「しんぶん赤旗」」2020年7月11日
「年金運用で過去最大17・7兆円赤字」に衝撃が走りました。厚生年金と国民年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が3日、2020年1~3月期の運用損益が四半期として過去最大となる17兆7072億円の赤字になったと発表したのです。この結果、19年度の運用損益は8兆2831億円の赤字に陥りました。
コロナ禍など要因
GPIFの3月末時点の運用資産額は150兆6332億円。巨額な資産の多くが、リスクを伴う株式で運用されている結果、コロナ禍のような不測の要因があったときに、大きな損失を招くことになりました。
今回の事態は、株式中心の運用が、将来の年金給付に傷を与える危険性も浮き彫りにしました。
年金積立金を将来、実際の年金給付に充てるためには、保有する株式などを売却して、現金化する必要があります。しかし含み損を抱えたまま現金化すれば損失が生じます。
そもそも、現金化するためにGPIFが保有する巨額の有価証券を大量に売却すれば株価は暴落するでしょう。売却が取りざたされた時点で、株価は下落し、利益を実現できなくなる可能性もあります。
アベノミクス演出
新型コロナの感染拡大が深刻となるもとで日経平均株価は今年3月には1万6千円台まで下落し、6月上旬には2万3千円台まで回復しました。日本経済が苦境にあえぐもとでも、株価だけが2万台を維持し続けています。
コロナによる経済の打撃に伴う株価の下落を、GPIFなどの年金基金部門と、日銀ETF(株価指数連動型上場投資信託)が、買い支えてきた結果です。
安倍政権は、アベノミクスの成功を演出するために、巨額「公的マネー」を使って株価を買い支えてきました。これが、GPIFの巨額損失を招きました。
アベノミクスの“成功演出”のために大切な年金の原資を使われた揚げ句、損失を出されるなどたまったものではありません。安倍政権の株価対策最優先政策を見直すとともに、リスクマネー中心の運用をやめ、安全で確実な資産による運用をすすめ将来の年金を守るべきです。
(山田英明)
わたしは「株」をやっていないので、なんで我々の「年金」を減らしてまで「株価」を支えなければならないのか?という疑問が付きまとう。「年金」が主語ではなく、「株価」が主語なのだ。いろいろと問題のある「運用」方法である。