津市一身田町にある、
浄土真宗高田派の本山である専修寺(せんじゅじ)の
御影堂および如来堂が、
平成29年11月28日、国宝に指定されました。
地元の一身田では
上の画像の横断幕を掲げ、
祝賀ムードに満ちていますが、
その一方で、地元の津市民や三重県民に
それほど関心が高まっていないように
見えるのは何故でしょう。

(高田本山専修寺、左が如来堂、右が御影堂)
その理由を想像するに、
まず第一に、
金閣寺や東大寺のように
その時代を代表する建築物として
教科書に掲載されていないこと、
なので、どのような点が評価されて
国宝となったのか、知らない人が多い。
第二に、
現在も浄土真宗高田派の本山として
主に宗教活動に活用されており、
信徒以外には縁のないところ、
と思われてきた。
というところではないかと思います。

(如来堂)
専修寺の歴史については
「美里町の探検日記」本編に記しているので
今回は、国宝指定についての
いくつかの話題を書かせていただきます。
1三重県内の国宝は津市に集中
御影堂および如来堂は、三重県内で初めての
「国宝に指定された建築物」です。
これで三重県内の国宝は6点となり、
うち4点が津市(高田本山)にあります。
三重県民の感覚では、
伊勢や伊賀のほうが「歴史の香りのする町」なのですが
意外なことに、津市に国宝が集中する結果となっています。

(遠くからでもよく目立つ高さ)
2とにかく大きいことが自慢
御影堂および如来堂の高さは約25m、
この大きさは、江戸時代以前の国宝の仏堂として
全国5位の大きさです。
トップはもちろん、奈良東大寺の大仏殿です。
数字だけでなく、実際に一身田に行くと
このふたつの建物が周囲の街並みよりも
際立って高く、よく目立つのです。
3実はこんなところで日本一
御影堂は藤堂藩の支援により再建されたものですが、
如来堂は、信徒の寄進により建立されました。
貴族や大名などの有力者が建てたものではない、
「信徒の寄進」による仏堂としては
日本で最大級の大きさなのです。

(複雑な構造からなる御影堂の巨大な庇)
4日光東照宮に通じる建築様式
御影堂の建築様式を専門家が調査すると
かなり関東の特徴が濃かったのだそうです。
再建にあたって、
藤堂高虎公のネットワークを駆使して
大工などの職人を関東や名古屋から集めた結果、
先に日光東照宮などにも携わった、
経験豊富な大工や彫刻師が参加しました。
このことで、主に関東の寺院によく見られる
特徴が専修寺に見られるのだそうです。
5国宝のほか重要文化財も
寺内には、山門、唐門、太鼓門など
国の重要文化財も並び、
非常に見どころが多いのです。
それに一身田の地内町巡りも加えると
たっぷり2時間くらいは楽しめるスポットなのです。
ということで、
簡単にご紹介させていただきましたが、
もう少し、詳しく知りたい方は
「美里町の探検日記」本編をご覧ください。
釘貫門と旧伊賀屋旅館(一身田寺内町その16)
高田本山専修寺の如来堂(一身田寺内町その2)

(境内に建てられた説明板)