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金子勝 5年で43兆円の軍拡狙う軍拡財源法案

2023年06月08日 | 生活

慶応大名誉教授(財政学) 金子勝さん

「しんぶん赤旗」2023年6月8日

歯止めなく歴史に禍根を残す 今こそ財政民主主義の回復を

 軍拡財源法案をめぐる国会審議が正念場を迎えています。慶応大の金子勝名誉教授(財政学)は、4月21日の衆院財務金融委員会で、参考人として「このまま法案を通せば、歴史に禍根を残す」と痛烈に批判しました。同法案をはじめとする岸田文雄政権の軍拡財源について聞きました。(斎藤和紀)

 ―岸田政権は軍事費を国内総生産(GDP)比2%に増額し、5年間で43兆円の軍拡を狙っています。

 政府は、ロシアのウクライナ侵略や台湾有事などを理由に「必要なものを積み上げた」と言いますが詭弁(きべん)です。安倍政権以降のなし崩し的な軍事費増大が本当の原因です。

 米国の要求で、米国製兵器の“爆買い”を続けた結果、軍事ローンである後年度負担が2013年度の約3兆円から22年度は約6兆円に急増。後年度負担が年間の防衛省予算を上回るまで膨れ上がりました(グラフ)。その結果、国内軍事企業への支払いが滞り、軍需産業からの企業撤退が相次ぎました。

 結局“爆買い”によってローンが膨らみ、必要な武器を計画的に買えなくなり、なし崩しで「2%」にしたのです。さらに悪いことに、23年度の後年度負担は10・7兆円という異常な額に膨れ上がりました。ローンだけでも2%を突破する恐れもあります。

 ―参考人として「法案を通せば、歴史に禍根を残す」と訴えたのはなぜですか。

 岸田政権は、財政の原理原則を無視し、歯止めが全くきかなくなっているからです。特に赤字国債を軍事目的に活用しないという歯止めを壊しているのは重大です。

 軍事費の財源として挙げている決算剰余金にカラクリがあります。決算剰余金は、年度中に使いきれずに余ったお金で、半分以上は国債の返済に充て、残りは次年度に繰り越されます。しかし、20年の新型コロナウイルス流行以降、過剰な予備費を計上し、決算剰余金を大量に生み出し、基金をためこむ予算運営が行われています。

 予備費は、災害など例外的な場合に限って国会審議を経ずに支出できるもので、原資の大半は赤字国債です。東日本大震災の時でさえ2兆円規模でしたが、20~22年度の3年間で約30兆円、23年度も5兆円が計上されており、乱用しています。本来、国債返済などに充てる決算剰余金を軍事費に回せば、赤字国債を決算剰余金を経由して、軍事費に充てるのと同じです。私は「国債マネーロンダリング」と呼んでいます。

 財源確保のための「歳出改革」の具体策が示されていませんが、大量に余っている基金を削って軍事費に回せば決算剰余金と同様の問題になります。政府は近年、補正予算で基金に多額の予算を充てる一方、補助金交付などの本来の業務を全く行わず、支出が人件費などの管理費だけという「休眠基金」が27もあります。全基金で計約13兆円も積みあがっています。必要ないのに赤字国債などで基金を積み立てて、「歳出改革」と称して軍事費に回せば「マネーロンダリング」です。

 軍拡財源法案で創設される「防衛力強化資金」に充てられる国立病院機構や地域医療機能推進機構(JCHO)の積立金も、もともとはコロナ対策の予備費で、赤字国債が原資です。

 良いか悪いかは別として、増税して軍事費を賄うならば、増税による国民の痛みという歯止めがあります。しかし、決算剰余金などを通じて赤字国債を軍事費に充てれば歯止めがありません。自衛隊艦船などの建造に建設国債を充てるのも歯止めがないばかりか、武器が経済や国民生活を豊かにすることもないので最悪です。

