
過日、四国への旅行のときに、別子銅山に行ってきました。約300年間に銅約70万トンを算出し、住友財閥の発展、ひいては日本資本主義を支えた銅山でした。標高750mの東平地区に、往時は4000人の人が住み、銅採掘に従事。小中学校や演芸場までもある町が、この山中にあったとはとても想像できない、「東洋のマチュピチュ」です。しかし、こんな劣悪な生活環境の中、過酷な労働に従事した多くの日本人によって、明治以来の日本の発展は支えられていた。しかし、それをすべてぶっ壊したのが、あの戦争だったんですよ。実に、バカな戦争をしたんだな、と悲しくなりました。
ということで、今回はブラームス。過日、あのSONYの白い激安BOXのシリーズで、ピェール・モントゥーの「Pierre Monteux Complete RCA Stereo Recordings」(8CD)を買いました(正確にはポイントでもらったのでタダでした)。モントゥーの演奏は、なかなか入手し難いということもあるな、と常々思っておりました、私だけかも知れませんが、モントゥーや、他にもミュンシュなどもそうなんですが、あまり聴いていない、またはどんな演奏が残されているのか、それほどわかっていない傾向があるんですねえ。ピアニストでもバックハウスやケンプはよく知っているが、ルービンシュタインはたくさん演奏があるが、それほど聴かない、とかね、おそらくは、それはアメリカでの活動とRCAあたりに多く録音した、ことなどがポイントかなとも思うのですが、それは私自身のヨーロッパ、特に独墺系に偏った指向が原因なんでしょうねえ。そんな点で、このモントゥーのBOXは、DECCAからの20枚組と合わせてありがたいものであります。
そんなことを改めて思ったのが、このBOXの6枚目にあるブラームスのヴァイオリン協奏曲なんです。1958年にヘンリク・シェリングの独奏でロンドン響と録音したものです。モントゥーの演奏にどんなものがあるか、ブラームスでは交響曲第2番くらいしか知らなかったので、ほうほうと思ったのでした。加えて、シェリングについても、Phillipsへのドラティやハイティンクのとのものはありますが、モントゥーと録音しているのか、とこれも初めて知りました。いやはや私の認識不足です。またこんな新たな知見は嬉しい限りであります。この録音は伝説のエンジニアのケネス・ウィルキンソンによる名録音であり、XRCDとしても復刻されていました。
そして、この演奏なんですが、これがまたいいです。まずシェリングのヴァイオリン。このとき40才。完璧といっていいほどの技量で、実に抒情的な美しさに満ちた演奏です。力を込めてとか、劇的とか、そんなイメージではなく、ひたむきき全身全霊を込めて、生真面目にストイックに音楽に奉仕するようなところでしょうか。モントゥーもロンドン響も引き締まった演奏を展開、シェリングのヴァイオリンをうまく引き立てています。このオケのサポートは実に見事であります。協奏曲のオケの演奏の理想のように思えました。ただ、録音については、もう60年前のものであまり多くは望めないな、と感じましたねえ。
第一楽章、自然体のオケの穏やかな演奏から始まり、シェリングの出番を待つよう。そしてシェリングが見えを切るように登場して、柔らかく伸び伸びとしたヴァイオリンが展開。実に艶やかな音色ですが、そっちの方にはいかず、真摯なシェリングでした。オケとの絡みもワクワクしながら聴けます。そしてカデンツァはヨアヒムのものですが、シェリングらしい厳しさと優しさが併存する見事さがありました。ここまでいい演奏だなあ、と思って第二楽章。オーボエの独奏もよく、うっとりしているところに、ヴァイオリン。もう涙がでそうになるくらいの美しさ。この楽章が私的にはもっともよかった。ヴァイオリンに美しさ、ゆったりとしたテンポで語られる。オケの伴奏も実に巧い。何度も何度も聴きたくなります。そして第三楽章。一転して切れのいいオケとの対峙するヴァイオリンで、一層シェリングに妙技が引き立ちます。しかし、モントゥーは実に巧いですよねえ。ここでもヴァイオリンを引き立て、絶妙のサポートではないか、と思います。
また、今週は台風ですねえ。前回の20号と同じようなコース。兵庫県には前回は姫路上陸だったので、今回は遠慮してもらいたいです。勢力は強大で速度も速い。被害のないことを祈るばかりであります。
(Sony Classical 19075816342 2018年 輸入盤)
