「東京新聞」2023年6月1日
入管難民法改正案の審議が大詰めを迎える中、難民申請の審査に関わる難民認定参与員たちが30日夜、記者会見を開いた。参与員がまとまって会見するのは異例だ。政府が改正の根拠に、「申請者に難民がほとんどいない」という特定の参与員の発言を取り上げていることに異論が続出した。難民認定制度の適正な運営に疑問が膨らんでいるのに、申請回数を事実上制限する法改正をしていいのか。(木原育子、大杉はるか)
◆語られた「違和感」
会見場となった東京都心の貸し会議室に、難民審査参与員6人がずらりと並んだ。オンライン参加の参与員経験者と合わせ7人。「職責を全うしようとする参与員を愚弄している」「大変驚愕した」。憤まんやる方ない様相での発言が続いた。会見は終了予定を1時間超過した。それでも怒りが収まる気配はなかった。
矛先は、NPO法人「難民を助ける会」の名誉会長で2005年から参与員を務める柳瀬房子氏の発言だ。21年の衆院法務委員会の参考人招致で「難民を探して認定したいと思っているのに、ほとんど見つけることができません」。政府が改正のよりどころとするこの言葉に、他の参与員たちが違和感を唱えたのだ。
15年から参与員をする中央大の北村泰三名誉教授(国際法)は「ふに落ちない。全然違う」と首をひねった。千葉大の小川玲子教授(社会学)も「申請に来る人は難民申請のプロではない。きちんと状況を説明できず、参与員が拾えていないケースがある」と、自身の経験と柳瀬氏の発言との乖離を語った。
◆不可解「入管当局が参与員に割り振る件数の差」
参与員は、入管当局の1次審査で難民不認定となった人の2次審査に関わり、意見を述べる。現在111人。通常、3人で1組の常設班に分かれ、月に数回集まって審査する。
会見参加者らが口にした違和感の対象には、入管当局が参与員に割り振る件数の差もある。
柳瀬氏は、05〜21年に約2000件の対面審査をしたが、難民認定をすべきだと意見したのは6人と説明していた。認定率は1%に満たない。
また、出入国在留管理庁が今国会に提出した資料で、柳瀬氏が21年度に1378件、22年度に1231件を担当し、全体の2割以上が同氏に集中していたことも明らかになった。
一方、会見に応じた7人のうち3人は、2年ほどで5件に満たない。年間約50件審査してきた参与員もいるが、それでも柳瀬氏との差は歴然としている。
◆認定率34.7%に達した後、割り振られる審査が半減
参与員らが不可解さを感じる出来事も起きている。
伊藤敬史弁護士は21、22両年度で計49件審査し、難民認定や人道上配慮のための在留特別許可を出すべきだとの意見書を出したのは17件。認定率は34.7%と高かった。すると納得できる説明をされないまま、22年度後半から、割り振られる審査が半減したという。
北村氏も同様だ。年2〜3件、難民認定すべきだという意見を述べてきた。すると、昨秋から審査の配分数が、月4件から1件に大きく減った。
参与員の審査には、常設班とは別に、早期処理のための臨時の班もあるという。柳瀬氏がこの臨時班に関わっていた可能性があるが、北村氏は審査の正確性や公平性の観点から「スピーディーに処理する班を作る発想自体おかしい」と断じた。伊藤弁護士も「きちんと吟味するケースと、しないケースをなぜ判断できるのか。そのこと自体を吟味する必要がある」と疑問を呈した。
◆法曹、外交官OB、報道関係者など多彩な顔ぶれ
参与員は大学の研究者や弁護士だけではない。検事や裁判官、外交官のOBや報道関係者など、さまざまな経歴の人たちがいる。
審査前に入管庁から提供される同じ資料を見て面接に臨んでも、専門性によって解釈は変わる。一貫した審査基準はなく、結論にばらつきが出るのが実情だ。
明治学院大の長谷部美佳准教授(社会学)は「法曹の人は概して、聞き方も一文が短く、ゆっくり話さない。相手に配慮すれば、聞き出せる話が違ってくるのに」と本音を明かす。
また、入管庁から送られてくる事前資料の「出身国情報」について、国士舘大の鈴木江理子教授(社会学)は「2次審査の任務を負うにはとても足らない」と内容の不十分さを訴える。
◆「難民がいない」を前提に国会審議が進む不条理
柳瀬氏の発言をきっかけに、参与員制度への不信感が広まっている状況への懸念の声も上がった。
