動していたのだそうです。
最初から、大きく事故エリアから離してあげることが、
被災者のたび重なる移動をせずにすみ、結果として、楽になるのだそうです。
また、避難先を近くにしてしまうと、避難指示エリアが拡大された場合、
避難してきた人と、拡大された避難指示エリア内の人が、
二重になって新たな避難所に駆け込むという、難しい状況が生じるとのことでした。
避難距離よりも、避難回数の方が、被災者にとって大きな負担になるので、
最初から、思い切って遠隔地に避難させてあげたほうがいいのだそうです。
福島市では、今、福島大学をはじめとして各学校で被災者の受け入れを行っています。
その対応に当たっている方々の御苦労や善意は本当に素晴らしいと思いますが、
上述したように、まだ現に発災中であるときに、
しかも他の地域に比べて放射線値の高い福島市に受け入れてしまうことは、
結果的に被災者の方々にご負担をかけてしまうことになるのではないかと心配です。
トップの方々の冷静でかつ大局的な判断を望みたいところです。