ということで、今回はブラームス。過日、あのSONYの白い激安BOXのシリーズで、ピェール・モントゥーの「Pierre Monteux Complete RCA Stereo Recordings」(8CD)を買いました(正確にはポイントでもらったのでタダでした)。モントゥーの演奏は、なかなか入手し難いということもあるな、と常々思っておりました、私だけかも知れませんが、モントゥーや、他にもミュンシュなどもそうなんですが、あまり聴いていない、またはどんな演奏が残されているのか、それほどわかっていない傾向があるんですねえ。ピアニストでもバックハウスやケンプはよく知っているが、ルービンシュタインはたくさん演奏があるが、それほど聴かない、とかね、おそらくは、それはアメリカでの活動とRCAあたりに多く録音した、ことなどがポイントかなとも思うのですが、それは私自身のヨーロッパ、特に独墺系に偏った指向が原因なんでしょうねえ。そんな点で、このモントゥーのBOXは、DECCAからの20枚組と合わせてありがたいものであります。
そんなことを改めて思ったのが、このBOXの6枚目にあるブラームスのヴァイオリン協奏曲なんです。1958年にヘンリク・シェリングの独奏でロンドン響と録音したものです。モントゥーの演奏にどんなものがあるか、ブラームスでは交響曲第2番くらいしか知らなかったので、ほうほうと思ったのでした。加えて、シェリングについても、Phillipsへのドラティやハイティンクのとのものはありますが、モントゥーと録音しているのか、とこれも初めて知りました。いやはや私の認識不足です。またこんな新たな知見は嬉しい限りであります。この録音は伝説のエンジニアのケネス・ウィルキンソンによる名録音であり、XRCDとしても復刻されていました。
そして、この演奏なんですが、これがまたいいです。まずシェリングのヴァイオリン。このとき40才。完璧といっていいほどの技量で、実に抒情的な美しさに満ちた演奏です。力を込めてとか、劇的とか、そんなイメージではなく、ひたむきき全身全霊を込めて、生真面目にストイックに音楽に奉仕するようなところでしょうか。モントゥーもロンドン響も引き締まった演奏を展開、シェリングのヴァイオリンをうまく引き立てています。このオケのサポートは実に見事であります。協奏曲のオケの演奏の理想のように思えました。ただ、録音については、もう60年前のものであまり多くは望めないな、と感じましたねえ。
第一楽章、自然体のオケの穏やかな演奏から始まり、シェリングの出番を待つよう。そしてシェリングが見えを切るように登場して、柔らかく伸び伸びとしたヴァイオリンが展開。実に艶やかな音色ですが、そっちの方にはいかず、真摯なシェリングでした。オケとの絡みもワクワクしながら聴けます。そしてカデンツァはヨアヒムのものですが、シェリングらしい厳しさと優しさが併存する見事さがありました。ここまでいい演奏だなあ、と思って第二楽章。オーボエの独奏もよく、うっとりしているところに、ヴァイオリン。もう涙がでそうになるくらいの美しさ。この楽章が私的にはもっともよかった。ヴァイオリンに美しさ、ゆったりとしたテンポで語られる。オケの伴奏も実に巧い。何度も何度も聴きたくなります。そして第三楽章。一転して切れのいいオケとの対峙するヴァイオリンで、一層シェリングに妙技が引き立ちます。しかし、モントゥーは実に巧いですよねえ。ここでもヴァイオリンを引き立て、絶妙のサポートではないか、と思います。
また、今週は台風ですねえ。前回の20号と同じようなコース。兵庫県には前回は姫路上陸だったので、今回は遠慮してもらいたいです。勢力は強大で速度も速い。被害のないことを祈るばかりであります。
(Sony Classical 19075816342 2018年 輸入盤)
ところで、シェリングですが、私の大好きなヴァイオリニストです。男性的な骨太の音色が、好きな理由なのですが、このブラームスは持っていません。モントゥーも好きな指揮者なので、この組み合わせで聴く、ブラームスは魅力的だと思います。モントゥーは2番の交響曲が有名ですが、同時期に書かれた、協奏曲もモントゥーに相応しい曲目だと思います。今度、探してみたいと思います。
最近になってMusic&ArtsやWHRAでの放送録音や演奏会Liveを聴くようになりましたが、聴き始めた頃モントゥーの演奏のLPも沢山発売されていたはずですが、私自身は買ったり聴いたりした記憶はありません。
ちなみにモントゥー指揮のブラームスのVn協奏曲ですが、コーガン、スターン、フランチェスカッティ、ミルシュテインがあるようです。
入手困難ですか。ミュンシュは最近はベルリオーズ集やロマン派集等の廉価Boxが発売されていますし、RCAへの全録音も発売されました。マシな方かも知れませんね。全録音については懐かしさもあり欲しい気もしたのですが、聴くのが大変かなと思って思い直しました。
まもなくEMIとEratoへの全録音も発売されるようです。これもそそられます。
個人的にお奨めはWHRAで発売されているボストンSO時代のLive録音かな。