「東京新聞」社説 2023年5月2日
自民、公明両党が防衛装備品の輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」の運用指針を見直すための協議を始めた。政府・自民党は殺傷能力を持つ武器の輸出解禁を目指すが、武器輸出を厳しく自制してきた平和国家の歩みを止めてはならない。
戦後日本は一九六〇〜七〇年代に「武器輸出三原則」を確立し、武器輸出を実質的に禁じてきた。紛争当事国への武器提供は戦闘を助長する恐れが強く、武力による国際紛争の解決を否定した憲法九条と相いれないためだ。
こうした姿勢を転換し、武器輸出への道を開いたのが安倍晋三政権であり、二〇一四年にそれまでの武器輸出三原則に代わる防衛装備移転三原則を閣議決定した。
この場合でも、殺傷能力のある武器の輸出は米国など安全保障で協力する国との共同開発・生産に限るなど、運用指針で制約を設けていたが、岸田文雄政権は日本に望ましい安全保障環境をつくるためとして、さらなる制限緩和を視野に入れた制度見直しを、新しい国家安全保障戦略に盛り込んだ。
与党協議は先月二十五日に初会合を開いた。国際法違反の侵略を受ける国への殺傷性武器の提供解禁、日英伊三カ国で共同開発する次期戦闘機の第三国への輸出円滑化などが論点になる見通しだ。
日本のウクライナ支援は現在、民生品や非殺傷装備などにとどまるが、殺傷性武器の輸出が解禁されれば、日本製武器が戦闘に使われることになる。共同開発した武器が第三国経由で紛争当事国に渡ることも否定できない。
政府が「同志国」と認める途上国に防衛装備品や関連インフラを無償提供する新制度「政府安全保障能力強化支援(OSA)」も地域の緊張を高める恐れがある。
OSAは防衛装備移転三原則に基づいて実施され、政府が念頭に置く東南アジア各国や太平洋島しょ国などに殺傷性武器を輸出すれば、中国に挑発と受け取られる可能性があるからだ。
途上国ではクーデターで政治体制が一変する例もあり、日本製武器が内戦を激化させかねない。
民生支援に徹する日本の姿勢は国際社会で高く評価されており、殺傷性武器の輸出解禁は平和国家の信頼を損ねる。国会での徹底審議や国民的議論もなく、政府・与党内協議だけの政策転換が許されないのは当然だ。
戦争を放棄した国が戦争を仕掛ける国になってしまった。
憲法を守れ!
今朝は氷点下。朝外へ出るとうっすらと霜が降りている。水たまりには薄い氷が張っていた。ハウスの温度管理が大変。
モンシロチョウ初見
昼から深川市の丸山公園に行ってきた。数年ぶりだ。
一面のカタクリが見事。ところどころエゾエンゴサクも。