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アッコにおまかせ!」が平気で流した誤情報。マスコミの全面バックアップで小池百合子氏は4年間の“やりたい放題期間”を得た

2024年07月16日 | 生活

まぐまぐニュース!2024.07.16

   by 『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』~時代の本質を知る力を身につけよう~

メディアが連日報じ続けた「予想」の通り、都知事選で圧勝を果たした小池百合子氏。しかしその選挙戦を巡っては大きな疑問符がつくのもまた事実です。何が小池氏を圧倒的勝利に導き、参院議員の職を辞して挑んだ蓮舫氏の惨敗を招いたのでしょうか。今回のメルマガ『『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』~時代の本質を知る力を身につけよう~』では『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』等の著作で知られる辻野さんが、小池氏の選挙戦略を「ズルい策」と一刀両断。さらに現職知事を協力にサポートしたマスコミを痛烈に批判するとともに、日本の民主主義の浅薄さに憂慮を示しています

※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:都知事選終わる。これでいいのか?

 

プロフィール:辻野晃一郎(つじの・こういちろう)

福岡県生まれ新潟県育ち。84年に慶応義塾大学大学院工学研究科を修了しソニーに入社。88年にカリフォルニア工科大学大学院電気工学科を修了。VAIO、デジタルTV、ホームビデオ、パーソナルオーディオ等の事業責任者やカンパニープレジデントを歴任した後、2006年3月にソニーを退社。翌年、グーグルに入社し、グーグル日本法人代表取締役社長を務める。2010年4月にグーグルを退社しアレックス株式会社を創業。現在、同社代表取締役社長。また、2022年6月よりSMBC日興証券社外取締役。

 

この結果をどう受け止めればいいのか。都知事選に残る大きなモヤモヤ

7月7日、都知事選が終わりました。都知事選については、このメルマガでも何度か取り上げてきましたので、簡単に総括しておきたいと思います。

今回、史上最多の56人が立候補し、有権者数11,349,278人に対して投票率は前回の55%を5.62ポイント上回って60.62%となり、平成以降では2番目に高い結果となりました。

現職の小池百合子氏が2,918,015票(42.8%)を得て当選、2位が石丸伸二氏の1,658,363票(24.3%)、3位が蓮舫氏の1,283,262票(18.8%)、4位が田母神俊雄氏の267,699票(3.9%)となりました。

石丸氏が2位に浮上したことがサプライズとして「石丸ショック」「石丸旋風」などと大きく取り上げられていますが、154,638票(2.3%)を獲得したAIエンジニアの安野貴博氏が5位に入ったことも、スモールサプライズだったと言えるでしょう。

56人の立候補者の中には、「NHKから国民を守る党」が仕掛けた売名目的のふざけた連中などが多数含まれ、選挙ポスター掲示用の看板がジャックされたり、政見放送が大荒れになったりと、異例ずくめの選挙戦となりましたが、ここでは主に小池氏が3選されたことについて述べたいと思います。

小池氏の問題については、このメルマガの59号(公開記事化されたもの)と前号64号で繰り返し述べましたが、同氏は、今回の選挙を正々堂々と戦って勝ったわけではありません。

学歴詐称問題を始めとした多くの疑念を抱える小池氏は、それらに関する追及をかわすため、公務を名目にして、候補者同士の公開討論会への参加や街頭演説を極力避け、出馬会見もオンラインで行って記者の出席や質問を封じるなど、終始「逃げ」の姿勢に徹していました。公開討論に応じたのはネットメディアでの2回だけ、街頭演説も、他候補の追い上げを気にし始めた終盤こそ都心でも厳重な警備を敷いて行っていましたが、序盤では八丈島や多摩地区など、厳しい質問をするフリーランスの記者を排除しやすい場所を選んで限定的に行っていました。

「ミスター統一教会」兼「ミスター裏金」が果たした大役

また、自公の組織票欲しさに、旧統一教会問題や裏金問題の中心人物で役職停止の党内処分を受けていながら自民党都連会長に居座る萩生田光一氏と結託して、自公からの支援を取り付けていました。にも拘らず、裏金自民との関係が争点化されるのを嫌って自民党色は一切表に出しませんでした。そもそも、小池氏は元自民党清和会に所属する国会議員でした。上記の公開討論の一つでは、裏金との関りを蓮舫氏から突っ込まれていましたがはぐらかしていました。とにかく、都民からのまっとうな審判を避けるために、逃げたり隠したりのありとあらゆる「ズルい策」を弄したのです。

