六根清浄、お山は晴天。 登って下って、どっこいしょ。

たまに書く、時々入力、気が向いたら、したためる。駄文満載、阪神裕平ことおやじぃ雅のアウトドア雑記帳。

冒頭の文句だけは知っている、 あの恋愛小説の舞台にて

2023-06-16 23:59:41 | Quiet~いぶし銀、渋めの山
ちょっと道草、回り道。寄り道をして山歩き
たかを括って
国境の長いトンネルを抜けると 
                         
【大峯百番観音・越後湯沢駅~山の湯~
    湯沢高原スキー場~NASPスキーガーデン~
     秋葉山~越後湯沢駅/新潟県】

G.Wに新潟へと出かける用事ができた。
だったら用事の前にひと登り、
途中下車して、以前から気になっていた
山道を歩くことにした。

山道の名は「大峯百番観音」。
場所は新幹線・上越線の「越後湯沢」駅を
囲む感じ、列車の進行方向でいえば、
新潟方面に向かって左半分となる部分で、
道中には西国、秩父、坂東の観音様のオンパレード。
拝んで歩けば、さぞやご利益も
あるのではと思わせる、ありがたきルートである。

さらに
この大峯百番観音には
ある恋愛小説の生まれるきっかけとなったという
エピソードもある。

何でも大峯百番観音が完成したのが昭和9年。
完成当時はお祝いの大宴会が催され、
周囲の芸妓は皆宴会の席に出勤中。

そんな折、宿のお客のひとりが芸妓を所望した。
さあ困った、仕方がないので見習い・半玉で対応したところ、
これが大正解。お客はことのほか喜び、
この半玉をモデルに小説を書き上げた。

この客こそ、後にノーベル賞も受賞した
あの文豪。そして書き上げた小説が
「国境の長い~」と、
誰もがご存じのフレーズで始まる
「雪国」だった。

へぇ、そうなのでのある。
ただ、ここで心に引っかかったのは、
信心でも、文豪、半玉でも、雪国という作品でもなく
大峯百番観音のこと。

つまり街をあげて、そこまで盛大な祝いをした割には
知名度低しという点だった。

これまで越後湯沢には、かなりの頻度でお邪魔をしてはいるが、
大峯百番観音の名を聞いた記憶はない。

果たして今は、どうなっているのかと好奇心がわいて、
いつか出かけてみようかなと思っていた次第である。

調べてみると、やはり歩く人はごく僅か。
時代の流れの中で、
人々の記憶からも消えかけていた存在だったらしいが、
近年再整備がなされたという。

地図を見ると等高線の間隔は密。これは意外と大変かも、
いやいや急登、急降下のようだが、こちらは巡礼の道でもある。
きっと道は迂回やらあれこれ、楽に歩ける工夫があるのではと、
楽観視、希望的観測を抱いていた。

ところがどっこいである。現実は甘くないのである。
登りは地図の示す通り急であり、
しかも途中にあるのがスキー場。
               

                                   

           
特に今年は疫病による自粛もなく、
人、ひと、人の大賑わいである。

登り口から息を切らし、観音様を拝みつつ
無心で静かに歩いてきたものの、
日頃は煩悩まみれの身。
このにぎわいは見過ごせない。

さっそく出店ウォッチングほかで、
事前に計画したコースタイム無視の
大休止となる。

いかん、今日は巡礼チックな山の旅。
まだ先も長いぞと、心を鬼にというのか、
後ろ髪を引かれつつが適切か、
とにかく前へ、再び歩き出す。

が、おっとルートを誤った、
大峰をめざすはずが、
少しオフコースしてしまった。

であるが、進むべき方角は
間違ってはいないので、
そのまま進み、後半戦へ。
           
まだ冬の雪対策の名残りか、
黒い覆いのある観音様も
いらっしゃるが、出会えば合掌、
あらためて無言の行ではないが、
口を結んで沈黙の山歩き、
アゲインである。

今度は下り、こちらも急降下。
観音様の前ではとにかくストップ、
立ち止まり、
この先、転けませんようにと
お願いする始末だ。

そうこうしているうちに
またしてもスキー場に出くわす。
こちらも家族連れなどで
大盛況である。

今度は小休止、そそくさと後にして、
最後の登り、秋葉山をめざす。
                   
その後も合掌、プラス唱える定番の文句、
ひと言を存じ上げないので黙礼を
繰り返しつつ、再び越後湯沢に駅へ。

朝、7時半過ぎに出発して、現在12時30分。
途中で大・大休止や、ショットカットはあったものの、
舐めてかかるとしっぺ返しありの
大峯百番観音は無事に、ほぼ完歩と相なった。

