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20代の生活満足度の高さを手放しで喜べない理由

2017年09月07日 | 事件

先月28日
「現在の生活に「満足」と答えた人は、約74%」という記事に驚き、信じる気持ちになれなかったのだが、どうやら本当のことのようだ。

DIAMOND online 2017.9.5

20代の生活満足度の高さを手放しで喜べない理由

山口 博:モチベーションファクター株式会社代表取締役

   国民生活に関する世論調査の結果が発表された。現在の生活に対する満足度は、調査開始以来最高の水準だ。20代の満足度は全年齢区分中、最も高く、レジャーや余暇に満足し、仕事に打ち込まず、自己啓発に時間を使わないという結果が浮き彫りになった。この結果は望ましいものだろうか。私にはそうは思えない。(モチベーションファクター株式会社代表取締役 山口 博)

 

仕事より余暇、自己啓発に関心なし

世論調査から浮かび上がる20代像

  内閣府から「国民生活に関する世論調査」結果が発表された。「現在の生活にどの程度満足していますか」という問いに対して「満足している」という回答(「満足している」と「まあ満足している」の合計)は73.9%と、調査開始以来最高となった。特に、18歳から29歳の「満足している」という回答は79.5%と、全年齢区分の中で最も高い。

 この20代以下の回答は、私の目から見ると特徴的なものが多い。たとえば、「所得・収入の面」で「満足している」という回答も54.4%で全年齢区分の中で最も高い。さらに、「レジャー・余暇生活の面」の満足度に至っては76.9%と、全年齢の62.8%に対して抜きん出て高い。

「充実感を感じている」(「十分充実感を感じている」と「まあ充実感を感じている」の合計)も全年齢の73.5%に対して、20代は93.0%、全年齢区分中で最高である。

「充実感を感じている」人に対して「どのような時に感じるか」については、「仕事に打ち込んでいる時」という回答は、全年齢で調査開始以来最低の29.0%だった。特に、20代は24.7%に過ぎず、60代までの年齢区分の中で最低である。

「悩みや不安」を感じている20代は50.6%なのだが、「自由時間の過ごし方」で「教養・自己啓発」と回答した20代は11.1%。「自由時間が増えた場合にしたいこと」について「教養・自己啓発」と回答した20代は17.6%で、いずれも60代までの年齢区分で最低だ。

 現状に満足して充実感を覚え、仕事には打ち込んでいないがレジャーや余暇を満喫し、悩みや不安はなくはないが、教養や自己啓発には時間を使わないという20代像が浮かび上がってくる。次代を担う若者が満足感を覚えていて何が悪い、と思われる人もいるに違いない。しかし、私はこの満足度の高さを、ある一面からは危惧している。現状に対する不満や懸念が、進歩や革新の原動力となることが多いからだ。

 イマドキの学生の調和志向の高さに

違和感を覚える理由

  そのように思うには、理由がある。私は、関東地方の6つの大学で、ビジネススキル演習をしてきた。その中で、モチベーションファクター(意欲を高める要素)を見極める演習をしている。目標達成、自律裁量、地位権限にモチベーションファクターがある人は牽引志向があり、他者協調、安定保障、公私調和にモチベーションファクターがある人は調和志向があると言える。

 私の演習に参加した大学生のモチベーションファクターは、牽引志向が49.7%であり、調和志向が50.3%である。各業界、各職位のビジネスパーソンが参加する私の演習参加者全体では、牽引志向51.4%、調和志向48.6%なので、ビジネスパーソンの平均よりも調和志向が若干高いということになる。

 私は、このことに違和感を覚えている。もちろん、6つのモチベーションファクターのうち、どれが高いか、牽引志向と調和志向のどちらが高いかということは、良し悪しを示すものではない。人それぞれが持っている要素であり、志向に過ぎないので、それをありのままに受け入れて、その人がさらにモチベーション高く活動できるように、自分や周囲が働きかけていけばよい。

 しかし、これから社会に出る大学生、そして仕事を覚える段階の20代にビジネスパーソン期待されていることは、仕事には打ち込まずレジャーや余暇に勤しんで充実感を覚え、自己啓発に時間を使わずして、現状に満足して充実感を覚えることなのだろうか。多くのビジネスマンは、そうではないと思うに違いない。20代のあいだはむしろ、アグレッシブに仕事に打ち込む姿勢があっていいのではないだろうか。

 しかし、大学生のモチベーションファクターは、他者協調や安定保障や公私調和からなる調和志向が高いので、自律裁量の意欲により自己啓発をして、目標達成の意欲により仕事を牽引し、地位権限の意欲によりさらに大きい責任の仕事をしていこうという期待には応えられない現状であると言わざるを得ない。

 繰り返すが、レジャーや余暇に時間を使うことを否定しているわけではない。しかし、20代のうちから、調和志向を持つ人材が増えるというのは、決して好ましくはないのだ。