さすがは看護教員養成講座の皆さんです。
教育関連の質問もたくさんいただきました。
前回お答えした 「Q.子どもの頃から話すのが得意だったんですか?」 とも関連する質問です。
ほとんどかぶっていますので、本当は一緒にお答えしてしまおうかと思ったのですが、
毎度のごとく、話が長くなってしまいましたので、分割させていただきました。
こちらの質問は正確には次のような質問でした。
「人に教える時、緊張しませんか? すごく緊張して、授業に不安を感じます。」
とてもよくわかります。
前回書いたように、人前で話すだけだって緊張してしまうわけですから、
さらにただ話すだけではなくて、何かを教えなければいけないとなったら緊張するのは当然です。
これに対しては以下のようにお答えすることにいたしましょう。
A.最初はものすごく不安で、ものすごく緊張していました。
しかし、最近は慣れてきてあまり緊張しなくなりました。
けっきょく慣れの問題でしょうか。
ただし慣れるには相当、時間がかかるかもしれません。
私は学生時代に家庭教師をやり、院生時代に塾講師をやっていたのですが、
それでも教えるということに慣れることはなく、大学で教え始めたときはやはり緊張しました。
私は教員免許をもっていないので、教育実習に行ったことがありません。
皆さんは教育実習にも行くとうかがいましたが、
そりゃあ緊張するでしょうねぇ。
最初っから緊張しないで授業ができる人なんていないでしょう。
緊張するのが当たり前なのです。
教えるというのは高度な文化であって、本能によって行える行為ではありませんので、
それをしようと思ったら、生物学的、本能的に緊張して当たり前なんだろうと思います。
しかし、その文化に習熟してくればいずれ緊張しなくなるのです。
喩えて言うならば、初めて自転車に乗るとき、初めて自動車を運転したとき、
誰もがみんな緊張して、不安を覚えたはずです。
しかし、慣れてくるうちにいつしかその不安や緊張はなくなってきて、
もういちいち緊張したりはしなくなっているのではないですか。
教育という仕事もいずれはそうなります。
ただし、自転車や自動車の運転に比べて、人に教えるというのははるかに高度な文化ですから、
これに慣れるのには長い時間を要するのです。
とはいえ、時間の問題だと言ってしまうと、皆さんには何の救いもないかもしれません。
それでも時間の問題だとしか言えないのですが、
できるだけ不安や緊張を少なくするために、そして慣れる時間を短くするために、
先輩教育者としてアドバイスしてあげられることがあるとしたら、
以下のようなことになるでしょうか。
・緊張するのが当たり前だと自分に言い聞かせ、緊張することを怖がらない。
・上手くできないのが当たり前なのだから、最初から上手くやろうなどと思わない。
・学生たち全員を満足させられるような授業なんてできるわけないけれども、
クラスの中には必ず数名は目をキラキラさせて聞いてくれる子がいるので、
とりあえずその子たちだけに向けて話すようにする。
・自分がどう教えるかということに意識を向けるのではなく (自己意識)、
学生たちがどう学んでいるかということに意識を向ける (対象意識)。
・しかも、学生たちに自分や自分の授業がどう思われるかではなく (自己意識)、
まずは学生たち1人1人がどんな子であるのかに意識を向ける (対象意識)。
・ほかの人の授業と自分の授業を比べたりしない。
・ほかの人の授業のいいところ、使えそうなところはどんどんパクる。
最初の2つは、自らの欲求・欲望や精神状態をコントロールするという話です。
3番目は、私が教え始めたときに先輩教員の方からいただいたアドバイスです。
最初のうちこれは大変役立つと思います。
ただし、このキラキラお目々の学生たちというのは、授業をちゃんと理解してくれているとは限りません。
こういう子たちは先生受けはよく、贔屓してしまいたくなりますが、
本当の優等生は外見は全然人の話を聞いていなさそうに見えたりするものです。
4番目、5番目はコーチングの理論を応用しています。
自転車や自動車をフツーに上手く運転しているときって、意識は自分の手足ではなく、
道路や他の車や歩行者など自分の外の対象物に向けられていますよね。
自分に意識を向けてしまうと何事もぎこちなくなってしまうということです。
最後の2つは大学のFD (教育改善活動) に携わってきて思ったことです。
論文とかだと盗作は禁物ですが、授業の場合はいくら盗んでもいい。
というか、いくら盗んだってけっきょく、相手の授業をそのまま再現することはできず、
どうやったって自分流の授業になってしまうのです。
だから、いろんな人の授業実践を見せてもらってどんどんマネしてみたらいいと思います。
上手くいったらどんどん応用し、ダメならすぐにやめて別のを探せばいい。
カントは 「教育は実験である」 と言っています。
誰も正解は知らないので、いろいろやってみて試してみるしかありません。
その実験が落ち着いた頃には、自分なりの教育スタイルが確立して、