ようし、とりあえず気になっていた
山道は歩いた。

ならば、せっかくなので
ついでに「国境の長いトンネル」の続きも。
東京に戻ったら、今度は活字の海で、
泳いでみるとしますかな。
                       

〜2023(令和5)年5月4日(木)にトボトボ。
  ん、そういえば、道中は誰にも会わなかった。
    アップダウンは大変だが、駅前ながら静かな歩きを楽し‥、
      いや苦しむか、とにかく歩く〜

具材は、モノマネのあの人にあらず。念のため

2023-01-19 09:35:24 | om nom nom~ご当地パンをパクつきつつ、しばし黙考
美味なる地域活性化の担い手を、
食べながら
       
みしまコロッケぱん~三島市(静岡県)

登った、歩いたと、アウトドア遊びの帰り道にガブリ。
口にするのは、地元で愛される食のひとつ「ご当地パン」。

そんな旨いをほおばりながら、
ぼんやり、よしなしごとを考える。

今日のいただきましたは、
達磨山登山の帰途に立ち寄った
静岡県三島市の「みしまコロッケぱん」。



三島市は、三島馬鈴薯なるジャガイモの名産地だそうで、
2007年頃から、このジャガイモを使った「みしまコロッケ」で
街に活気をにぎわいをと展開中の場所だ。

そして、みしまコロッケをパンに挟んだ一品が
「みしまコロッケぱん」。

さっそく考案したパン屋さん「グルッペ・石渡食品」へと赴き、
売り場を見渡すと‥。おっ、あった、見つけた。

ん、何々パッケージには
「第三回ご当地パンまつり優勝」という表記もあり。
これは食べずに帰れば後悔必至。
直ちに購入して、店内のイートイン・コーナーへゴーとなる。

目の前には「みしまコロッケぱん」と、具に玉子も加わった
「ダイヤモンド富士 プレミアムみしまコロッケぱん」の2つ。

椅子に座ると同時にガツガツ、モグモグ。
パンを口にしているゆえに
当たり前だが言葉は出てこない。

しかし頭の中では、パンにちなんでか地域活性化、
どうすれば街が元気になるのだろうと
まあ勝手気まま、お気楽な考えが浮かんでは消え、
また浮かびと、たいそうにぎやかになってきた。

やはり人材ありきか。

よく地方、地域活性化に必要なのは「三者」といわれる。
三者とは「よそ者」と、専門分野一筋で世間の常識にうとい、
頓着しない、俗にいう「何とか“馬鹿”者」に「若者」のこと。

この三者が、各地の「その土地出身、生活者の方々」&
「地元の生き字引的な長老の方々」たちなどと
タッグを組めばベストといわれる。

しかし、そう都合よく三者が集まることはなかろう。

だったら、こんなアイディアと、
大都市に住まう大学入試を控えた受験生は、
地方の大学しか受けられない、もしくは地方大学志望者には
成績次第で優遇措置ありとするのはどんなもんか。

つまり学生生活の最低4年間は地方、
初めての場所で暮らす仕組みがあればと
いいのではないかなと、ふと思った。

これがうまくゆけば、三者集めも楽になるはず。

何せ大都市からやって来た新大学生の彼女、彼らは
正真正銘のよそ者である。また若気のいたりや
思い立ったら猪突猛進など、世間知らず的な“馬鹿”の要素も十分。
そして、当たり前だが皆年齢も大半は18歳から20歳で「成人」
カテゴリーの若者、つまり三者の条件が全て備わっている。

さあ東京など大都市の大学受験生の皆さん、
めざせ地方の大学へ‥。

おいおい、ついでにもうひとつおい、
志望校は受験生の勝手だろ、その他反論多数で、
たわけたことを申すでないと一刀両断、
即却下となりそうなので、
妄想はこれにておしまい。

