「しんぶん赤旗」2024年11月30日
来年2月までに国連に提出を求められている2035年度の温室効果ガス削減目標について日本政府が13年度比で60%削減する案を軸に検討を進めると公表したことに対し、世界の科学者や気候政策の専門家ら約40人が共同で29日、日本は約80%の削減を達成する枠組みの構築が急務だとして「日本は野心的な削減目標の提出を」との声明を発表しました。
声明には、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書の執筆者らが参加しています。
気候変動対策の国際的枠組み「パリ協定」は、産業革命前と比べて世界の平均気温上昇を1・5度以内に抑える努力の追求を掲げ、各国は30年度までの目標を策定し国連に提出。次期の目標を来年2月までに提出することが求められています。
声明は日本の気候変動対策について「世界的な約束に沿った具体的な温室効果ガス削減目標も、それに向けた行動も十分とはいえない」と指摘。主要7カ国(G7)の中でも化石燃料による発電への依存度が際立って高い状況が続き、化石燃料関連事業への投資額が世界でもトップクラスだとして、「こうした状況を放置する余裕は、もはや日本にも世界にもない」と強調しています。
その上で日本政府に対し、パリ協定の国際公約に沿う削減目標の策定に責任を負うことを強く求めています。
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「1.5度目標」下回る日本案
WWFジャパン抗議
世界自然保護基金(WWF)ジャパンは29日、環境省と経済産業省の合同審議会で示された、13年度比で60%削減する案を軸に検討するという日本の次期温室効果ガス削減目標に対し、パリ協定が掲げる「1・5度目標」に整合する水準を「大きく下回る案」だと抗議する声明を発表しました。
提示された案について声明は「科学的に十分な目標でないばかりでなく、重要議題の議論のプロセスも、目標案が提示されることも事前に公表されず…大きな問題を残す」と批判。委員からも会議のあり方への疑問や議論の雑ぱくさを指摘する声が上がり「十分な議論が重ねられたとは到底言えない」と指摘しました。その上で、(1)削減目標を少なくとも科学的に整合した水準である13年比66%以上とすべき(2)議論のプロセスは公正で広範な参加を可能にするべき―と求めています。
園のようす。