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柳瀬氏の難民認定審査、1件あたり12分だけ?

2023年05月27日 | 事件

「人の生死に関わる判断を12分で?!」サンモニコメンテーター安田さん驚愕、立憲・石川議員が国会で暴露

志葉玲フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)

YAHOO!ニュース(個人) 5/26(金)

フォトジャーナリスト安田菜津紀さんのツイッター

現在、参院で審議されている入管法改定案*1。25日の法務委員会で驚くべき事実が明らかとなった。政府与党および、法務省、出入国在留管理庁(入管)が、入管法改定案の「根拠」(=立法事実)とする、柳瀬房子氏(「難民を助ける会」名誉会長)*2 の発言の信憑性について、立憲民主党の石川大我参議院議員が追及。法務省の難民審査参与員として、柳瀬氏は難民認定申請者の審査を、一件あたり12分程度で行っていた可能性が浮上したのだ。法務委員会を見ていたフォトジャーナリストの安田菜津紀さんは、「待って待って待って」と驚愕し、自身のツイッター等でも「これを『慎重、適正な審査』と呼ぶのはあまりに無理がある」と投稿した。

〇柳瀬氏の難民認定審査、1件あたり12分だけ?

 入管法改定案には、様々な問題が指摘されているが、大きな論点となっているのが、難民認定申請を3回行った人を強制送還の対象とすることだ。法務省および入管は「難民認定制度を濫用し、送還を拒否する者を速やかに送還するため」と主張するが、日本の難民認定率は他の先進諸国に比べ桁違いに低く、難民として救うべき人を救っていないとの批判がある。

衆議院インターネット審議中継より 肩書は2021年当時衆議院インターネット審議中継より 肩書は2021年当時

 法務省や入管の「難民認定制度が濫用されている」との主張の根拠とされたのが、柳瀬房子氏の「(難民認定)申請者の中に、難民はほとんどいない」という、2021年4月の法務委員会での発言だ。柳瀬氏は、入管に「不認定」とされ、それを不服とする難民認定申請者の審査を行い、難民として認定すべきか法務大臣に助言する難民審査参与員の一人だが、その審査が適切であったのかが、疑われているのである。

 今月25日の法務委員会でも「柳瀬問題」が追及された。石川大我参議院議員(立憲)は、入管に開示させた情報として、次の様に述べている。

「柳瀬さんの処理件数は、21年度で1378件、22年度が1231件ということで、勤務日数で実質的に処理をしたのは(年間でそれぞれ)33 日と31日ということ。これ計算してみると、21年度が1日に41.8件処理している。22年度は39.7 件を処理している。月や年ではなくて1日で、ちょっと尋常な数ではない」(石川議員)

1日あたり約40件という柳瀬氏の審査件数が、いかに異常な数かは、難民審査参与員への、全国難民弁護団連絡会議によるアンケート調査と比較するとよくわかる。これによると、参与員の処理する審査件数は、平均で年間36.3件だ。くり返すが、日ではなく、年間で、である。

 柳瀬氏の審査件数を聞いて、フォトジャーナリストで、TBS「サンデーモーニング」のコメンテーターの安田菜津紀さんは「あり得ない」と絶句したという。

「柳瀬氏が1日あたり40件の難民審査をしていたとなると、1日の勤務時間が8時間だったとしても、1件あたり約12分…これを『慎重、適正な審査』と呼ぶのはあまりに無理があります」(安田さん)

〇認定率の低い柳瀬氏に難民審査が集中

 問題はそれだけではない。難民審査参与員全体での審査件数は、2021年度で6741件、2022年度が4740件だ。つまり、111人いる難民認定参与員の中で、柳瀬氏は2021年度で全体の5の1、2022年度では、4分の1近くを一人で担っていたということになる。安田さんも、自身のツイッターに「この異様な偏りは何だ…」と投稿。

 なお、柳瀬氏は朝日新聞のインタビュー(今年4月13日付)で、「これまで4000件を審査したが、難民と認めたのは6件だけ」との旨の発言をしている(関連情報)。つまり、柳瀬氏の認定率はたった0.15%ということだ。

 他方、難民審査参与員を10年務めた阿部浩己明治学院大学教授はNHKのインタビューに対し、自身の審査について「認定率は7%」と語っている(関連情報)。このように、難民認定率が極めて低い柳瀬氏に、審査が異常に集中している実態があるのだ。

〇入管庁「柳瀬氏は政府を代表して答弁するのに適当ではない」

 入管法改定案の根拠(=立法事実)とされている柳瀬氏の難民審査が、果たして適切なものであったかを検証することは、入管法改定案の審議で避けては通れないものだ。ところが、政府与党や法務省、入管は「柳瀬隠し」に必死なのである。25日の法務委員会で、石川議員が柳瀬氏を国会質疑に呼ぶように求めたところ、西山卓爾入管庁次長の回答は以下のようなものであった。

「当委員会における政府参考人としては、政府の立場や見解を代表して答弁する責任のある者が答弁すべきと私どもは考えており、柳瀬参与員につきましてはその職務職責に照らして、この政府参考人として答弁することについては適当ではないと考えている」(西山入管庁次長)

 これは非常に大きな矛盾だ。石川議員も質疑の中で指摘していたが、柳瀬氏の「(難民認定)申請者の中に難民はほとんどいない」との発言(2021年4月21日衆院法務委員会)は、入管法改定案の根拠として、法務省・入管の資料にも掲載されていたものである。柳瀬発言は、まさに「政府の立場・見解を代表する」ものであるし、実際、齋藤健法務大臣も、記者会見や国会質疑等で、柳瀬発言について「重く受け止めないといけない」「日本の難民認定制度を長年にわたって見てきているので、的確に表しているのではないか」と何度も述べているのだ。

 それにもかかわらず、柳瀬氏の難民審査のあり方に疑いがかけられると、柳瀬氏の国会招致を、なんとしても拒否しようとするのである。西山次長の答弁に、石川議員が「(柳瀬氏)本人を隠しているとしか言いようがない」と批判、「是非、理事会で協議をいただき委員会として参考人として招致していただきたい」と求めると、与党側の議員らからヤジや怒号があがり、協議のためもあり、議事速記が一時中断される有様だった。この有様には、安田さんも「柳瀬氏が参考人として『適当ではない』なら、その発言を法律の根拠にすることも『適当ではない』でしょう」と呆れ顔だ。

 安田さんの指摘する通り、その発言が法案の根拠(=立法事実)とされている柳瀬氏が、「政府の代表として相応しくない」と、入管側が明言し、与党側も柳瀬氏の参考人招致に抵抗するのであれば、もはや、政府与党による入管法改定案の立法事実が完全に崩壊したと言っても過言ではないだろう。それでなくても、入管法改定案は、国連の人権関連の各委員会や専門家達から「国際人権規約に反する」と徹底的な見直しを求められている(関連情報)。また、現在、参院では野党側が提出した「難民等保護法案・入管法改正案」(関連情報)も審議されている。立法事実が崩れた政府与党案を放棄し、野党対案の審議を深めていく必要があるのではないか。(了)

*1 今回の法案は「改正ではなく、むしろ改悪」との批判も高まっているため、本稿では「入管法改定案」と表記する。

*2 難民を助ける会は、そのウェブサイトで、柳瀬発言について「当会とは関係ない」と釈明しているが、同会のウェブサイトの柳瀬氏プロフィールに「2005年から法務省難民審査参与員」と明記している。


 「マイナカード」でも、「LGBTQ」にしても「軍拡」でも、「格差問題」でも、「少子化対策」でも「原発」でも底が割れている。

すずらんが咲き始めた。

ツツジ