あれ、頭を使っているうちに
口もせっせと食物消化、いつの間にやらパンは2つとも
ペロリと平らげておりましたわ。

コロッケはもちろん、パンもどこか中華まんの
生地のような感覚で、コロッケとパンの相性は抜群。
よってお味は実にグッド。ごちそうさまでした。

それなりにお腹もいっぱい、こりゃぁ帰りの電車では
瞼が重くなりそうだ。よだれ要注意、あっ、今は電車内では
マスクをしているから、このあたりは心配無用か。
では安心して、爆睡とまいりましょうか。
       


《コロッケパン・おまけの番外編》
こんな「コロッケパン」も味わってしまった。

三島市でたべたからなのか、
帰京後も、都内で「ヘェ~そうなの」と
「ヒェェェ~驚いた」と、2つの美味なる
コロッケパンに出会ってしまった。
そこで、ご当地パンにあらずながらも、
ついでに紹介をば。

●「ヘェ~そうなの」は、銀座の一角だった。
「チョウシ屋・コロッケパン」
我が国におけるコロッケパンの始まりは定かではないが、
こちらのお店は、いわゆる「お肉屋さんのコロッケ」を売り出した
元祖、本家、発祥だそうだ。
         
味は、今日まで支持されるコロッケ、
仕上げるまでには随分とご苦労の
あったであろうオリジナルソースとパンの三位一体で‥。

この続きは銀座へお出かけの際に、ぜひ。

なおコロッケを挟むパンは、食パン or コッペパン、
2種類から選べる。



●「ヒェェェ~驚いた」には、JR蒲田駅のコンコースで。
「1.2.3クラブハウス蒲田店(小菅製パン)・
ごくふつーのコロッケ」
よく名は体を表すというが、
このパンの場合は名は体を表さず。

第一印象は、これはどこがふつーなのかの
ひと言に尽きる。

     
ルックスは超スーパー巨大なコロッケが
コロッケを召し上がる際、
つかむのにでもご利用くださいな程度、
控えめサイズのパンに挟まれている。

カロリーも、1個でほぼトンカツ定食一食分に
匹敵すると、見た目も熱量も
ごくふつーとは対極にあるパンだ。

さて肝心の味は‥。
JR蒲田駅と東急蒲田駅の間にある通路を
歩く機会があれば、買って食べてみるべしだ。
食の素敵な体験になること、多分間違いなしである。
         



せっかくなので、歩きますかな、残りもう2駅分

2023-01-12 02:34:46 | Quiet~いぶし銀、渋めの山
登る前に
お会いした二人のレディより
パワー、頂戴いたしました
             
【上条~入広瀬~大白川/新潟県】

どえらき降雨で、断念した夏の守門岳山行。
ご縁があればまたあらためてと思っていたら、
秋のある日に出かけることができ、
無事にピークにもお邪魔することができた。

そこで山の記録を残すかと
パソコンに向かったが
山の話は、ほかでもいろいろありそうなので、
少し趣向を変えて。

今回は途中で出会った
インパクトある御仁について書いてみようと思う。

実は今回の計画では、垂直に登る前に水平もと、
只見線の駅、2駅間を歩くこともプラスしてみた。

理由は、前回訪れた際に登れないので、仕方なしと
只見線の3つの駅の間を歩いたが、これが
意外と面白かった。そこで引き続きである。

コースは登山口の最寄りとなる「大白川」駅まで、
夏は「越後須原」駅までだったので、
残りの2つの駅間、
「上条」と」「入広瀬」を歩くことにした。

只見線の沿線に、人気、有名、話題のスポットは
見当たらない。

コスパだ、タムパだ何度という人には、歩いたところで
時間の無駄と一刀両断、切り捨て御免のエリアだろう。

しかし、そんな一見空費なような時間の使い方が
闇雲に忙しく、何でも費用効果や
ものごとに即決が求められる現代においては
逆に貴重で、得難い経験でもあるような気もする。

