テレワークばんざーい。そう快哉を叫ぶ人は少なくない。通勤が無くなった事による可処分時間の増加、オフィスだと発生しがちな雑務からの解放、リモート会議に下半身裸でも参加できる気楽さが、高く評価されている。ネット上で仕事を完結させるのはまだまだ困難ではあるものの、勤め人の一定数はこの環境を継続して欲しいと願っているだろう。ただヨノナカにはインドア派とアウトドア派が居る。一日中家に籠っていると気が滅入る、オンオフの切り替えが出来ないから調子が出ない、同僚との雑談が無くなって横の連携が出来ない、下半身裸をコートで隠して通勤出来ないから欲求不満が溜まる等の声も聞かれる。緊急事態だから我慢しろ、軽犯罪はこの際やめとけとインドア派は思ってしまうのだが、それは共感力の欠けた発想であり、双方が幸せになる働き方の多様性を追求すべきだと思うし、コーヒーを零した時に大惨事になるから下半身裸は控えた方が良いのである。
新成人諸君。色々自粛の最中ではあるが、まずは祝意を述べておきたい。君達が成人したと云う事は、国民年金及び国民健康保険の新たな担い手が誕生したと云う事でもある。老人連中が何故祝賀行事を強行しようとするのかは、その事を以って推察頂きたい。そう云う世知辛い話はともかく、成人は赤飯炊いて祝うだけの節目なのも確かである。BCG接種が普及する前、青春は肺結核の恐怖と隣り合わせの時代であった。20世紀前半でも毎年10万人の命を奪い、若年層が発症し易く有効な治療法も無く、友人知己の何人かは結核で夭逝しているのが珍しくない。そんな環境で無事成人出来たのであれば、お祝いするのが当たり前だろう。公衆衛生が行き届いた現代日本であれば、成人式と云えば晴れ着でウェーイする位しかやる事が無いのかも知れない。ただ感染症との闘いは社会の営みの一部であったし、これからもそうあり続けるであろう事は、この機会に胸に刻んで欲しいのである。
相変わらず無茶をする。初日を控えた大相撲初場所である。白鵬関のコロナ感染を受けて関係者全員を検査した所、陽性者と濃厚接触者がボコボコ見つかった。力士だけではなく親方、行司、床山まで休場になると云うのが如何にも大相撲らしいと、変な所で感心している。当然取組もガッツリ減るので、これまで以上にスカスカな場所になりそうである。この絶好の機会に出られないのであるから、鶴竜関の怪我は相当酷いと見た方が良さそうである。陽性者が確認された部屋の関係者をシャットアウトするにしても、ここまで感染が広まっているのなら、中止の判断も有ったと思う。テレビ桟敷で観戦する側としては歓迎したいのだが、大事を取った方が良かったのではないか。ただ興行を止めれば食費が賄えないと云うのは非常に納得出来る理由である。やるからには万全を期して千秋楽まで務め上げ、同じくオマンマの為にコロナと対峙している国民を元気付けて欲しいのである。
AIの考える事は良く分からん。当たらずと雖も遠からずな予測で好評を博している、Google謹製COVID-19感染予測である。この分だと春先まで増加の一途なのかと思っていたら、14日をピークに新規感染者数は減少に転じるらしい。緊急事態宣言を出す前からそんな予測だったから、政治的判断を織り込んだものではなさそうである。しかも東京都だけが極端に減って、その他の道府県は横ばいか増加である。この予測を捻り出したパラメータが分からない。都内在住の上級国民がコッソリ中国製ワクチンを接種したから感染が抑止されたと云う分かり易い陰謀論を持ち出しても良いのだが、東京に住んでいる99%は一般庶民であると云う事情は、他の地域と大差なかろう。AIは答えは見つけられても法則は発見出来ないと云うのは、こう云う事なのかも知れない。この見立てが当たるかどうかはともかく、人間様がウンウン考えなくてはならない物事は、コロナ後も暫く無くなりそうもないのである。
少年少女よ。勉強なんか役に立つものかと愚痴りながらも仲間が恋しいので学校正常化を待ち望んでいる、(大人の願望として)無垢の魂よ。然り、学校で教える事の大半は、社会で役立たない。小中学校の場合、最低限知っておいてくれと云う知識やスキルが8割だが、この先に進むんなら覚えてもらわないと困る基礎が2割を占める。「今日もファラデー左手の法則に助けられちまったな」と呟く機会は、恐らく私の生涯で無い。可能性はゼロでは無いがそちらを掘り下げる心算はない。高校になるとそんな知識が7割に増える。進学を検討していない人にとっては時間と資源のロス以外の何物でもないが、大人の願望としての平等の為なので、耐えて欲しい。元素周期表を丸暗記する暇が有ったら複式簿記の書き方や株式相場の張り方を教えるべきだと思うのだが、そこら辺を決定するのは教養を身に着けた大卒の連中であり、世事に疎い。下からの改革を大人は願望するのである。