幼き頃、父親が帰って来てこんなことを言った。
「まゆみ、これに絵を書いてくれ!」
白い画用紙を突き出した。
いつもお酒を飲んでは、母にからんで、正気と酔っ払いと、全く違う父がいた家での事だ。
父のお願いなんて初めてだったから、私は何か嬉しくてその白い画用紙に向かった。その絵は、会社で役員をしていた父が、会社の運動会があり、その宣伝ポスターを書け・・・というものだった。私が小学校4,5年だっただろうか。
私は一目散で色鉛筆を広げ、書いた。
真っ赤なだるまに、手と足をつけて、一生懸命かけっこをしている絵を書いた。
父は何も言わず、会社に持って行った。
その日、帰ってきた父は上機嫌だった。
「まゆみ、みんなにひょうばんだったよ!」と
きっと、絵心にはほど遠い会社員にも、屈託の無い、思い切った絵が受け入れられたのだろう。
今の私の人形の原点はどう考えても、その時の父の喜んだ顔が原点になっていると思っている。
そんな父{栄二}の兄{栄一}の他界の知らせが入った。
今日、30日、葬儀に出向いた。
仏壇に飾られた栄一おじさんは、父にそっくりな笑顔で祭られていた。
おじさんとは、あまり行き来もせず、小さい頃に逢った記憶だけであるが、おじさん以外でも、疎遠になっているおばさん達と会いたかった。
トラックの運転手をしていた父は私をそのトラックに乗せては、親戚の家に行き、泊まり歩いていた。
子供だった頃の私を、おばさん達は忘れず、懐かしく手を握って喜んでくれた。83歳で他界したおじさんによって、引き合わせてくれた再びめぐり合えた親戚の縁だ。おじさんの葬儀の最後の挨拶で、孫とおばあさんが前に立った。二人手を握り締めている。孫の竜太郎君は言う。『父と僕と、この姓をしっかり守って行きます』と。おばあさんは再婚なので血のつながりは無い孫だが、その光景は、暖かい思いやりだけが残った。
あの時書いた、だるまの絵、何処かに行ってしまったけれど、これは前にも書いたかな・・・
それでも書きたい思い出のひとこまです。
「まゆみ、これに絵を書いてくれ!」
白い画用紙を突き出した。
いつもお酒を飲んでは、母にからんで、正気と酔っ払いと、全く違う父がいた家での事だ。
父のお願いなんて初めてだったから、私は何か嬉しくてその白い画用紙に向かった。その絵は、会社で役員をしていた父が、会社の運動会があり、その宣伝ポスターを書け・・・というものだった。私が小学校4,5年だっただろうか。
私は一目散で色鉛筆を広げ、書いた。
真っ赤なだるまに、手と足をつけて、一生懸命かけっこをしている絵を書いた。
父は何も言わず、会社に持って行った。
その日、帰ってきた父は上機嫌だった。
「まゆみ、みんなにひょうばんだったよ!」と
きっと、絵心にはほど遠い会社員にも、屈託の無い、思い切った絵が受け入れられたのだろう。
今の私の人形の原点はどう考えても、その時の父の喜んだ顔が原点になっていると思っている。
そんな父{栄二}の兄{栄一}の他界の知らせが入った。
今日、30日、葬儀に出向いた。
仏壇に飾られた栄一おじさんは、父にそっくりな笑顔で祭られていた。
おじさんとは、あまり行き来もせず、小さい頃に逢った記憶だけであるが、おじさん以外でも、疎遠になっているおばさん達と会いたかった。
トラックの運転手をしていた父は私をそのトラックに乗せては、親戚の家に行き、泊まり歩いていた。
子供だった頃の私を、おばさん達は忘れず、懐かしく手を握って喜んでくれた。83歳で他界したおじさんによって、引き合わせてくれた再びめぐり合えた親戚の縁だ。おじさんの葬儀の最後の挨拶で、孫とおばあさんが前に立った。二人手を握り締めている。孫の竜太郎君は言う。『父と僕と、この姓をしっかり守って行きます』と。おばあさんは再婚なので血のつながりは無い孫だが、その光景は、暖かい思いやりだけが残った。
あの時書いた、だるまの絵、何処かに行ってしまったけれど、これは前にも書いたかな・・・
それでも書きたい思い出のひとこまです。