例えば今からしたためる2駅間の歩き旅では、
パワー溢れる淑女にお会いすることができた。
それもお二人。どちらもシルバーエイジの女性だが
ともすれば意気消沈、うつむき加減となりそうな心を、
パッと前向き、元気へとチェンジしてくれそうな
雰囲気を持ったレディである。

お一方は「入広瀬」駅の周辺で。

上条駅から歩き出し、途中に守門温泉、廃隧道や
道の駅、その裏にある城跡を巡ってと、
ひとり遊びを楽しんだ後に
到着したのが上条の次、入広瀬の駅。
    

     

    
ここでも週末だというのに、
観光客、というかあまり人には
出くわさない。
                                     

        
かわって、只見線に愛想をふりまく
カカシたちがお出迎えとなった。

では先にと歩き出してすぐ、
目に止まったのが、玄関に「松風」という
名称の入りの暖簾がかかった古民家。
       
ここは何だろうと、のぞいていると
呼び鈴があったので、
そっと押して「ごめんください」と、
声をかけてみた。

するとクイックレスポンスである。
奥から、まあ張りのある
まさに、はつらつとした
返答があり、人がやってくる気配だ。

声の主は女性、お歳はレディに聞くのは
失礼なので憶測だが、多分70代か。

とりあえず、ここは民宿か何かと
クエスチョン。アンサーは、
完全予約制レストランとのこと。
昨年開業して今日にいたっているそうだ。

では今度は客として来ますと申せば、
「ぜひおこしを。お持ちしています」と
これまた力強い響きの声で、ひと言いただいた。

女性と別れて、愛用タブレットで
インターネットで検索してみると
女性は浅井さんといい、お歳は76歳。

開業の動機は、地元・地域が元気になればと
一念発起したそうで、とても俗にいう
老いてくるとありがちな
たそがれ、しょぼくれ感は微塵も感じない。

自身も決して若くはなく、
時にもう歳だしと弱音が口からポロリだが、
ここで大いに反省。

でしゃばるわけではないが、
それなりの力でひと踏ん張りも
必要だなと思えてきた。

さらに歩く。入広瀬から大白川までは
本当に何もない。ただただ、ひたすら道歩きだ。
途中にはかつて「柿ノ木」という駅も
あったそうだが、今は全く痕跡なし。

さらに歩く。ようやく大白川の駅が、
只見線では大きな部類の駅舎が見えてきた。
やれやれである。
             
  
大白川駅の駅舎の2階部分は、
週末と祝日のみ営業のそば屋となっている。
上手いとの評判もあり、今日も駅舎前は
そば店利用者の車がびっしり。

その光景は、鉄道の駅でありながら、
ここは道の駅かと見まごうばかりだ。
この駅舎の前で出会ったのが
もう一人のレディ。

彼女は地元の農家の方で、
あれこれ手作り野菜を広げて、
販売中だった。

人だかりにつられて、
あれこれ眺めているうちに、
言葉は悪いが、いかん逃げ遅れただ。

気がつくと自分以外にお客はゼロ。
これは気まずい、小心者ゆえに
何も買わずに立ち去る勇気もない。

ちょうど手頃なプライスの
枝豆ほかがあったので、よしこれ買ったとなる。

お金を払って、しばし彼女とも
「売り上げは‥」などと
おしゃべりタイムとなる。

あまり長話は商売の邪魔になるかと、
ではそろそろと、なったところで
彼女から大サービスだ。

よかったらまだ食べるのには
ちょっと早いがと、アケビをいただいた。

しかも「いいよ、持てるだけ、
好きなだけ、どうぞ」。
気前もいいのである。

遠慮せず、たっぷり頂戴し
ザックに詰め込み、さて今宵の宿まで
歩くか。いやその前にいただいたアケビを
ひとつ口にしてみる。

味は彼女のいう通り、
本当の美味を味わえるのは
もう少し先のようだ。ではあるが、
久方ぶりに食べたアケビは、
ほんのり甘かった。

食べながら振り返ると、
彼女はひと休みと、紫煙をくゆらしていた。
これがまた、実に美味しそうで、
超クールな佇まい。

禁煙全盛の時代ではあるが、
タバコだって、お酒などと同様に
過度は慎むべき嗜好品の一種。
彼女のように格好よく、適度に嗜むのであれば
そうめくじら立てる問題ではないような気もするが
どんなもんだろうか。

