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何故こんなにも自殺する児童生徒が多いのか?

2017年11月20日 | 教育・学校

 

「学校が死ぬほどつらい子は、いらっしゃい」のニュースに心温まるだけでよいのか?

 

本来、報道機関の役割は、「何故こんなにも自殺する児童生徒が多いのか?」その原因を分析し、責任の所在を明確にし、追求することにあるはずです。

 

2017年11月17日 AS Loves Insects - 小包中納言物語より抜粋

 

報道機関の責任は?

   今年の8月末の各種報道機関の論調を振り返ってみるとき、「学校が死ぬほどつらい子は、いらっしゃい」とする呼びかけをエンディングテーマ曲にのせて心温まるニュースとして報じたり、「動物園のツイートに賞賛の声」などと伝えたりするだけで終わらせていいのか?という違和感が、半ば怒りの感情をともなう疑問として、湧き上がってきました。

本来、報道機関の役割は、「(9月1日に限らず)何故こんなにも自殺する児童生徒が多いのか?」「なぜ十万人以上の不登校が発生しているのか?」その原因を分析し、責任の所在を明確にし、追求することにあるはずです。にも関わらず、なぜ報道機関は、子どもたちの側に呼びかけるだけで終わらせてしまうのでしょうか。

 もしかすると、例えば皆さまの受信料で支えられている放送局や、都心の一等地に固定資産を構えるマスコミ各社などにお勤めの方々にとって、たとえ子どもが学校から逃げて長期不登校になったとしても、図書館や動物園や鉄道博物館などに足繁く付き添うことのできる専業主婦が妻としていらっしゃったり、放課後デイサービスやフリースクールに通わせられるだけの経済力があったり(料金結構高い)、そもそもリベラルな校風の私学にお受験して、先生方もてんてこ舞いの公立学校とは無縁の世界に暮らしておられるのかもしれません。ですから、学校から逃げた先に待ち構える本当の困難など、彼らの想像の域を超えているのだろう、とヤサグレてしまいたくもなります。

 ところが、この社会的な当事者意識の希薄さは、議論の出発点として広く参照されているデータそのものに根本的な欠陥があるのではないか?──そう考えざるを得ない現状を垣間見る機会がありました。

 はたして文科省や学校の先生方は、現状を正確に把握しているのか?

   文部科学省「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」(平成26年度)です。なるほど、不登校になったきっかけと考えられる状況は「いじめ」が1.1%、「教職員との関係」は1.9%となっており、全体としては微々たる割合であることが伺えます。しかし、実際に不登校の子を持つ親御さんに聞くと「まったく実感と異なる」との意見が返ってきます。

 この調査は、本当に全国の不登校で悩む児童・生徒、そして親御さんの現状を、正確に捕捉できているのでしょうか。疑問に思ったので、報告書をダウンロードして調査方法などを調べようとしたところ、なんと統計学的な詳細に関しては何の記載もなく、調査対象も不登校の子ども本人でも保護者でもなく、学校の先生方を対象に各教育委員会が取りまとめて文科省が集計したものだというのです。(学校調査)

 これには驚きました。会社でいえば取締役会ともいうべき文科省から調査されて、従業員である先生が、生徒の不登校の原因として、わざわざ自分の人事査定に響きかねない「いじめ」や「教員との関係」を回答するでしょうか。第三者とは程遠い、教育委員会・文科省と学校の先生という、ダイレクトな利害当事者同士による調査は、間違っても客観的な統計とはいえません。ただ、確実に言えることは、「学校の先生方が、文科省・教育委員会に対して、そのように回答している(せざるを得ない)」という現実のみです。

 一方、教育社会学者の内田良氏の指摘によれば、文科省にはもう一つ、不登校について、別の調査結果が存在するそうです。こちらは平成26年に「不登校に関する実態調査」として公表されたもので、平成18年当時に不登校であった本人に対し、5年後の状況などを追跡調査したものです。その数、アンケート回答者1,604人、インタビュー回答者379人という大規模な調査です。こちらは同じ文科省でも、「不登校生徒に関する追跡調査研究会」によって調査されました。(本人調査)

 注目すべきは、この本人調査の結果が、先に掲げた学校調査の傾向と、大きく異なっている点です。とりわけ「教師との関係」に至っては、学校調査の1.9%に対し、本人調査では実に26.6%にも上ります。また友人関係・いじめについても、調査項目が異なるため単純比較はできませんが、やはり両調査結果は総合すると大きく矛盾します。

 

   問題は、「不登校の原因」として多くの文献や報道、巷で流布されている情報のほとんどが、文科省の学校調査を根拠にしているという現状です。試みに「不登校 原因 統計」をキーワードにGoogleで検索をかけてみると、その現状がよくお分かりいただけることでしょう。これでは、各報道機関が、不登校の本人にむけて呼びかけるだけで終わるのも残念ながら納得できます。少なくとも一般的には「不登校の原因は本人と親にある」という認識になっているのですから。

であるならば、文科省の学校向け調査の現状の公表方法は、不登校の原因についての社会と教員の認識を歪めている点で、端的に申し上げて有害です。学校調査が客観性を欠くものであること、本人を対象とする別途調査が存在することを強調して、学校と社会に対し早急に周知する責任が、文部科学省にあります。

 そして何より、(放課後登校など温情としてカウントされる出席日数を除外しても)毎年十万人以上の不登校者と、多くの自殺者を出している学校制度そのものを、客観的な根拠(エビデンス)に基づいて根本的に見直すべき責任が、政府にあります。そして報道機関には、こうした責任を、客観的なエビデンスに基づいて追求してほしいものです。


  座間市の事件の被害者は、全員が10~20代の若者だった。
なぜ彼らは「死」を選択したのか?
「精神的弱さ」だけで済まされるものではないだろう。
今の「学校制度」に問題はないのか?いや、それこそが問題だろうと思う。
「見過ごされてきた"学びの貧困」これは権力者には都合のいい結果になっていることを認識しなければならない。
「世のなか、変だね!」
その根底に「教育の貧困」があると私は思うのだが。