わかったから。

わかったから。


昨日の朝。
いつものように母を出稽古場に送る道すがら、
いつものようにスタンドの前を通る。

こんなときこそ遠回りして、
その道を通るべきじゃなかった。

けれども母を乗せて、
いつもと違う道を使う理由が見当たらない。


そんなときに限って信号が赤に変わる。

速度を緩めて交差点に差し掛かると左手に、
テンチョーがお客さんを待つ姿が見えた。

久しぶりに顔を見た気がした。


向こうも、こちらに眼を向けて明らかに私を見つけたと思う。

その瞬間の顔。

さみしげでもあって、
そして怒っているようにも見えた。


それから、すーっと視線を逸らした。


そのときのテンチョーの顔がオーバーラップするたびに、
わかった。

もうわかった、ごめんと。

そう心の中で繰り返す。


待つと決めながら内心は、ほとんど諦めていた。

きっと向こうは自然消滅を望んでいるという想像が、
あの表情から確信になった。

まだ何も決まったわけじゃないと思いながら、
もう自分の中ではほとんど望みを持てない。



ここ数日。
メールやメッセージや、
ここの書き込みに励ましを送り続けてくれた皆さんへ。

一つ一つ、お返事をしたいと思っていながら。

今は、とてもそんな気分になれなくて。
本意ではないのだけれど、そのままにさせてもらっていること。

おわびして、
ここでお礼を言わせてもらいます。

ありがとう。


もうちょっと待ってみるつもり。

きっと諦めながら自分の気持ちが薄らいでいくのを待っていようと思う。


昨日は泣かずに済んだけれど今日は朝から涙が止まらない。

つらいなあ・・・・・・。

失格。

ぼんやりしていてすっかり忘れていた。

娘の小学校の「みんなの登校日」、
約束していたのに母の東京行きのチケット取りに行く予定を入れてしまった。

お土産も買ってきてと言われたから。


ごめん。

ごめんね。


金曜は必ず行くから。

そう言うと、「金曜は必ずだよ」と念を押された。


うん、わかってる。必ず行くから、ごめんね。


と言いながら万障繰り合わせて行けないこともないのに。

行かないのは気持ちが無いせい。


忘れていたのは本当だけど思い出しても行く気になれない。


家族と家にいても離れたいこともある。

ひとりになりたいこともある。

口を利きたくないときもある。


母親失格な自分を少し責めながら。

今日は。


ごめんね。