発がん性ある過酢酸までも「食品添加物」にスリ替え輸入
公開日:2020/02/04
過酢酸製剤というのをご存じだろうか。食品に関係している人でなければ、まず耳にすることはないが、鼻をつくような臭いがする過酢酸と過酸化水素、酢酸を混合したもので、食品の殺菌剤として使われる。過酢酸は酢酸に変わるときに活性酸素を放出し、細菌がこれに触れると死んでしまう。米国では、チーズなどの殺菌剤として広範囲に使われてきた。ところが、日本では動物実験で過酢酸の発がん性が分かって禁止された。
遺伝子を傷つける活性酸素は、細胞ががん化していく大本だといわれている。この活性酸素は過酸化水素も出す。
昔、薬局で消毒薬のオキシドール(過酸化水素水)が売られていたが、最近は見かけなくなった。発がん性が分かったからだろう。
■発がん問題よりも米国の要求が優先
食品に過酢酸が含まれていたら、食品衛生法10条違反ということで国内では使われなかった。ところがある日、過酢酸を食品添加物として申請した企業があった。国は実態を知るために輸入食品を調べてみたら、次々に検出された。特に多かったのは米国産のくず肉。これは牛丼の材料や、ソーセージなどの加工品に使われるが、腐りやすいために過酢酸を大量に使っていた。本来なら輸入禁止になるはずが、そんなことをしたら市場に大きな影響を与えるという理由で、見て見ぬふりをしたのである。
ところが、米国からO―157やサルモネラ菌などに有効だから、くず肉に過酢酸の使用を認めろと要求されたのだ。
ここまで書けば、その後がどういう展開になるか分かるだろう。そう、すでに米国やカナダなどで野菜、果実、食肉などの殺菌洗浄に使用が認められていて、残留性もないとして2016年に食品添加物として認めたのだ。ただし、加工肉への添加は認めず、肉や野菜の表面の除菌に限った。
もはや米国産の食品は、食べ物というより、成長ホルモンや農薬を使って大量に生産する工業製品だ。こんなものを押し付けられても、日本は文句ひとつ言えない。
かつて、フランス大統領ドゴールは、「食料が自給できない国は、真の独立国ではない」と言った。食料を自ら自給することが最大の安全保障であることを身に染みているからだろう。日本と同じ自給率だった英国が、30年かけて80%にしたのも同じ理由だ。胃袋を米国につかまれ、米国なしに生きていけない日本は、とても独立国とは思えない。
米国でも急増中 成長ホルモンや遺伝子組み換えを嫌う動き
公開日:2020/02/05
米国産の危険な食品についてこれまでいろいろ書いてきた。では米国の国民は、こうした危険な食品を平気で口にしているのだろうかという素朴な疑問を抱くと思うが、最近は米国でも事情は変わってきたようだ。
成長ホルモンを使わず、オーガニックの牧草で育てた乳牛のミルク。また果糖ぶどう糖液糖や増粘剤などの化学調味料を使わないアイスクリームがよく売れているし、日本にも進出した米ハンバーガーチェーンの「シェイクシャック」は、成長ホルモンを一切使わないビーフバーガーやベーコンといった安心・安全を売る店として急成長している。
本来、牛は草を食べる反すう動物だ。牛が本来は食わないトウモロコシを飼料にしたのは、太らせるためである。こういった濃縮した飼料を使わずに、自然環境の中で牧草のみで飼育された牛のことを「グラスフェッドビーフ」というが、これが米国でトレンドになっている。
■マックもケンタッキーも
こうした健康志向は、大企業にも影響を与えていて、米マクドナルドは、牛成長ホルモンを投与した牛のミルクのほか、抗生物質を投与した鶏肉など、今後は売らないと発表した。ケンタッキーフライドチキンもそうだ。
アメリカでは2016年に遺伝子組み換え(GM)食品の表示法が制定された(2022年から義務化)が、抜け穴だらけと批判されている。しかし、すでに民間の非営利団体が認定した「NON GM」のマークを表示したり、成長ホルモンを使っていないビーフには「ホルモンフリー」のマークを、ホールフーズマーケットなど大手スーパーマーケットも独自にオーガニックを認定している。
注目すべきは、8年前に全米で1万軒を超えたファーマーズマーケットが急増していることだ。ファーマーズマーケットとは、日本の「道の駅」のようなものだが、日本と違って有機食材が主流である。もちろん有機は日本と同じで値段が高い。生活に余裕のある人はこれらの健康食材を購入し、貧しい人はホルモンで太らせたビーフやGM食品を買うという、貧富の差が食にも及んでいるようだ。
さらに、その遺伝子組み換えについても、大きな変化が起きている。GMの世界的企業であるモンサント(現在はバイエル)が製造した除草剤の「ラウンドアップ」でがんを発症したとして裁判が相次いでいる。すでに3件に評決が下り、いずれもモンサントが負けた。最新の賠償額は、なんと約2200億円。
5日からはこの裁判について、元農水大臣の山田正彦氏に語っていただく。
カット野菜が便利なものとして日常の食卓に並んでいる。またコンビニなどのサンドイッチに使われている野菜も同じだ。当ブログでも幾度か「カット野菜」について書いているので見ていただきたい。