毎日新聞夕刊
平尾剛の身体観測
ロンドンで行われた体操世界選手権、世界陸上など、トップアスリートの、自分にはとてもじゃなけけれどできない動きを目の当たりにすれば気分は高ぶる。
憧れにも似た、腹の底から頭の先を貫くようなあの感じは、私をふくよかな気持ちにさせてくれる。
同じ人間なのにこれほどまでに身体能力に差が生まれるのはどうしてだろう。
思わず魅了され動きはスポーツに限ったことではない。
それぞれの指が生きているかのようなピアノ演奏や全身が振動するような歌声は、筆舌を尽くしがたい感動が身体中を駆け巡る。
おそらく人間ほど身体能力の個体差が際立つ種は存在しない。
足が遅くて持久力に劣るが為に群れから取り残されるシマウマや、突出した足の速さで狩りを一手に引き受けるライオンがいるとは思えない。
自然界で生きる動物が生存を目的として先天的に備わる動きで完結しているのとは対照的に、人間は後天的にさまざまな動きを獲得する。
だから個体差は大きくなり、多様性に富む。
身体は練れば練るほどに高まる可能性が眠っている。
「できない」から「できる」への道が開かれていると知れば、なんだか無性に身体を動かしたくなってくる。
わたしはこの言葉に強く共感した。
練って練って練らなくてはいけない。
寝て寝て怠け者になる・・私。
平尾剛の身体観測
ロンドンで行われた体操世界選手権、世界陸上など、トップアスリートの、自分にはとてもじゃなけけれどできない動きを目の当たりにすれば気分は高ぶる。
憧れにも似た、腹の底から頭の先を貫くようなあの感じは、私をふくよかな気持ちにさせてくれる。
同じ人間なのにこれほどまでに身体能力に差が生まれるのはどうしてだろう。
思わず魅了され動きはスポーツに限ったことではない。
それぞれの指が生きているかのようなピアノ演奏や全身が振動するような歌声は、筆舌を尽くしがたい感動が身体中を駆け巡る。
おそらく人間ほど身体能力の個体差が際立つ種は存在しない。
足が遅くて持久力に劣るが為に群れから取り残されるシマウマや、突出した足の速さで狩りを一手に引き受けるライオンがいるとは思えない。
自然界で生きる動物が生存を目的として先天的に備わる動きで完結しているのとは対照的に、人間は後天的にさまざまな動きを獲得する。
だから個体差は大きくなり、多様性に富む。
身体は練れば練るほどに高まる可能性が眠っている。
「できない」から「できる」への道が開かれていると知れば、なんだか無性に身体を動かしたくなってくる。
わたしはこの言葉に強く共感した。
練って練って練らなくてはいけない。
寝て寝て怠け者になる・・私。