 ―財政上の歯止めを失えば、どのような結果を招きますか。

 戦前の誤りを繰り返すでしょう。1937年に日中戦争が始まると、臨時軍事費特別会計を創設。そこで赤字国債の大量発行で財源を調達し、国会のチェックもなく、一度も決算を行いませんでした。そして戦後に、膨大な財政赤字などが原因でハイパーインフレが起こり、国民は食うや食わずの状態に陥りました。政権がやろうとしている「国債マネーロンダリング」も、間接的か直接的かの違いはありますが、やっていることは臨時軍事費特別会計と同じです。

 憲法83条で財政民主主義を明記したのは、軍事費を国債に依存すれば国を破滅に導くとの反省からです。後年度負担や予備費は「単年度予算主義」から外れており、国会の監視が行き届いていません。もともと憲法は租税法律主義から始まり、議会が歳出歳入を決めるのが基本原則です。その原則が壊されており、今こそ財政民主主義を回復させるべきです。

 ―岸田政権の軍拡は経済にどのような影響を及ぼしますか。

 岸田政権はアベノミクスを継承し、金融緩和を続けていますが、賃金が上がらないのははっきりしています。富裕層は働かなくても、金融緩和で株価が高くなり潤っていますが、貯蓄のない層への恩恵はなく、格差が猛烈に広がっています。

 財政や金融でお金をばらまいてごまかしてきましたが、政府の産業戦略は失敗しています。政府の戦略は、いわば「自動車一本足打法」で、ITや医薬品などで膨大な貿易赤字が出る一方、再生可能エネルギーが世界の主流であるのに原発の新増設に固執しています。貿易赤字は2022年度で21・7兆円と過去最大です。実質賃金が25年近く低迷している先進国は日本だけです。年間出生数は22年に初めて80万人を割り、人口減少も深刻です。国債発行残高は戦時中に匹敵する1千兆円を超え、その半分以上を日銀が保有する異常な事態になっています。

 こういう状況で日本は、「防衛力強化」のために約10兆円を費やす余裕がある国でしょうか。社会保障削減や増税は避けられず、国民の暮らしを壊します。産業や経済を立て直すには人への投資が必要です。教育や基礎研究への予算を抜本的に増やすべきです。さらに非正規雇用が大幅に増えているため、大企業が賃上げしても全体の賃金の上昇につながっていません。最低賃金をあげるには中小企業支援が不可欠で、そこにも予算が必要です。

 しかし、なし崩し的に軍事費を膨張させた結果、本来やるべき政策の財源がなくなっています。実際、首相は子育て予算の財源の議論を年末に先送りにしました。軍事ではなく格差是正や経済のリスクを減らすために予算を充てるべきです。

かねこ・まさる 1952年東京生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得修了。専門は財政学、制度経済学、地方財政論。著書は『平成経済 衰退の本質』『人を救えない国』、『現代カタストロフ論』(共著)ほか多数


鉄線が見頃です。

ようやく最低氣温を氣にしなくてもよくなりました。
ハウスを開けっぱなしにして帰ることができます。
閉めて帰れば、朝日が昇るとゆっくりと眠ってはいられません。
これで少し楽になります。



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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんばんは (ひまわり)
2023-06-08 20:43:16
mooruさん、いつもありがとうございます。
ゆっくりと寝ていられるようになって良かったですね。
国の内外は安穏としていられない状況が続いていますが。
少しでも良い方へ向いてほしいですね。
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Unknown (mooru1949)
2023-06-08 22:31:27
 あまりゆっくりとはしていられないのです。でも、氣持ちは楽になります。
今の仕事はカボチャの定植作業。まだ半分。あと60株。あとはジャガイモと枝豆、黒豆、花豆。今月いっぱいが勝負。いやせいぜい20日までに。鹿の足跡が種をまいたところに、対策を。
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Unknown (nerotch9055)
2023-06-11 22:51:33
こんばんは。
今回の記事も大変、為になりました。
なぜ、大手メディアはこのような「声」を大きく報道しないのでしょうか。
ちゃんとこの国の為に、苦言を呈している方もいらっしゃるのに。
(・・;)
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