緊張することもなくなっているでしょう。
教育関連の質問もたくさんいただきました。
前回お答えした 「Q.子どもの頃から話すのが得意だったんですか?」 とも関連する質問です。
ほとんどかぶっていますので、本当は一緒にお答えしてしまおうかと思ったのですが、
毎度のごとく、話が長くなってしまいましたので、分割させていただきました。
こちらの質問は正確には次のような質問でした。
「人に教える時、緊張しませんか? すごく緊張して、授業に不安を感じます。」
とてもよくわかります。
前回書いたように、人前で話すだけだって緊張してしまうわけですから、
さらにただ話すだけではなくて、何かを教えなければいけないとなったら緊張するのは当然です。
これに対しては以下のようにお答えすることにいたしましょう。
A.最初はものすごく不安で、ものすごく緊張していました。
しかし、最近は慣れてきてあまり緊張しなくなりました。
けっきょく慣れの問題でしょうか。
ただし慣れるには相当、時間がかかるかもしれません。
私は学生時代に家庭教師をやり、院生時代に塾講師をやっていたのですが、
それでも教えるということに慣れることはなく、大学で教え始めたときはやはり緊張しました。
私は教員免許をもっていないので、教育実習に行ったことがありません。
皆さんは教育実習にも行くとうかがいましたが、
そりゃあ緊張するでしょうねぇ。
最初っから緊張しないで授業ができる人なんていないでしょう。
緊張するのが当たり前なのです。
教えるというのは高度な文化であって、本能によって行える行為ではありませんので、
それをしようと思ったら、生物学的、本能的に緊張して当たり前なんだろうと思います。
しかし、その文化に習熟してくればいずれ緊張しなくなるのです。
喩えて言うならば、初めて自転車に乗るとき、初めて自動車を運転したとき、
誰もがみんな緊張して、不安を覚えたはずです。
しかし、慣れてくるうちにいつしかその不安や緊張はなくなってきて、
もういちいち緊張したりはしなくなっているのではないですか。
教育という仕事もいずれはそうなります。
ただし、自転車や自動車の運転に比べて、人に教えるというのははるかに高度な文化ですから、
これに慣れるのには長い時間を要するのです。
とはいえ、時間の問題だと言ってしまうと、皆さんには何の救いもないかもしれません。
それでも時間の問題だとしか言えないのですが、
できるだけ不安や緊張を少なくするために、そして慣れる時間を短くするために、
先輩教育者としてアドバイスしてあげられることがあるとしたら、
以下のようなことになるでしょうか。
・緊張するのが当たり前だと自分に言い聞かせ、緊張することを怖がらない。
・上手くできないのが当たり前なのだから、最初から上手くやろうなどと思わない。
・学生たち全員を満足させられるような授業なんてできるわけないけれども、
クラスの中には必ず数名は目をキラキラさせて聞いてくれる子がいるので、
とりあえずその子たちだけに向けて話すようにする。
・自分がどう教えるかということに意識を向けるのではなく (自己意識)、
学生たちがどう学んでいるかということに意識を向ける (対象意識)。
・しかも、学生たちに自分や自分の授業がどう思われるかではなく (自己意識)、
まずは学生たち1人1人がどんな子であるのかに意識を向ける (対象意識)。
・ほかの人の授業と自分の授業を比べたりしない。
・ほかの人の授業のいいところ、使えそうなところはどんどんパクる。
最初の2つは、自らの欲求・欲望や精神状態をコントロールするという話です。
3番目は、私が教え始めたときに先輩教員の方からいただいたアドバイスです。
最初のうちこれは大変役立つと思います。
ただし、このキラキラお目々の学生たちというのは、授業をちゃんと理解してくれているとは限りません。
こういう子たちは先生受けはよく、贔屓してしまいたくなりますが、
本当の優等生は外見は全然人の話を聞いていなさそうに見えたりするものです。
4番目、5番目はコーチングの理論を応用しています。
自転車や自動車をフツーに上手く運転しているときって、意識は自分の手足ではなく、
道路や他の車や歩行者など自分の外の対象物に向けられていますよね。
自分に意識を向けてしまうと何事もぎこちなくなってしまうということです。
最後の2つは大学のFD (教育改善活動) に携わってきて思ったことです。
論文とかだと盗作は禁物ですが、授業の場合はいくら盗んでもいい。
というか、いくら盗んだってけっきょく、相手の授業をそのまま再現することはできず、
どうやったって自分流の授業になってしまうのです。
だから、いろんな人の授業実践を見せてもらってどんどんマネしてみたらいいと思います。
上手くいったらどんどん応用し、ダメならすぐにやめて別のを探せばいい。
カントは 「教育は実験である」 と言っています。
誰も正解は知らないので、いろいろやってみて試してみるしかありません。
その実験が落ち着いた頃には、自分なりの教育スタイルが確立して、
緊張することもなくなっているでしょう。