文化人類学者がチコちゃんを叱っているのを何処かで読んだ。身近な疑問に答えられない大人を罵倒するスタイルが非難されたり、ウケを狙った答えが微妙にスベったり、そもそも分からないとぶっちゃけたりする事も有るが、そう云うバラエティ番組にありがちな表層的問題では無いらしい。何らかの事象に対して「なぜ?」と云う問いが発生した場合、次元の異なる複数の回答が存在するのが通常である。郵便ポストが赤いのは、視認した際に赤い光の波長が目の網膜の錐体細胞を刺激するからであり、作った職人が赤色のペンキを塗ったからであり、明治初期には黒かったけど見分け易くする為にイギリスの真似をしたからであり、赤色は目立つからである。これらの答えは相互に独立していて並立可能である。にも拘わらず唯一の解のみを正しいと断じるのは教育上宜しくないそうなのだが、ボーっと生きていても大過ないヨノナカを構築するのが学問の本領にも思えるのである。