レストランを開業したレディ、
駅舎前で手作り野菜を販売するレディ、
お二人の醸し出す雰囲気は、
お笑い芸人の芸名ではないが
「とにかく明るい」である。

高齢化社会での弊害のひとつに
「怒り、すぐ怒る」がある。さらに最近は
「俺の意見が一番で、ほかは論外」という輩も
少なくない。

よって世の中は、
どこか殺伐としているが、
明るさなしでは、
幸運だってソッポである。

ほんの短い時間ながらも
二人のレディから、あらためて
明るさ、元気さの大切さを
学ぶことができました。

後は、東京に帰ってから
実践あるのみ。
眉間の皺より、口角上げて。
さあ、ジィさんには
できるかなである。


歩いた翌日は大白川からピストンで守門岳へ。

無事に下山して、東京に戻る列車の
乗り換えで下車した小出の駅で
ゴミを捨てようとしたら、アケビがひと枝分
ザックの底に残っていたので、思わずガブリ。

甘みが気持ち増しているような気がした。
            

〜2022(令和4)年11月のある週末、雪の便りが届く前にと、
  ジィさん、沿線を歩いて、人に出会って、山に登って、帰京したとさ。
    はい、お疲れ様〜

師走のある日、 縁起もよさそうな名前の山へ

2023-01-01 01:19:48 | Graffiti~チョイとひと言
2023年は「七転」‥続くは「八起」か、まさかの「八倒」か。
漂えど沈まず。常に気分は
兎の登り坂 
       
【大曲茶屋~伽藍山~達磨山~戸田峠~
金冠山~だるま山高原レストハウス/静岡県】

ここは静岡、修善寺の奥に位置する達磨山周辺。
今日は年末恒例、富士山を拝みつつ
来る年のモットーを考えるか山行でお邪魔している。

歩けば開運、出世など幸にばったりと出会いそうな山名、
加えてルートは富士山に向かって歩くので、
ゆくてには終始海を隔てて富士山のお姿あり。

また登山道と車道が、ほぼ並行して走っており、
少々考えごとをしながら、ぼんやり行動していても
安心度は高し。

そんな理由から選んだ次第だ。

修善寺の駅からバスに揺られ、
スタート地点である大曲茶屋にて下車、
見上げればお空は晴天、雨具の出番はまずないだろう。
風も心地よい微風といきたいところだが、実際は強過ぎで、
どえらく寒く感じるが、季節は冬であるのだから
当然といえば当然か。

ただ風が強いお陰で、富士を隠す雲はなし、
あってもすぐに通り過ぎる。よし目的の1つである
富士山ウォッチングに関してはノープロブレムだ。

では歩いて、休んで、2つ目の目的である
来年2023・卯の年のモットーでも捻り出すかである。

行動はすこぶる順調で伽藍山、古稀山といいペースで
頂を越えてゆく。もちろん途中では、景色を眺めつつも、
風を避けられる場所を選んでは大休止。
モットーのネタ探しも欠かさない。
   
しかしグッドなフレーズが、電池残量を気にしながら
愛用のタブレットでインターネットを検索しても
見つからないし、よく歩いているとナイスな
ひらめきがあるともいわれるが、それも全くなし。

そうこうしている間に達磨山まで来てしまった。
こうなったら、風の影響も少ないであろう
くだった先の戸田峠で大大、大休止。
頭をフル回転して考えてみることにする。

戸田峠に到着後、ザックを下ろして
いざ言葉探し。まずはインターネットで、
2023年の干支の卯、兎の字が
用いられている言葉を探してみる。
         
おっ、これはどうだ、さっそく見つけた言葉は
「守株待兎(しゅしゅたいと)」。
ところで意味は、いわゆる棚ボタを期待することですか。
こりゃあかん、残念ながらパスですな。

