ぐうたら里山記

兵庫の西の端でただのほんと田舎暮らしをしています。ぐうたらです。のん兵衛です。

固定種と外来種

2019年01月15日 20時20分15秒 | 本の中から
人類は今まで多くの種を絶滅させた。
かって地球上にたくさん生息していた1トン以上もある大型哺乳類はもういない。
巨大鳥類も絶滅した。
かって地球上のどこにもいたライオンやサイやカバやハイエナなどの動物はもうアフリカにしか生息していない。
象もアフリカ以外はインド・東南アジアにしかいない。

こう考えると、地球の生物の種類は少なくなっている、生物相は貧しくなっていると思われがちだけど、
地球の歴史の中でも今は生物がとっても豊かな時代なのだ。
絶滅した生物に気を取られて新たに進化している生物にみんななかなか気づかない。
絶滅した種よりも新たに進化した生物のほうがずっと多いのだ。

そして固定種を守れ!とばかり外来種や雑種を排除しようとする。
そして固定種を固定化することが、固定種が滅びることになっている、ということがわかっていないのだ。

いったい、どうして、純血種は良くて雑種は悪いのか?
固定種は良くて外来種は悪いのか?

日本の野菜はほとんどすべてと言っていいくらい、外来種なのだ。
外来種がなかったら、日本の食卓は実に貧しい。
日本の自然だって、野原だって、外来種がなかったらとっても寂しいものになっただろう。
それなら外来種をことさらに目の敵にするのはやめるべきだ。

事実外来種によって固定種が絶滅することはないことはないけど、それはわずかなケースだ。
日本にも実にたくさんの園芸種の草花や野菜や果樹が入ってきた。
そのうちどれほどの種が野生化しただろう?
そしてそのうちどれほどの種が在来種を絶滅しただろうか?

庭から逃げ出して新たな世界に到達するのは10種のうちたかだか1種類。
そのうち野生化して完全に定着するのは10分の1。
さらにそのうち有害動物、有害植物とみなされるようになるのはそのまた10分の1。
つまり有害外来種として問題になるのはわずか1000分の1!というのだ。

一方外来種は固定種と交雑したら新しい環境に適応して進化し、
そのうち新たな新種を産む。
どうして今地球上で生物が豊かになったかというと、それもまた人間。
船、自動車、飛行機によって種の拡散のスピードが、昔なら何百年・何千年・何万年もかかっていたのに今では数日で拡散していく。
こうして進化のスピードが速くなっているのだ。
昔に比べると100倍のスピードで新種が生まれているという。

進化するのは良いことか悪いことか?
固定種を固定して考える人は進化は悪いことだと思っているのかもしれない。
しかし地球温暖化、それ以上に悪いことは地球寒冷化。
それに対応すべく種は進化し続けていかないといけない。
種の絶滅は悲しいことだけど、絶滅しないように努力すべきだけど、
進化を犠牲にしてはいけない。
固定種を守るために外来種を駆逐することは進化の芽を奪っていることなのだ。

では固定種はどうして守っていけばいいか?
それは固定種を囲うのでなくさらに条件のいい地域にあるいは他国にもっていく。
固定種を外来種にする、拡散する。
こうしてより強い、より進化した生物が生まれる。

遺伝子組み換えもとっても有効な方法だ。
温暖化についてはきっと今までの方法、メンデルの法則で暑さに対応できる品種を作れるだろう。
でも過去何度も多くの生物が絶滅した氷河期に対応できない。
そのためには遺伝子組み換えは必要なのだ。
今のうちにほんの僅かでも人類が生き残る道を作っておかないといけない。

かねてから思っていたことを、たまたま
「なぜわれわれは外来生物を受け入れる必要があるのか」(クリス・D・トマス著)を読んでうんうん、と、やっぱり!と、思ったのだった。
コメント
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