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医療態勢の逼迫 病院間の連携進めねば

2021年01月27日 | 健康・病気

「東京新聞」社説 2021年1月27日 

 新型コロナウイルス感染症の拡大が止まらず、都市部を中心に医療機関の病床が逼迫(ひっぱく)している。日本の病床数は世界有数にもかかわらず、危機的な状況だ。病床確保に全力を挙げねばならない。

    ◇    ◇

 自宅療養していた感染者が容体の急変で亡くなるなど、このところ搬送先が見つからず、自宅などで待機している間に死亡するケースが増えてきた。感染者の増加が医療機関の受け入れ能力を超える深刻な事態になっている。

 欧米諸国に比べ、感染者数が一桁から二桁少ない日本が、なぜ医療崩壊の瀬戸際にまで追い込まれているのか。

◆受け入れは民間の2割

 人口千人当たりの病床数は欧米は二〜八床ほど。日本は一三・〇床と最も多い。しかし、コロナ対応のために確保できた約二万八千床は、感染症への対応ができる病床全体の約3%にとどまる。

 手術や救急などを担う急性期病院約四千三百施設のうち、コロナ感染者を受け入れているのは公的病院が八割、公立病院が七割に上るのに対し、民間病院は二割にとどまる。

 公立病院の整備が進む欧州に比べ、日本では病院全体の約七割を民間病院が占める。

 背景には、明治期に軍や自治体の公立病院が整備されたものの、その後、政府の財政悪化で廃止が進み、代わって民間病院を開設する動きが広がったという歴史的経緯がある。

 民間病院の協力が広がれば、コロナ禍で疲弊する感染者の受け入れ病院の負担が減らせる。

 しかし、日本の医療制度の構造的な問題が、それを阻んでいるのが実情だ。

 公立病院が多い欧州では、行政の意向を反映しやすいといわれ、コロナ禍でも政府主導で集中治療室(ICU)を増やすなどの対応を可能にしてきた。

◆中小規模では対応困難

 これに対し、日本では、どんな診療を行うかは民間病院の自由であり、行政が提供医療について介入できる余地は少ない。自治体は要請という形で対応を求めているが、強制力はない。

 日本の民間病院は民間ならではの経営努力を通じて医療の質を高く保ってきたが、それが感染症への対応を難しくしているという事情もある。

 民間病院の多くは中小規模だ。設備や人員が限られ、難しい感染症への対応には二の足を踏む病院がある。施設数が多く、ただでさえ不足気味の人材を分散させている。経営者が感染症対応を考えても、医療スタッフに理解されないと離職される懸念も生じる。

 治療に応じて支払われる診療報酬は医療保険や税で賄われ、政府が厳しく管理している。そのため民間病院は病床を満床に近い状態にしていないと経営が成り立ちにくいため空き病床が少ない。コロナ感染者を受け入れると収益が減る構造も対応を難しくしている。

 政府が国会提出した感染症法改正案は、病床確保の要請に応じない医療機関に対して勧告ができ、それにも従わないと病院名の公表ができるようにするものだ。

 しかし、民間病院の事情を顧みず、強権的な手法を取っても、協力は得られないのではないか。改正案の内容に疑問が残る。

 病床の確保には病院ごとの努力はもちろんのこと、医療機関同士の連携こそ必要ではないか。

 空き病床のある地域に患者を受け入れてもらったり、余力のある感染症対応病院から応援の人材を派遣してもらうなど、広域での協力を考えるべきだ。離職した元看護師の再就職支援も欠かせない。

 設備や人員体制から患者の受け入れが難しい病院は、感染症治療が終わった人の回復治療や、感染症以外の患者を受け入れるなどの役割分担もできるはずだ。

 民間病院は長年、地域で競合してきた他の医療機関との連携には不慣れなのだろう。それでも危機感を共有して、自治体と医療機関が話し合い、役割分担などの協力体制をつくった地域がある。やればできるのではないか。

◆利害超えた協力実現を

 病床確保に向けて医療機関同士の仲介役となる都道府県など自治体の責任は重い。日本医師会や病院の関係団体も協議の場をつくった。利害を超えて協力すべきだ。

 東京都は一部の都立病院を新型コロナ専門病院に変える方針だ。公立病院の活用は他の地域でも検討に値する。

 政府は緊急事態宣言の対象地域の受け入れ病院などに補助金を出している。迅速な給付に加え、必要に応じて拡充すべきだ。医療従事者に対する偏見・差別をなくさねばならない。

 強権的な手法ではなく、医療機関が治療に専念できる環境整備こそ必要である。


今日は一転プラス気温。

雨まで降ってきた。雪が重く除雪が大変。これから低気圧がっ発達して爆弾低気圧になるとの予報。月末は要注意だ。特に北陸あたりが大変そう。ご注意ください!