義経記を読んだ。
思ってたのとは違って、
華々しい戦の描写、一の谷や八島・壇之浦などのことはほんの数行。
生い立ちと讒言によって頼朝との仲たがい、
そして落ち武者となり平泉へ落ちていく・・・
そんな侘しい義経の姿。
軍記物の平家物語や太平記とは違った世界に、とっても惹かれた。
それに哀愁だけでなく、あちこちユーモアがあるのがこの本の魅力。
静御前のことや藤原忠信の活躍など、魅力的な話がいっぱい。
義経事態の魅力というか、人間性というかそんなことはこの本では直接にはあまり感じられないけど、弁慶などを通して感じることができる。
そしてそのためか、とりわけこの舞台となっている東北地方の人たちは義経が大好き。
それで義経とは何の関係もない忠臣蔵などの芝居にも無理やり義経を登場させて、
かかるところへ義経公、いち間のうちより出で給い、
さしたる用事もあらざれば、再び奥へと入り給う。
そうそう、こんなのだい好き人間だ!
まあ確かに軍記物としては平家物語や太平記より評価は落ちるかもしれないけど、大いに楽しめることは確か。
そもそも軍記物や戦記物はたいてい、講談になってしまう。
文学にまで昇華できた小説がどれほどあるだろう?
もともと戦争物は嫌いなのであんまり読んでいないけど、
今まで読んだ限りではトルストイの「戦争と平和」くらいしか思い当たらない。
それはまあ置いといて、今度は平家物語を読もうと思っている。
平家物語は昔し昔のそのまた昔、中学の時に原文で読んだきりだ。
あのころは注釈もしっかり読んでいたので、原文でもわかりやすかった。
でも最近は面倒くさくなって、注釈はとばし、原文だけで、あるいは現代語訳分だけですます。
それでしばしば言葉がわからないことがある。
江戸の戯作、洒落本や滑稽本にはうんざりさせられた。
だって解説付きで洒落を聞いても少しも面白くない。
ああそうか、そうなんだ、きっと面白いのだろうな・・・
なんて白けるだけ。
でもまあそれはそれとして、今度は平家物語を再読しようと思っている。