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連合新会長 弱者に寄り添う組織に

2021年10月08日 | 社会・経済

「東京新聞」<社説>2021年10月8日 

 連合の新会長に副会長だった芳野友子氏が昇格した。初の女性会長でジェンダー平等や女性の待遇改善に期待がかかる。同時に非正規労働者を中心とした弱い立場の人々にも配慮する労働運動の新たな波を起こしてほしい。

 芳野氏は高校卒業後、大手ミシンメーカーの「JUKI」に就職。社内の労働組合委員長を経て主に中小企業労組が参加する産業別労組(産別)の「JAM」で活躍した。

 JAMは機械や金属メーカーの労組で組織され、参加組合の約六割はメンバーが百人以下という中小零細の集合体だ。活動の拠点をJAMに置いていた芳野氏は小さな企業の労働者が向き合う課題や苦しみを知り抜いているはずだ。

 芳野氏には、大企業の産別中心という印象が強かった連合が、中小も含めた「働く人々全員のための組織」に変わるよう大きく舵(かじ)を切ってほしい。

 芳野氏は就任直後、「働く仲間の雇用を守る」と宣言した。コロナ倒産が増える中で雇用不安へ向き合う姿勢を真っ先に示したことは評価できる。今後は不当な解雇や理不尽な賃金カットに目をより光らせ、事が起きた場合には即応できる体制を再構築すべきだ。

 とりわけ雇用の調整弁として解雇や雇い止めの標的にされる非正規労働者を守る意識を、これまで以上に強める必要がある。

 連合の存在感の低下は否定できない。安倍政権時代には、首相自らが大企業に賃上げを要求するなどお株を奪われた感があった。

 ただ労組に加入している人が雇用者に占める割合を示す組織率は昨年六月時点で十一年ぶりに上昇に転じた。17・1%と水準は低いが前年から0・4ポイント上がった。これはコロナ禍で暮らしへの不安が増大する過程で労組への期待が再び高まっているからではないか。

 総選挙を控え連合内には、支持政党との距離感をめぐる意見の違いもくすぶる。芳野新会長はバレエダンサーを目指していたという。強い軸足に支えられたしなやかさで組織の融和を図り、働く人々全体を守る「頼れる連合」づくりに向け心血を注いでほしい。 


春のいちごより甘い。(自家ジャム用)

帰宅して裏山へ。(落葉きのこ)

いいのがたくさん採れました。





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