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こんなCDを買った!聴いた!

最近購入した、または聴いたCDについて語ります。クラシック中心です。

シェリングとモントゥーのブラームス

2018年09月02日 17時42分58秒 | ブラームス
過日、四国への旅行のときに、別子銅山に行ってきました。約300年間に銅約70万トンを算出し、住友財閥の発展、ひいては日本資本主義を支えた銅山でした。標高750mの東平地区に、往時は4000人の人が住み、銅採掘に従事。小中学校や演芸場までもある町が、この山中にあったとはとても想像できない、「東洋のマチュピチュ」です。しかし、こんな劣悪な生活環境の中、過酷な労働に従事した多くの日本人によって、明治以来の日本の発展は支えられていた。しかし、それをすべてぶっ壊したのが、あの戦争だったんですよ。実に、バカな戦争をしたんだな、と悲しくなりました。

ということで、今回はブラームス。過日、あのSONYの白い激安BOXのシリーズで、ピェール・モントゥーの「Pierre Monteux Complete RCA Stereo Recordings」(8CD)を買いました(正確にはポイントでもらったのでタダでした)。モントゥーの演奏は、なかなか入手し難いということもあるな、と常々思っておりました、私だけかも知れませんが、モントゥーや、他にもミュンシュなどもそうなんですが、あまり聴いていない、またはどんな演奏が残されているのか、それほどわかっていない傾向があるんですねえ。ピアニストでもバックハウスやケンプはよく知っているが、ルービンシュタインはたくさん演奏があるが、それほど聴かない、とかね、おそらくは、それはアメリカでの活動とRCAあたりに多く録音した、ことなどがポイントかなとも思うのですが、それは私自身のヨーロッパ、特に独墺系に偏った指向が原因なんでしょうねえ。そんな点で、このモントゥーのBOXは、DECCAからの20枚組と合わせてありがたいものであります。

そんなことを改めて思ったのが、このBOXの6枚目にあるブラームスのヴァイオリン協奏曲なんです。1958年にヘンリク・シェリングの独奏でロンドン響と録音したものです。モントゥーの演奏にどんなものがあるか、ブラームスでは交響曲第2番くらいしか知らなかったので、ほうほうと思ったのでした。加えて、シェリングについても、Phillipsへのドラティやハイティンクのとのものはありますが、モントゥーと録音しているのか、とこれも初めて知りました。いやはや私の認識不足です。またこんな新たな知見は嬉しい限りであります。この録音は伝説のエンジニアのケネス・ウィルキンソンによる名録音であり、XRCDとしても復刻されていました。

そして、この演奏なんですが、これがまたいいです。まずシェリングのヴァイオリン。このとき40才。完璧といっていいほどの技量で、実に抒情的な美しさに満ちた演奏です。力を込めてとか、劇的とか、そんなイメージではなく、ひたむきき全身全霊を込めて、生真面目にストイックに音楽に奉仕するようなところでしょうか。モントゥーもロンドン響も引き締まった演奏を展開、シェリングのヴァイオリンをうまく引き立てています。このオケのサポートは実に見事であります。協奏曲のオケの演奏の理想のように思えました。ただ、録音については、もう60年前のものであまり多くは望めないな、と感じましたねえ。

第一楽章、自然体のオケの穏やかな演奏から始まり、シェリングの出番を待つよう。そしてシェリングが見えを切るように登場して、柔らかく伸び伸びとしたヴァイオリンが展開。実に艶やかな音色ですが、そっちの方にはいかず、真摯なシェリングでした。オケとの絡みもワクワクしながら聴けます。そしてカデンツァはヨアヒムのものですが、シェリングらしい厳しさと優しさが併存する見事さがありました。ここまでいい演奏だなあ、と思って第二楽章。オーボエの独奏もよく、うっとりしているところに、ヴァイオリン。もう涙がでそうになるくらいの美しさ。この楽章が私的にはもっともよかった。ヴァイオリンに美しさ、ゆったりとしたテンポで語られる。オケの伴奏も実に巧い。何度も何度も聴きたくなります。そして第三楽章。一転して切れのいいオケとの対峙するヴァイオリンで、一層シェリングに妙技が引き立ちます。しかし、モントゥーは実に巧いですよねえ。ここでもヴァイオリンを引き立て、絶妙のサポートではないか、と思います。