その後も、最近はつと見聞きしなくなった言葉だが
“ネットサーフィン”をしていると、
ひっかかったのは「兎の登り坂」という文句。

兎は後足が長いので坂を登るのは得意、
転じて持ち前の力を発揮できて、ものごとが
順調に進むなる意味とあった。
よしこれ、いただきである。

しかし、兎の登り坂だけでは少々寂しい。

引き続き、あれこれ言葉を探していると
出くわしたのが「漂えど沈まず」。

こちらはおフランスはパリ市の標語で、
元々はセーヌ川の船乗り組合のものだったらしい。
意味は読んでの通り。

これも悪くない。しからば、こいつを加えて。
山で川がルーツの標語というのも何だが、
まあいいでしょう。

その後も一考、再考の末にできた言葉が
「漂えど沈まず。常に気分は兎の登り坂」。

2022(令和4)年は、毎日が崖っぷち、
土俵際、タイトロープといった形容が
似合うことの連続。まさに1年という時間の中を
さまよい、漂った。が、どうにか沈むことは免れ、
今日も山を歩いている。

そして迎える2023(令和5)卯の1年、
さあ今度は兎の登り坂モードだ。

ちょいと自らを振り返ることや、
へこたれるな、前を向いて、元気を出してと
自らを鼓舞する感じもあり、
はいモットーは、これに決まり。

かなり時間を費やしたかいあって、
出来もまずまず、としておこう。

これにて2つめの目的も完了である。

だったら締めは、年賀の1枚でも。
実はザックの中には、兎の耳の形をした
被り物も忍ばせてある。
それでは富士山バックに撮影でもして
帰りましょうか。

よっこいしょういち、昭和のギャグも軽やかに
ようやく腰を上げ行動再開、
じぃさん山の頂をめざして歩き出す。
             
【ここでお詫び】
その後、金冠山頂にて撮影にと
装着した兎の被り物は、
着けたと同時に強風にあおられ、
どこぞやへ。探してはみたものの
発見にはいたらず。よって回収はできずで、
山にゴミを放置してしまうことに。

今後、山へ出かけた際は、
訪れた時より美しくと、ちょびっとだけ
ゴミ拾いもルーチンワークとして
加えますので、どうか山の神様、ご勘弁を。

【さらに蛇足の追伸】
それでも撮影は、被り物のパッケージにあった
イラスト他でつつがなく。ハイポーズで
どうにか撮ることができました。
   


その日、悪天につき

2022-10-19 23:39:59 | Quiet~いぶし銀、渋めの山
頂は、また次なる機会に
いただくといたしましょうか
     
【只見線沿線トボトボ「越後広瀬駅」~「魚沼田中駅」~
「越後須原駅」/新潟県】

掃除用具の高圧洗浄機で
取り除かれる各種汚れは
きっとこんな気分なんだろうな。

しのつく雨に、前進も後退もできず、
その場でフリーズ、立ち往生しながら
ぼんやりとそんなことを思っていた。

今、ものすごい勢いで雨が降っている。

予定は、只見線の大白川駅から
守門岳の頂をピストンだった。
しかし天気予報をチェックすると、
今日は悪天、終日大雨。
乗り換え駅である小出駅でも
かなりの雨模様だ。

さてどうするか、無理は禁物である。
若い時分は、技術に知識なしを
体力で補っていたが、じいさんとなれば、
頼みの体力もなしである。

ましてや単独行、俺は大丈夫と、
高をくくっての行動は、
百害あって一利もなし。

よし、ここは雨天順延だ。

急きょ山の予定は平地に変更、
この機会に周辺を散策してみることにする。
スタートは、こんなこともなければ
多分降りることもなしの駅からとしますかな。

そして散々迷った挙句に決めたのが
始まりは只見線「越後須原駅」。
まずは秋になったら再訪してみようか、
そんな花の園・コスモス園をお邪魔する。


この時点で天気は曇。
あれ、これなら予定通りに
登山すればよかったか。

しかし登らずに正解、とりあえずは
長年山やアウトドアと付き合ったせいで
身についた“山カン”は、現在も一応正常に
作動中のようで、途中から雨、
これでもかと降ってきた。

