11/18 似ていた 第15話 さまよう恋心 懺悔
京太郎は処分した女のことは思い出さなかったし、考えもしなかった。
京太郎にしてみれば、メスになった女はゴキブリとたいして変わらなかったから殺して当然だった。
どっかの宗教みたいに、人間・京太郎のためにならない物は殺さなきゃ
だった。
だから京太郎の心に罪悪感はなかった。
ほとんど。
でも京太郎は心の底で優子が好きだった。
優子は男みたいにサバサバしていて、
京太郎に男を求めても来なかった。
優子が自分のことを好きなのは感じていた。。
でも一度も彼を求めてくる素振りを見せたことがない。
京太郎はその理由を知らなかった。
知ったら、仰天しただろう?
あの逮捕された殺人結婚詐欺師に似ている。
それが優子を悩ませた。
似ているからって犯罪を犯す例は統計にすらない。
優子だって京太郎とラブシーンになることは妄想であった。
京さまは私のシャツの下に手を・・・・・
寝る前に妄想にふけって2時ごろになって寝付くこともあった。
目が覚めるとスリップが脱ぎ掛けてあって、足が広く開いていたり。
京さま おはようと目が覚めると言った。
それからカーテンを開け、空を見て階下に行った。
でも京太郎を目の前にすると、そういうことは一切飛び去った。
京太郎が懺悔なんてことを知っていたら
教会に行って懺悔室で坊さんに懺悔をするだろうか?
でも懺悔を聞いた坊さんはきっとすぐ警察に電話するよ。
京太郎は仕事も手につかないほど悩んだ。
夜、誰もいなくなった社内で突然ガバっと立ち上がり
自首しようとつぶやくことがあった。
優子と約束のある夕方もそうだった。
自首しようと立ち上がり、優子と待ち合わせに遅れているのに気がついた。
今日は止めとこう。
不思議に京太郎目からの涙が落ちた。
その晩、食事をしながら京太郎はうわの空だった。
カチャンとナイフを置く音がして、優子が怖い顔をして言った。
京さま、心がどこかに行ってます。
どうしました?
京太郎はハッとした。
そして、今社内に問題を抱えていて考えてしまっていた。
と答えた。
そしてごめん と付け加えた。
どんな問題?
私に話せる?
いや、優ちゃんにも言えないことなんだ。
そう。 優子が迷っていたけど
あのね、私、京さまが大好きなんだけど、もう会わないほうがいいような気がするの。
ああ、京太郎の心の中の声が。
そりゃまたどうして?
と陽気な声で京太郎は聞いた。
優子はなんて理由を言えばいいのと泣きたい気持ちになった。
あの殺人結婚詐欺者に似ているから
なんてどうして言えるだろう?
そんな根拠のない話で大好きな人と別れるの?
そうね、言葉にするのはむずかしい・・・・
とつぶやいた優子。
京太郎はしばらく会うの止めてみる?
と、彼もつぶやくように言った。
顔をあげた優子の目からポロポロ涙が流れた。
京太郎は優子が自分を愛しているとこれまでなかったほど感じた。
第16話