11/16 似ていた 第13話 京太郎 そろそろ結婚しようかなと自問する
京太郎は30代に見えた。
実際はもう少し上だったけど、周りの想像する年齢でイメージを作っていた。
結婚することを考えたのは、身を守るためだった。
平和な家庭を築いていれば疑われない。
さてどうするか?
あの中から誰か選ぶか?
見合いでもするか?
夕方会社に戻る道で、優子に会った。
優子に見合いすることにしたよ
と言ってみた。
優子があら、どうして?と聞いてきた。
優子の目がキラっと光ったような気がした。
上司がそう言うし、見合い写真を持ってくるし。
一度くらいやってみないと収集できそうもないからね。
結婚したくなった?
いや、そういうことはない。
優ちゃんは結婚しないの?
うちではいい人ができたら連れてきなさいって言ってるわ。
でも、いい人できないし・・・・
優子がうつむき加減になった。
お見合いでもするか?と聞いてみた。
優子は頭を上げた。
それから言った。
ごめん、今アポに行く途中だった。
後で電話するから、またね。
と、足早にその場を去った。
優子は悩んでいた。
京太郎が好きなんだけど、京太郎があの殺人鬼に似ているのがどうしても
ひっかかるのだ。
京太郎は見合いのこと、優子に言うべきではなかったかもと思った。
数いる女友達の中で優子が一番気になる。
優子の両親も、家庭も、弟の和彦も好きだ。
愛着すら感じる。
だけど、自分の病気とでもいえる殺したくなる衝動をどう対処すればいいのか
まったくわからなかった。
もし優子になにかしたら、死刑になっても自分を許せない。
でも、病院には行けない。
そうしたら即逮捕だ。
今逮捕されたくない。
会社に戻ってしばらくしてからスマホの電話が鳴った。
直美だと電話に出た。
ああ、京太郎、大変なことになってと見えないけど彼女の涙を感じた。
どうしたの?
うちで友達が死んでいて、嗚咽で言葉が続かない。
友達?
そう、留守中にうちに来て・・・マリアには台所を使っていいって
鍵を渡してあったの。
警察は呼んだの?
もう来たわ、でも部屋にいられないし、今日帰国したばかりで・・・・
泣かないで、今どこにいるの。
駅、実家に行くところなの。
京太郎は聞きながら考えていた。
ひとまず、実家に行くのがベストかもしれない。
そして食べて寝ることだ。一人になってはいけないよ。
明日は仕事を外せない。
明後日、会いに行く。行く前に電話するから。
わかったわ、直美はさよならもありがとうも言わずにガチャンと電話を切った。
京太郎は何ごともなかったように仕事を終わらせにかかった。
9時ごろ、電話が鳴った。
それは元妻だった。
昨日、なんで来なかったの?
彼女がアップセットしたときのキンキン声になっている。
ごめん、電話できなかった。
仕事中に電話を入れるのそう簡単じゃないんだ。
今夜来てくれる?
今夜? ちょっと考えた。
遅くなるけどいい? たぶん11時ごろには着くよ。
11時前に元妻のところについた。
少し太ったけど元妻は可愛いままだった。
先に金を渡した。
できればこの女も消してしまいたいと京太郎の本心が言う。
でも、子どもたちの母親であり、あれがいなくなれば、俺が子供たちを
引き取る必要が出てくる。
この女の両親には子供を預けたくない。
子供たちは?
もう寝たわ。
元妻はもう脱ぎかけていた。
お前は俺に性欲しかないのか?
私を満たせるのはあんたしかいないわ。
何がそんなにいいのかい?
なんだろう?
考えるのも突き詰めるのも苦手な女だと京太郎は思っていた。
京太郎は中に入ってから話し出した。
俺はメス女は嫌いなんだ。 もしお前が子供たちの世話人でなければ
こうやって、京太郎は片手を元妻の喉もとに当て、
指に力をジワジワとこめてみた。
元妻の目に怒りがわいてきた。
私を殺そうっていうの?
あんたの子どもを人殺しの子にしたいわけ?
づるい女だよと言って手を離した。
子供が人質ってわけだ、
京太郎は子供をなんとかしないと、あした一番に考えようと思った。
どうしてこんな女とと思いながら元妻が欲求する通り
何度目かの行為をして
京太郎が元妻の家を出られるころは
新聞配達が通りを自転車で動きまわる時間だった。
それでも肉体的疲労はなかった。
京太郎の特技。
女の体内に入っても射精をしないこと。
第14話