登山の際にローカル線を利用することがある。鉄道マニアではない
が、のんびりと走る雰囲気は結構好きな方だ。
只見線は、小出(新潟県魚沼市)と会津若松(福島県会津若松市)
の間を結ぶJR東日本のローカル線のひとつだ。沿線には、浅草岳、
守門岳、御神楽岳他、趣のある山も多い。
とはいえ、只見線を利用することは極めて難しい。理由は簡単、本
数が少ないからだ。例えば東京方面からの起点、JR小出駅発の列車は、
本数と時間は曜日にかかわらず1日4本で、始発の7時20分を逃すと、
次は13時11分までない。山での行動の基本である「早立ち早着き」よ
ろしく、小出駅からの始発乗車をめざして、東京を朝一番の新幹線で
出発しても、小出駅にもっとも近い新幹線の駅、JR浦佐到着が7時30
分過ぎ。タイム・オーバーだ。
そのため現在、只見線の始発を利用するには、夜行バスを利用して、
関越道の小出ICバス停で下車。小出の駅までは30分の道のりを歩かな
ければならない。しかしこの只見線、その不便さとのどかさは、常に
快適かつ迅速を享受する都市生活者にとっては、何とも懐かしく不思
議な魅力を持つ時間を与えてくれる貴重な存在のような気もする。
そんな只見線の将来は不透明だ。2011年の豪雨以降、線路は途中
で途切れたままで、予算の壁もあり復旧のメドは立っていない。それ
ばかりか、只見線全体の廃止も噂されており、2013年春には浅草岳
へ最短距離となる登山道の出発点「田子倉」駅が廃駅となった。
只見線は、小出(新潟県魚沼市)と会津若松(福島県会津若松市)
の間を結ぶJR東日本のローカル線のひとつだった。そんな過去形で
語る時が、来なければよいのだが。はたして。