また、今週は台風ですねえ。前回の20号と同じようなコース。兵庫県には前回は姫路上陸だったので、今回は遠慮してもらいたいです。勢力は強大で速度も速い。被害のないことを祈るばかりであります。
(Sony Classical 19075816342 2018年 輸入盤)

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6 コメント

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Unknown (クレモナ)
2018-09-06 21:42:40
北海道で、大きな地震がありましたね。私事ですが、生まれが、今回の震源地に近い、苫小牧ですので、びっくりしました。厚真の、震度7というのも驚きですが、あの、周りの山の土砂崩れも、初めて見る光景です。そして、道内全域の停電、これも、驚きです。これだけ、地震大国の日本なのに、インフラの脆弱さを、見せつけられました。今年は、猛暑に加え、災害が多発しました。もう、こりごりですね?
ところで、シェリングですが、私の大好きなヴァイオリニストです。男性的な骨太の音色が、好きな理由なのですが、このブラームスは持っていません。モントゥーも好きな指揮者なので、この組み合わせで聴く、ブラームスは魅力的だと思います。モントゥーは2番の交響曲が有名ですが、同時期に書かれた、協奏曲もモントゥーに相応しい曲目だと思います。今度、探してみたいと思います。
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コメント、ありがとうございます。 (mikotomochi58)
2018-09-06 23:20:01
クレモナ 様、コメント感謝です。台風21号のことが終わったと思ったら、今度は自信とは、本当にびっくりです。何が起こるかわからない、そんな恐ろしい時代になったんでしょうか。シェリングの演奏、私もつい最近知ったので…。こんな演奏を知らなかったとは、情けないな、と思う反面、まだ知らない素晴らしい演奏があるのか、と思うと、これまた楽しみであります。またご教示ください。
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Unknown (ポチくん)
2018-09-08 15:13:27
ミュンシュの名前も書かれていましたが、私にとってはクラシックを聴き始めた中学時代に4枚目くらいに買ってもらったメンデルスゾーンの「イタリア」がミュンシュで、その後の「幻想交響曲」もミュンシュ/ボストンSOでした。一言で言えば非常に明るい威勢の良い演奏が彼の特徴だと思います。当時はベルリオーズ言えばミュンシュだったのではないでしょうか。最近RCAからセット物で沢山再発されていますが、少し前はWHRAからボストンSO時代の放送録音や演奏会Liveが発売されていたので結構購入しました。
最近になってMusic&ArtsやWHRAでの放送録音や演奏会Liveを聴くようになりましたが、聴き始めた頃モントゥーの演奏のLPも沢山発売されていたはずですが、私自身は買ったり聴いたりした記憶はありません。
ちなみにモントゥー指揮のブラームスのVn協奏曲ですが、コーガン、スターン、フランチェスカッティ、ミルシュテインがあるようです。
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コメント、感謝です。 (mikotomochi58)
2018-09-08 21:57:31
ポチくん 様、コメントありがとうございます。ミュンシュについては、これもSONYからの激安BOXを入手してボツボツ聴いています。私も聴き始めた頃、ミュンシュと言えば、幻想交響曲でしたね。ボストン響とパリ管、ともに名盤でしたね。でも、これらのBOXに入っていないものは、なかなか入手困難になっていますので、中古やさんなどで見つけたら、購入しようと思っています。モントゥーのブラームスのヴァイオリン協奏曲は、それほどの録音があるのですが。モントゥーのブラームス、これもなかなか入手できないですねえ。またご教示ください。
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Unknown (ポチくん)
2018-09-09 11:55:28
ミュンシュですが・・・。
入手困難ですか。ミュンシュは最近はベルリオーズ集やロマン派集等の廉価Boxが発売されていますし、RCAへの全録音も発売されました。マシな方かも知れませんね。全録音については懐かしさもあり欲しい気もしたのですが、聴くのが大変かなと思って思い直しました。
まもなくEMIとEratoへの全録音も発売されるようです。これもそそられます。
個人的にお奨めはWHRAで発売されているボストンSO時代のLive録音かな。
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コメント、感謝です。 (mikotomochi58)
2018-09-09 21:34:19
ポチくん様、コメント感謝です。そうですね。最近は入手それほど困難ではないですね。ご指摘のとおりBOXものも出ましたね。失礼しました。以前に、ベートーヴェンの交響曲を捜していたことがあって、そのイメージで言及しちゃいました。今後とも、ご教示の程、お願い申し上げます。
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