さらに、「ズルい策」はそれだけにとどまらず、現職の立場を利用して選挙直前の6月末から非課税世帯に対して1万円のクーポンを配るなど、公金を使った露骨な選挙買収のようなことまで行っています。その他にも、東京都下の首長52人による出馬要請の自作自演疑惑、「都知事定例会見」を利用した選挙活動、選挙期間中の公務を装った現地視察など、公選法136条の2で規定する「公務員等の地位利用による選挙運動の禁止」に違反している可能性もあります。

定例会見の問題については、弁護士の郷原信郎氏と神戸学院大学法学部の上脇博之教授から東京地検に告発状が提出されています。なお、今回の選挙でも経歴に「カイロ大学卒業」と記したことで、元最側近の小島敏郎氏からも事前の予告通り東京地検に告発状が出されています。小島氏は「嘘は良くない。検察は捜査に乗り出してほしい」と語っています。

さまざまな面から、まっとうな民主主義のルールに則った選挙とはとても言えないような状況でしたが、フタを開ければ小池氏の圧勝、しかもNHKの開票速報では、投票締め切りと同時に当確が出るいわゆる「ゼロ打ち」でした。

この結果をどのように受け止めれば良いのでしょうか。

繰り返しになりますが、整理すると、裏金問題で国民から猛烈な反発を受けている与党は候補者を立てることが出来ずに、ステルスで小池氏の支援を決めました。その立役者が「ミスター統一教会」兼「ミスター裏金」の萩生田光一氏です。

その小池氏は、2期8年もの間、都知事を務め、その実績について、都民は正しく把握していなければならないにも関わらず、小池氏の言葉巧みな嘘に騙されている人が大勢います。そして今回の選挙では、とにかく逃げの一手、疑惑の追及や政策論争からは逃げ続け、徹底して目立たない選挙戦術に徹しました。その作戦が功を奏して無党派層の取り込みにも成功し、結局、反小池の票は無名の新人候補だった石丸氏と、もともと反自民・非小池を掲げて立候補した蓮舫氏の二人に分散してしまい、小池氏の圧勝に終わりました。

小池氏の勝利に大きく加担したマスコミの大罪

小池氏の勝利にはマスコミも大きく加担したと言えます。小池氏の実績や疑惑についての詳細な報道を控え、候補者同士のテレビ討論も行われませんでした。小池氏は各局からのテレビ討論への参加要請を断ったそうですが、そうであれば、その旨を視聴者に伝えて他の主要候補だけでやればよかったと思います。そうすれば、小池氏の逃げの姿勢を視聴者に伝えることが出来たでしょう。

その一方で、多くの番組では、コメンテーターを使うなどで蓮舫氏に対する意図的な攻撃やネガティブな印象操作を行っていました。萩生田氏はマスコミに圧力をかけることでも良く知られていますが、今回もそのような力が働いたのかマスコミの忖度なのかわかりませんが、これでは健全な民主主義は機能しません。最終盤で小池氏の街宣で巻き起こった「辞めろ」コールを伝える番組もほぼ皆無でした。

中でも、私が把握する範囲で最も不健全だと感じたのは、TBSの「アッコにおまかせ!」という番組で、投票に関する明らかな誤情報を平気で流したことと、やはりTBSのBSチャンネルの「報道1930」という番組で、投票日の翌日、7月8日に「小池氏“学歴問題”関係者を総力取材」と題して小池氏の学歴詐称問題の特集を組んだことです。

思わず以下のようにXに連続ポストしましたが、選挙が終わった後にこの特集を放送して何の意味があるのでしょうか。ちなみに、この番組には私も何度か出演したことがあり、松原耕二キャスターやレギュラーコメンテーターの堤伸輔氏とも親しくしているので応援しているのですが…。

今や日本のマスコミの機能不全は、民主主義の破壊に加担する深刻な問題であることを今回の選挙を通じてあらためて思い知らされました。

ただ、それでも、投票率が5ポイント以上上昇したにも関わらず、小池氏が前回得票した366万票から292万票へと74万票余りも減らしたことは微かな希望かもしれません。この選挙を現職への信任投票と位置付ければ、信任する人は確実に減っているわけです。また、同時に行われた東京都議補選で自民党は2勝6敗となりましたから、有権者が裏金問題に象徴される政治腐敗に辟易している状況は続いているのだと思います。

