マニアックな話を書きます。
母R子が新聞のコラムか何かで面白そうな話を見つけたと言って。
「シキカワブダイの本」を探してと。
そういわれた時、咄嗟にアオブダイなどの魚を思い出しました。
よくよく新聞記事を見たら『色川武大』で、
それは”いろかわたけひろ”と読むようです。
色川武大で引くと必ずと言っていいほど『阿佐田哲也』の名前があり、
それは確か「麻雀放浪記」だったかなというオボロゲな記憶。
それもそのはずで、
「色川武大」では主に純文学を。
「阿佐田哲也」名ではギャンブル小説を発表していたそうです。
昨日、届いた一冊は母R子の想像とは違い文庫本で、
それだけで彼女の読書欲もスッカリ萎えてしまったようなのですが。
それでも一旦は手にとって読み始めました。
しかし、のっけから敗戦や過疎村や下半身喪失(?)などの暗い話で。
3話ほど読み進めて本を伏せました。
私この人の本読んでると暗い気持ちになる、というのです。
食卓に投げ伏せられた本が、
もったいないという気持ちになり私は興味もなかったのですが読んでみることにしました。
確かに最初の3話くらいは暗さが先に立ちますが、
そこを通り越すと。
「霊柩車をマイカーに欲しい」だの、
フライドチキンの孤独だの。
おソバ屋さんやトンカツ屋サンの話。
圧倒的に面白い話のほうが多いのです。
私が一番気に入った話は、「”仕事の鬼”の弁」というもので。
何とか女房にダイヤの指輪ぐらい買ってやりたいと思って、
競輪に行ったりするのだけれど、こういうときは女房はそうは思わない。
(中略)
そこへ行くと仕事は、指輪を買わなくても、女房はよろこんでいる。
というクダリが特に好きで、いちいちもっともだなと思って喜んで読んでしまいました。
それを母R子に読んで聞かせても、
ああだとかうんーだとかちっとも聞く耳持たないのでつまらないのです。
色川武大という人は表紙裏の画像を見る限り、
ちょっと汚れあんばいの単にオヤジに見えますが文章は軽くて美しく。
美しい、というか余計なものが削ぎ落とされて読みやすく。
私の好きな文調で小気味よく、
あっという間に文庫本は一冊読み終えてしまいました。
文章もテンポ感というかノリが私には大事で、
そこが好きと嫌いの分かれ目のような気がします。
それが踊りのタイプにも通じるようにも思うのです。
どんなに素晴らしいといわれる方の舞台でも、
どうしてもテンポやノリが身に合わないこともあります。
元々、芸のレベルの上手下手なんて私にはわかりません。
ただ好みの踊りか嫌いなタイプか、それだけ。
その好き嫌いが文章にも通じるようです。
そして、どちらにもいえることは飽きずにあっという間に時間が流れてしまうことかな。
久々に手応えのある書き手を知れて大変に満足できました。
母R子と分かち合えなかったのが唯一の残念でしたけど。
母R子が新聞のコラムか何かで面白そうな話を見つけたと言って。
「シキカワブダイの本」を探してと。
そういわれた時、咄嗟にアオブダイなどの魚を思い出しました。
よくよく新聞記事を見たら『色川武大』で、
それは”いろかわたけひろ”と読むようです。
色川武大で引くと必ずと言っていいほど『阿佐田哲也』の名前があり、
それは確か「麻雀放浪記」だったかなというオボロゲな記憶。
それもそのはずで、
「色川武大」では主に純文学を。
「阿佐田哲也」名ではギャンブル小説を発表していたそうです。
昨日、届いた一冊は母R子の想像とは違い文庫本で、
それだけで彼女の読書欲もスッカリ萎えてしまったようなのですが。
それでも一旦は手にとって読み始めました。
しかし、のっけから敗戦や過疎村や下半身喪失(?)などの暗い話で。
3話ほど読み進めて本を伏せました。
私この人の本読んでると暗い気持ちになる、というのです。
食卓に投げ伏せられた本が、
もったいないという気持ちになり私は興味もなかったのですが読んでみることにしました。
確かに最初の3話くらいは暗さが先に立ちますが、
そこを通り越すと。
「霊柩車をマイカーに欲しい」だの、
フライドチキンの孤独だの。
おソバ屋さんやトンカツ屋サンの話。
圧倒的に面白い話のほうが多いのです。
私が一番気に入った話は、「”仕事の鬼”の弁」というもので。
何とか女房にダイヤの指輪ぐらい買ってやりたいと思って、
競輪に行ったりするのだけれど、こういうときは女房はそうは思わない。
(中略)
そこへ行くと仕事は、指輪を買わなくても、女房はよろこんでいる。
というクダリが特に好きで、いちいちもっともだなと思って喜んで読んでしまいました。
それを母R子に読んで聞かせても、
ああだとかうんーだとかちっとも聞く耳持たないのでつまらないのです。
色川武大という人は表紙裏の画像を見る限り、
ちょっと汚れあんばいの単にオヤジに見えますが文章は軽くて美しく。
美しい、というか余計なものが削ぎ落とされて読みやすく。
私の好きな文調で小気味よく、
あっという間に文庫本は一冊読み終えてしまいました。
文章もテンポ感というかノリが私には大事で、
そこが好きと嫌いの分かれ目のような気がします。
それが踊りのタイプにも通じるようにも思うのです。
どんなに素晴らしいといわれる方の舞台でも、
どうしてもテンポやノリが身に合わないこともあります。
元々、芸のレベルの上手下手なんて私にはわかりません。
ただ好みの踊りか嫌いなタイプか、それだけ。
その好き嫌いが文章にも通じるようです。
そして、どちらにもいえることは飽きずにあっという間に時間が流れてしまうことかな。
久々に手応えのある書き手を知れて大変に満足できました。
母R子と分かち合えなかったのが唯一の残念でしたけど。