時事解説「ディストピア」

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話せばわかれば警察はいらない

2013-04-05 20:29:54 | 北朝鮮
人工衛星(NASAもあれは衛星だと認めています)ひとつ飛ばすだけで
大騒ぎした日本が、今の北朝鮮の態度を見て騒がないのはどうしてか?

冷静に考えれば、今のほうが韓国やアメリカといつ戦ってもおかしくない
状態なのです。朝鮮戦争以降の休戦状態を白紙に戻したのですから。

じゃー、なんでいつも金正恩がくしゃみしただけでも
「これはゆゆしきこと!」と騒ぎそうな評論家や活動家が沈黙してるのか?

これは簡単なことで、本気で戦争をしてもらうと困るからです。
日本はソ連が消えたから今まで、ソ連に代わる脅威が必要でした。

恐ろしい敵を相手に立ち向かうヒーローを演じることが
自分の票を稼ぎ、政界で権威を高めるのに効果的なのです。

その典型的な例が安倍首相で、彼は表側では北朝鮮を敵国扱いしているが
一方では、向こうの国と縁のある宗教団体と懇意の仲であるわけで、
要するに、単なるパフォーマンスなんですよ。

評論家もそうやって正義のジャーナリストとして
自分を売り込んでいるだけで、自衛隊もそうやって
軍事予算を増やそうと画策しています。

要するに、北朝鮮が本当に滅んでしまうと
困る連中なんですよ、奴らは。


彼らにしてみれば、なるべく飯のタネには悪役を
頑張って演じてもらいたいわけで、引退宣言をしようものならば
どうなるか?当然、必死になってフォローするでしょ。

「引退するにはまだ早い」ってね。

ここ連日の北朝鮮報道は、人工衛星発射直前の
火のようなバッシングの嵐と比べるとすごくおとなしい。

さすがにこれ以上煽ると向こうが本気でキレると思っているんでしょう。

加藤哲郎をはじめ、今までノリノリで正義の使者を気取っていた連中も
「日本が軍事化する恐れが!冷静に対話を!」とまぁ、今の日本人が
ここまで他国に対して敵意をむきだしになっているのは誰のせいだよと
ツッコミを入れずにはいられないセリフをほざいています。

で、この「暴力ではなく対話を!」という主張ですが、
一見、理知的な意見に聞こえますが、こちらにも非があるという
自覚をしない限り、「向こうは悪党だが俺たちは正義だから
大人になって相手をしてあげようぜ」という独善的な主張に陥る
危険性があります。今の北朝鮮報道を見ると、こちらの過剰な
反応にも問題がありはしないかという問題提起すらない状態です。

昨日の日本経済新聞の記事にこう書かれていました。

日本経済新聞 2013/04/04付朝刊]

このところ平壌から核攻撃の脅かしが聞こえてくる。
自分たちの要求を米国の優先的政治議題に取り上げさせようという
いつもの威嚇ではある。だが、今回は打ち鳴らす太鼓の音が大きく、
平壌、ソウル、あるいは同盟諸国がそれぞれ致命的な誤りを
おかしてしまう可能性が高まっている。

相互に無関係のいくつかの動きが緊張を高める要因になっている。
南北朝鮮で新しい世代の指導者が政権に就いた。
通常なら新たな対話の道が開かれるところだが、
2人がそれぞれ自国の観衆向けに強いところを見せようとして
意思疎通ができなくなる恐れがある。

米軍と韓国軍が半島周辺で年次の演習を実施したことで、
北朝鮮が声を一段と強めている。

こうした状況下では偶発的衝突が重大な地域紛争の引き金になりかねない。
演習は韓国の安全保障のために必要だ。
しかし、黄海の一部での演習が瀬戸際の危険な行動になるかもしれない。

今すぐ全員が緊張を和らげなくてはならない。
若き金正恩氏は米国の都市と軍事基地を攻撃すると脅している。
彼は伝統的なルールブックに従っていると思っているのかもしれない。
だが、彼の行動のテンポは危険だ。

平壌の主な同盟国である中国はついに制裁強化に賛成した。
北京は制裁を実施しなければならない。

一方、ワシントンは北京に対し、北京が北朝鮮への支持を取りやめ
金一家が崩壊した場合、半島が米軍の長期的基地にならないことを
改めて約束しなければならない。

緊張を解消するために最も重要なことは平壌との対話の推進だろう。
どのような攻撃にも断固として反撃することを
明確にしておく必要はあるが、話し合いは紛争の脅威を軽減する。

その場合、米国と韓国が平壌の非核化という前提条件を
取り下げなければならないかもしれない。

非核化を目標として掲げ続けるべきだが、
それが実現すると考える専門家はほとんどいない。

ならず者国家と関係を持つことが不快であっても、
平和への唯一の望みは意思疎通の場を維持することにある。(3日付、社説)


どうです、この全体から漂う日本正義のオーラ。
この社説のなかに北朝鮮の立場を慮る言葉が
一文字も見当たらない。

金政権をぶっつぶすのを前提にしておきながら
対話をー!だなんてよくも言えたものだなぁ……

この社説のなかにアメリカの軍事演習が言及されていたけれど
この演習の中でアメリカは、
核核兵器を搭載可能なB52戦略爆撃機を急きょ派遣し、
軍事境界線の南側付近を数回にわたり飛行させた
んですよ?

「年次の演習を実行した」なんて生易しいものじゃなくて
文字通りの脅しですよ。脅しには脅しですよ。

北朝鮮側の報道を読むと、この米軍の北朝鮮占領を
想定した軍事演習を領海近辺で行ったことが現在の
緊張状態のきっかけだと言っているわけです。

この言い分が正しいかどうかは別として
向こうのキレている理由までごまかして
「演習は韓国の安全保障のために必要だ」とうそぶくのはいかがなものでしょうか?


おわかりでしょうか?
今の新聞の報道なんてこの程度のレベルなんですよ。

そして、残念ながら日本の左派陣営もこのレベルを
脱していないと思います。浅井基文さんなど本当に少数の方は
向こうの言い分を理解した上で提言していますが、それは微々たるもの。

この件に関しては共産党も同じ意見です。
加藤哲郎の朋友である宮地なんかはいまだに
「共産党と北朝鮮はグルなんだぁああ!!!」と
叫んでいますが、60年代を通じて自立路線を進んだ
共産党は共産主義国に遠慮しなくなった一方で、
日本中心に外交を考えてしまうようになった気がします。

さんざん加藤哲郎のクソっぷりを書いているので
誤解しているかもしれませんが、私は党員じゃありませんし
そうだからこそ、彼らが出来ないこともきっちり指摘するつもりです。

戦前の共産党は国際主義の色が強くて
侵略された他国の民衆と一緒に行動することが出来ましたが、
はたして自国中心の外交に転じてしまった今、
アジアやアフリカ、南米における欧米中心の報道に
苦言を呈することができるのか?

まー、たぶん出来ないと思うんですけどね。
それは他国の共産党からの独立、議会主義を尊重した結果
ですから、もろ刃の剣のマイナス面だと思います。

そういう部分を、市民運動家が補わなければならないと
思うのですが、加藤をはじめ、先進国中心の思想は
むしろこいつらのほうが程度がひどいってのは、本当・・・
やばいなと思います。