11/8 似ていた 第7話
京太郎は東京に着いて数年の生活を思い出したくなかった。
アメリカ留学は結構生活を助けてくれた。
そんな流暢な英語ではなかったが読み書きもできて
結構いい給料の仕事につけた。
そんな中で出会った妻と相思相愛と思って結婚した妻とは
離婚した。
もう何年か経つ。
離婚の原因は妻の浮気だった。
出張が多かった年、ある日帰宅して台所を横切ったとき
知らない臭いがした。
臭いをたどると洗濯機の中だった。
その中にある妻の下着からだった。
俺の臭いじゃない。
横に妻が来ていた。 蒼白だった。
いいよ、俺も2か所に同時にいられないから。
平静を装ったけど数週間後には名前書いて印鑑おしてと
離婚届けを渡していた。
受け取ると京太郎は荷物をまとめて出て行った。
そんな京太郎がもと妻に会うようになったのは
ある電話中に聞こえた妻の叫び声、下の子の悲鳴のせいだった。
翌夜遅く京太郎は元の自分の家に行った。
なにも言わずに元妻にセックスした。
何度も何度も元妻がぐったりするまで行為をした。
それから起き上がると荒々しく元妻の胸ぐらをつかんで起こした。
それからこぶしを元妻のあごに押し当てた。
そして言った。
子供に乱暴しないでください。
元妻がうなずいた。
約束? やくそく。
京太郎は元妻のイライラを防ぐために時々家に行った。
子供の無事も確認した。
京太郎は女好きというのでもなかった。
でも女たちは京太郎の妻になりたい、世話をしたいと思っていた。
同棲していると思っている女が二人、
それから優子みたいな友達以上が無数いた。
優子は父からもらった京太郎の調査書の他に
京太郎自身の自己紹介で京太郎に離婚した妻、子供が二人いることを
知ったけどそれほど重要なことだとも思っていなかった。
バツイチなんか星の数ほどもいる。
それに優子は京太郎は好きだけどその夢は結婚まで発展していなかった。
京太郎は優子にどうアプローチしていいかわからなかった。
優子はちょっと間違えば永久に京太郎から離れてしまうような気がした。
だから半年以上経っても優子の手さえ握らなかった。
そんなに優子のことが気になった? 好きだった?
京太郎自身まだはっきりしなかった。
優子はどちらかと言えばゆったりした服を着ていた。
例のワンピースだって試着室で紺色地のほうを着てそのまま着たけど
それきり見たことがない。
ホテルに泊まった翌朝、京太郎は早朝にドア下にメモを残して
出勤してしまっていた。
そして出張。
電話をする余裕もなかった。
10日ほで経って電話したけどスマホはオフだった。
何度もトライして通じたのは翌日の夕方だった。
京太郎はまず優ちゃん、大丈夫?と聞いた。
京さま、スマホのバッテリーが具合が悪くて。
出ると切れちゃうの。
今は直った?
うん、バッテリー替えた。
今日会える、じゃいつものロビーで6時30くらい。
第8話