蓮舫氏が「惨敗」に終わった3つの要因

最後に、負けた蓮舫氏と石丸ショックについて一言ずつ。

蓮舫氏については、小池氏の3選を何としてでも阻む必要があると思っていた中で、強力な対抗馬が立たなければどうにもならなかったところ、立候補のアナウンスを聞いた時には希望の光が少し見えた気がしました。残念ながら惨敗に終わりはしましたが、立候補を決めた蓮舫氏の英断については心から敬意を表したいと思います。

敗北の原因はいくつかあるかと思います。まず一つ目は、蓮舫氏個人に対するネガティブキャンペーンです。前述した通り、これにはマスコミも加担して極めて卑怯な手段が取られたと感じています。

二つ目は、蓮舫氏自身が「攻撃型」「噛みつき亀」「批判ばかり」「怖いイメージ」などというネガキャンに怯んでしまって、当初掲げた「反自民・非小池」のトーンを下げてしまったこと。非小池を高く掲げて、裏金自民との癒着などをもっと激しく攻撃すべきだったと思います。

三つ目は、選挙戦略の失敗。これは蓮舫氏の責任というよりも、周囲にまともな選挙参謀が不在で、立憲民主党や共産党など既存政党の支援を前面に出し過ぎてしまったことでしょう。特に、野田佳彦元総理、枝野幸男氏、安住淳氏、福山哲郎氏など、立憲民主の古臭い重鎮たちを表に出したことで多くの票が逃げてしまったと思います。共産党との連携が敗因の一つとされますが、むしろ旧民主党の色を出し過ぎたのはまずかったと思います。せっかく離党までしてオール東京を味方にする、と言っていたにも関わらず、選挙戦略があまりにも稚拙でした。

まさに「計画通りの結果」を得た石丸伸二氏

最後に石丸氏ですが、蓮舫氏とは対照的に選挙戦略の勝利だったと言えるかと思います。「政治屋の一掃」などと豪語し、表向き既存政党からの支援はすべて断ったとされているようですが、萩生田光一氏が主宰する「TOKYO自民党政経塾」の小田全宏塾長代行が選対本部長を務めるなど、水面下では自民党と繋がっていました。また、ドトール創業者の鳥羽博道氏や第二電電(現KDDI)共同創業者の千本倖生氏など、経済界の重鎮も支援に回っていました。なお、旧統一教会との関係も噂されています。もともとユーチューバーのような人ですから、SNSを活用したやり方も若い無党派層を取り込む上で功を奏したようです。

ただ、この人の素性については、既に広島県安芸高田市での実績や言動が出回っていますので、それらを調べればいろいろと疑問符の付く人であることがすぐにわかります。安芸高田市の市長を任期半ばで投げ出し、都知事選に立候補したのも、都知事になることがゴールではなく、その先の目標達成のための売名のステップだったのだと思います。すっかり全国レベルで有名となり、まさに計画通りの結果だったのではないでしょうか。

小池氏にしても、石丸氏にしても、東京都の知事として相応しい人物かどうかを判断する材料はさまざま出揃っていると言えます。少し調べればわかるようなことをきちんと調べもせずに投票してしまう有権者が大勢いるわけですから、日本の民主主義の浅薄さを深刻に憂えざるを得ません。生まれつきのペテン師のような嘘つきや、政策の中身が何もない人にイメージだけで大量の票が集まるわけです。

そして、党の顔であり切り札でもあった蓮舫氏を擁立しておきながら、都知事選ですらその人を勝たせるための選挙戦略を立案・実行できない立憲民主党には、国政での勢力拡大やましてや政権交代など望むべくもなく、夢のまた夢ということを思い知らされた選挙だったと思います。


「蓮舫叩き」がまだ続いています。
マスコミの矛先が違うように思います。
落選した人を叩くより当選した人を叩くのが常道と思いますが・・・
しかも多くの「いわくつき」です。
「当選無効」まで「叩く」マスコミは皆無です。
「権力」に寄り添い、「弱者」を叩く、マスコミの姿勢が浮き彫りです。

園のようす。
落花生の花が咲いていました。

ラベンダー

ガクアジサイ



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