大変な事態ではあるが、
本人は案外冷静というのか、
阿呆なのか、しばらくは先にも書いた
高圧洗浄機で洗い流される
汚れ気分にひたっていた。

しかし、それも限界、そろそろ何とかせねば
足元すくわれ、川にでも流されて、土左衛門である。

すると前方に「ものずき村」なる施設の看板を発見した。
それでは、急いで逃げ込め、ものずき村へ。

屋根があり、雨がしのげる場所へと足を動かすが、
雨脚はそれ以上。
微速にして牛歩だが、とにかく動けだ。

ものずき村は、地元・新潟魚沼の絶品なる
山や里の幸を販売する施設だった。
また併設された飲食店「そば処 げんたん」は、
その名の通りそば、そして天ぷらのお店らしい。

タブレットで調べてみると、飲食店は評判の店らしく
普通なら、かなりの待ち時間あり、
行列のできるグルメスポットのようだが、
本日は雨で人もまばら。
そこでランチはそば&天ぷら、食事をしながら
しばらく天気の状態を様子見することにする。

雨はますます勢い良く、おまけに食べる施設は
ビニールハウス風なので、雨が屋根にぶつかると、
まさに爆音。とにかくけたたましい。
    
  
 
これからは、さてさてどうしようか。
おとなしく東京へ帰るか、いやもう少し待ってみるかと、
お店の方のご好意もあり、食後も店内に長居をしていると
ようやく雨のパワーもダウン、弱くなってきた。

時間も午後とはいえ、平地ならまだ普通の活動時間である。
では、もう少し先へ歩こうかだ。

出発の用意をしていたら、お店の方が、只見線以外にも
バスもあるからと手書きのバスの時刻表を渡してくれた。

ありがとうございます、多謝に感謝、最敬礼して、
次の駅「越後須原駅」をめざしてみることにする。

目的はお住まい拝見、駅前他に
かつての地元で指導者的な
農家の建物が二軒あり、こちらの見学だ。

一軒目は庄屋様級のお方お住まい。近いのかと思いきや、
これが随分と上へ上へで、急勾配の道を大汗かいて、
息を切らして、ようやく着。ちょいと休ませていただく。
    
お次は駅前の庄屋様でもある豪農の館。
道も今度は駅まで下りオンリー、
よって歩きも快調、おっ雨も上がったようだ。

豪農の館、ついでに創業は豪農の館の主という酒蔵も見て、
タイムオーバー、そろそろ帰京の時間。
只見線の列車が駅にやって来る時間だ。
それでは本日の行動はこれにてと、駅へ向かう。
   

            
列車を待つ間、暇なので駅のホームでしばし、
ぼんやりシンキングタイムとなる。

雨のせいで、偶然、いきなり、予定外で歩いた
只見線3駅間。美味しい味に出会ったり、
お店の方にお世話になったり、見事な建築物を拝めたりと、
これはこれで得難い極上の時間を過ごすことができた。

山へ出かける計画も、人生で起こる
あれやらこれやらの出来事と一緒で、
やっぱりご縁ですかな。

ご縁があれば、予定通りの行動ができたり、
今回のような中止、断念があっても、また今度と
あらためて計画をしてアプローチの機会が訪れるもの。

一方、ご縁なしの場合となれば、はいそれまで。
また別の山を選ぶだけ。では予定だった守門岳の頂は。
さてご縁は、どうですかなぁ。

とまあ頭に浮かぶ雑感と遊んではいたが
それにしても遅い。いつまでたっても列車が来ない。
時刻表ではとっくに到着時の時刻、いやかなり過ぎている。

きっと雨のせいだなと、引き続きホームにて
ひとり物思いにふけつつ、
まだかな、いつかな、そろそろ来るかなと列車を待つ。


●ここで、ご教訓のひと言。
山の計画・行動は、無事帰宅となるまで
最後まで気を抜かずに。

その後、只見線は雨の影響で
終日運休という情報を知る。
さあ困ったぞ、そしてその時に思い出したのが、
ものずき村での会話でも登場したバスの存在。

バスの時刻は、いやバス停はいずこ、
じぃさん、大慌てで駅を飛び出したとさ。

●そして、肝に銘じたい四文字熟語
「慎始敬終(しんしけいしゅう)」
~意味:物ごとは始めと終わりが肝心である~
     
~2022(令和4)年8月
期せずして、今秋11年ぶりに
全線が再開通する「只見線」沿線を
雨にビビりながらもブラブラ歩く~