時事解説「ディストピア」

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加藤によると右より左が原子力を礼賛してたらしい

2013-04-04 01:58:19 | 反共左翼
加藤哲郎は一応、現代史の論文も発表しているのですが、
こんな奴の論文が載るってことは学会の権威に傷がつくから、
本当に勘弁してもらいたいです。まー、こいつに限らず、
思想や政治を担当する人文系の学者をみると、
ひょっとして人文系ってベリーイージーな学問なのかと
勘ぐってしまいますが(要するにものすごい象牙の塔なんですよね)

そんな加藤の原発に関する歴史観が露呈されているのが以下の文章。

http://members.jcom.home.ne.jp/katote/Living30.html

「原子力時代」「原子力の平和利用」の言説が
大新聞から論壇・共産党機関紙誌にまで溢れていました。
右派よりも左派が、それを主導していました。中略

もうひとつつけ加えれば、原発は核兵器と同じように、
旧ソ連中心の東側「社会主義世界体制」の接着剤でした。中略

日本の左翼勢力は、こうした構図のもとで「脱原発」に積極的になれず、
「原子力の平和利用」の神話に呪縛されていました。
ちょうど60年代まで、ソ連や中国の核兵器を
「社会主義の防衛的核」と容認していたように。中略

だから、高木仁三郎さん、広瀬隆さんらの「反原発」運動は、
東西冷戦を背景とした社会党・共産党・労働組合中心の社会運動の中では、
孤立を余儀なくされたのです。


この文章から加藤が右翼じゃないと想像できる者が何人いるだろうか?
ツッコミを入れるとキリがありませんが、一応コメントすると、
大新聞も報道していたと加藤本人が言っているように、
原子力の平和利用(つまり原発推進)って全国紙や電力会社、
御用学者、自民党議員、経産省の役人が主導してたでしょうに


これは経産省の役人から京大教授に天下りした中野剛志も
憎々しげに言っていますよ?左翼が邪魔するから原発が悪者にされたって。

そもそも、少なくとも日本の原発はアイゼンハワー政権にまでさかのぼる
アメリカの国益と世界戦略に基づいて展開されたのに、いつのまにか
社会主義陣営の接着剤にされています。本当に歴史勉強したのでしょうか?

歴史的事実を並べてみれば、「原発は安全だよー」と称して
次々と財政が苦しい地方自治体に売り込んでいったのは政府や電力会社の
人間であったし、安全神話が政府によりねつ造されたのは反原発運動に
携わる人間なら誰でも知っていることです。なんで意図的に隠すの?

60年代までソ連の核を容認していたというのも嘘です。60年代半ばまでです。
大体、部分的核実験禁止条約を、内容が限定されていて不十分であり、
大国同士(ソ連とアメリカ)のなれ合いの所産だと激しく非難したのは
共産党ですよ。反対した理由がアベコベになってるんですが。

ついでに言うならば、核が圧倒的に防衛力がない弱小国家にとって外交力
になっているのは事実であって、それは北朝鮮を見れば明らかでしょ?
そうでなきゃとっくの昔にイラクのように滅ぼされてますよ。

この時期の共産党は反帝国主義のためなら、ソ連や中国に対しても
多少は目をつぶってましたから(60年代後半からは違ったけど)、
やっぱりここでも加藤は現代世界でも通じる反米=共産主義に
応ずることができないんですよね。

また、ここで共産党が言う平和利用は原発推進ではなく、
放射能の無害化をはじめとする平和的研究の推奨であって、
共産党は最初っから反原発の立場で取り組んできましたし、
一度だって原発に手を貸した覚えもないのですけど、
この辺の事実、どうなっているんでしょうかね、加藤大先生!

そして、「東西冷戦を背景とした社会党・共産党・労働組合
中心の社会運動の中では、孤立を余儀なくされた」って言ってますが、
社会党や非共産系の労組は別にソ連や中国に遠慮してませんし、
彼らが建てた原水禁は平和利用も含めた反核運動に設立当初から
従事してますよ。共産党が憎いばかりに社会党にまで被害が!

どう考えたって加藤のコメントって
自民党や東電が泣いて喜びそうな
文章じゃないですか?