先の伊藤弁護士は「1人も取りこぼさない気持ちで向き合ってきた。いいかげんな制度と片付けられるのは違う」と強調した。
会見の最後は、全国難民弁護団連絡会議代表の渡辺彰悟弁護士が締めくくった。「『難民がいない』という話を前提に国会審議がされている。とても危険性を感じ、怒りを覚える。不条理極まりなく、いかに歪んだ議論をしているか、皆さんに考えていただきたい」
こうした声に柳瀬氏はどう応えるのか。「こちら特報部」は「難民を助ける会」を通して取材を申し込んだが「お断りしたい」とのことだった。なお、同会は「参与員としての柳瀬の活動は当会とは一切関係なく、個人の資格で行っている」と一線を画している。
◆審査件数の偏り…入管庁の判断基準はっきりせず
参与員制度は2005年に創設された。審査に第三者を入れ、透明性を増すのが名目だった。参与員は「人格が高潔で公正な判断ができ、法律や国際情勢に関して学識経験を有する者」とされ、法相が任命する。入管庁によると、日当は2万2300円だという。
参与員によってなぜ審査件数に偏りがあるのか。入管庁の担当者は「事件の配分は運用で入管庁が行っている」と説明したが、その判断基準ははっきりしなかった。
今回の事態を専門家はどうみるのか。NPO法人「ヒューマンライツ・ナウ」事務局長の小川隆太郎弁護士は「参与員制度は以前から問題があった」と話す。小川氏が付き添ったミャンマー人の不服審査の面接で、参与員が「あなたは難民にしては元気すぎる」と印象だけで語ったことを一例に挙げ、参与員としての専門性を疑問視する。「参与員は選任時に研修は受けるが、継続的トレーニングはない」
審査担当者の偏りに関しては「入管庁が恣意的に配分しており、参与員の審査に独立性がないことが表れている」と指摘する。
◆改善をしなければ「保護されるべき人が保護されない状況続く」
入管難民法改正案は、難民認定申請で2回不認定となった人は、本国に送還できる規定を設けている。小川氏は「まず国際基準に沿った難民認定制度にすべきだ」と強調。「入管庁から独立した難民保護庁をつくり、専門性のある審査をするべきだ」とも主張した。
元参与員で、国際人権法が専門の明治学院大の阿部浩己教授は、柳瀬氏に偏った点に関し「入管は審査が滞留することを警戒し、処理に協力してくれる参与員に目安をつけていたのでは」と推測する。参与員になるには日本弁護士連合会などの推薦が必要だという。だが「推薦母体がいくつあるかは分からない」とも。
阿部氏は現行制度について、参与員の資格基準を具体化するなどの改善をしなければ「保護されるべき人が保護されない状況が続く」と危惧する。
そもそも参与員は意見書を出すが、認定の判断権は法相が握る。「参与員の意見に拘束力はなく、入管にとって好ましくない外国人は入れないという考えを担保する仕組みになっている」という問題にも言及した。
◆デスクメモ
知見がある人だとしても、年間1000件以上、丁寧な審査をできるだろうか。しかも、100人以上の参与員がいるのに、1人が全体の2割以上を担当するのはなぜだろう。不可解な面が多すぎる。難民認定は人の生死を左右する話だ。疑問だらけの法改正の前に、運用実態を明らかにすべきだ。(北)
悪法が次から次へと「国会」を通過している。
園のようす。
アマドコロ
札幌からご婦人2名ご来園。
「ウド」の看板に引かれて来たという。
そこで、園内を案内しウド採りをしてもらった。
店頭に並ぶウドしか知らず、初めて見るウド、初めて採るウドに満足していただいたようだ。葉はもう開いていたがウドが好きなんだそう。
すっかり園内氣に入っていただいたようで、また来たいと。
「ウド」の看板に引かれて来たという。
そこで、園内を案内しウド採りをしてもらった。
店頭に並ぶウドしか知らず、初めて見るウド、初めて採るウドに満足していただいたようだ。葉はもう開いていたがウドが好きなんだそう。
すっかり園内氣に入っていただいたようで、また来たいと。
明日は午後から雨の予報になったので、急遽札幌まで行ってきます。
お役所は、なんのためにお仕事してるんでしょう?
こんな自分たちの都合のいいように仕事の方向を持っていって、なおかつ
都合のいいように法改正まてしようとしている。
しかも、入管職員や参与員のおかしな言動もそっちのけで、押し通そうとする
その姿勢は、「人」に対する行動ではありませんよね。
呆れてしまいます。