精神障害の中には、時に未治療や医療を中断していて興奮状態で家族に乱暴する、法に触れる行為を行う場合があります。そんな時、警察から精神障害の疑いがあるから対応をお願いしますという通報があります。通報があれば即時に警察署や現場に出向きます。その状態を見て、すぐに受診の必要がある場合は病院に連れて行くことになります。通報は時間を選びませんから、深夜に連絡が入ることもよくあり、時には職場の懇親会の場に連絡が入ることもありました。
警察署に保護されている時は保護房に入っていることが多く割と落ち着いた状態ですが、現場に行った時は警察官数人に抑えつけられた状態のままとか、これから制圧するので一緒に対応してほしいとか様々な状況でした。
警察からの通報に伴う対応については、今でも覚えているケースが多くあります。一番印象に残っているのは、10代後半の男の子で、家で暴れてガラスが割れ腕をかなり深く切ってしまった状態。救急隊員が応急処置はしましたが、負傷していることもあって警察官も手を出せずにいて、本人に受診の説得をすることになりました。いろいろ話を聞く中で、病院に通院中で薬を処方されていることがわかり、興奮を抑える薬が出ていたのでその服用を病院に確認しながら本人に飲むように説得を続けました。
やっと薬を飲んでしばらくして落ち着いてきたので、受診の説得をはじめ、説得を続けて受診に同意し、車に乗りました。ここまでが通報を受けて現場に行ってから3時間くらい経過。さらに病院も、精神科の救急では腕の治療をしてから来るように言われるし、外科の救急では精神科を受診してから来てほしいと言われ、精神科病院の院長とじかに話して先に精神科で治療してもらい、腕の治療は当院ではできないので外科の救急でお願いしたいと病院同士で連絡を取ってもらい、外科の治療を受け、その後再び精神科に入院するために移送するということでしめて3時間くらいかかりました。
その後、この子は状態も改善して会えば良かったねと話もしましたが、再び悪化し3年ほどして自殺したとの情報が入りました。
警察官通報は、精神保健福祉法第23条に規定されています。現場では、日常的な相談支援から法に定められた対応まで様々なことがありました。緊急対応は一週間ごと当番を決めて対応していましたが、一人に負担が重ならないように、それぞれの相談員の業務分量を勘案しながら日常的な支援にあたっていました。
長光寺のアジサイ
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