全ての責任が左派陣営のせいに
されているんですからね。


こいつが褒めたたえる広瀬隆だって、保守派と一緒に
地球温暖化なんて嘘なんだーとバッシングしていたり、
リーマン・ショックはロスチャイルド財閥の陰謀と言ったりと
相当胡散臭いヤツですよ。私は原発には反対だけれど、
広瀬と一緒に行動はしたくないなー。

そういえば週刊金曜日や社民党に売り込んで
悲劇の俳優の座を勝ち取った山本太郎だって
広瀬とつるんで、わざわざ反原発大会の場で
共産党のがれき処理の姿勢にケチつけて何人か退場させてたなぁ。

がれきを危険物扱いして受け入れに反対する連中に、
じゃー、おまえはそのまま福島においとけってこと?って言いたい。

結局、こいつらの反対なんて我が身可愛さで生じたことで、
絶対、故郷ががれきに埋もれた市民を思ってやってることじゃない。

さて、このように加藤は共産党悪玉論に則って、
何でもかんでも共産党のせいにしているもんですから、
自民党を代表とする保守派に対する評価がすげー甘いです。

自民党河野太郎さんばかりでなく、
長く「反原発」に対立してきた日本共産党がようやく
「脱原発」を明確にし、保守の論客西尾幹二さんが
「脱原発こそ国家永続の道」を発表しています。
財界でも、ソフトバンク孫正義さんの
「メガソーラー」計画や楽天三木谷社長の
「経団連脱退」発言が話題になっています。


自民党は震災直後から推進の立場を変えていません。
共産党は吉井議員を筆頭にずっと反原発を訴えてきました。
経団連の圧倒的多数は原発推進です。孫さんは唯一の反対者です。
西尾幹二は原発には反対しても核武装は推しています。


あんた仮にも平和運動家なんでしょ?
なんで非核三原則を撤廃しようとする男を敬称で呼ぶの?


このような珍論の果てに続くのが次の結論。

つまり、「脱原発」は日本の国家と社会のあり方の全般的転換、
「戦後との訣別」を意味します。核兵器・核エネルギーを一体の
ものととらえて考え、「原子力村」の談合による微調整に終わらせることなく、
「自主・民主・公開」の広い国民的討論の中で、「脱原発」を選択すべきです。


私にはどうしても改憲と核武装、被差別をはじめとした
マイノリティへの差別発言、歴史の改ざんを行う西尾幹二のような人間が
反原発になったからって戦後とは決別できないと思うのですが……
まーこういう奴を褒めちぎる加藤だからこそ言えるのだろうな。

そもそも、加藤ってマルクス主義を自称しときながら(!)
国際主義くささが全然ないですよね。

そこは世界の在り方の転換とか、20世紀の決別とか書くべきでしょ。
我が国がどーたらこーたらとか、おまえは国家主義者か。

自分が日本中心に考えていることを図らずとも露呈してますぞ?

結局、こいつにとっては核・原発=共産主義、
核からの脱却=脱共産=戦後との決別ってことなんだろうな。

いくらなんでも歴史の勉強がお粗末すぎるぜ!
っと言いたいが、この男、それなりに資料は押さえていて
自分のサイトのリンクで紹介してますから、意図的に書いているのでしょう。

加藤のこういう態度をみると、どれだけ権威のある政治学者でも
御用学者ってのは見苦しいことこの上ないんだなと教えられる。

正直、私は西尾や藤岡のような極右や、藤井や中野のような雑魚学者より
加藤のように市民団体にも支持されており、左派系学会でも排除されず、
かつ自分が編者となって岩波をはじめとした正統派出版社に数々の本を
書いている加藤のほうが脅威だと思っていました。

少なくとも加藤は出鱈目ではなく正攻法で攻撃してると考えてましたから。
でも、実のところ極右と大したことない奴だとよくわかった気がします。

逆を言えば今の日本って左翼まで反共化してるってことですよね。
私は右傾化よりもそっちのほうがヤバいと思います。

そもそも戦前の遺産の一つに反共主義というのがあり、
そのせいで多くの人間が治安維持法の犠牲者になりました。

戦後も冷戦体制の中その主義は残りレッド・パージをはじめ、
数々の排除政策が採られたわけですが、冷戦の終結後、
反共主義はソ連から中国や北朝鮮に視点が移って激しさを増しています。

加藤が戦後と決別したいならまず自身の反共主義から
足を洗うべきでしょう。っていうか、そうしないと結局、
反米地域の住民とは協力できずに、シュバイツァーよろしく、
野蛮な国家の善良なる市民のために有難いお説教をして下さる
欧米市民運動家としか仲良くできないと思いますが・・・・・

まー、それで満足してそうだよね。この65歳の爺さんは。