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トランプ氏当選 日米関係の影響は

2024年11月08日 | 社会・経済

さらなる同盟強化の危険

「しんぶん赤旗」2024年11月8日

 共和党のトランプ前大統領が勝利した米大統領選の結果が、日米関係にどのような影響を及ぼすのでしょうか。トランプ氏は選挙公約「アジェンダ47」で、同盟強化に関して「同盟網の再建」を掲げています。1期目のような「同盟破棄」を突きつける恫喝(どうかつ)的な手法は今のところみられません。バイデン政権下で進められた、中国やロシアに対抗する軍事ブロックはいっそう強化されるとみられます。

 トランプ氏は、2016年の大統領選中から、日本などに米軍駐留経費の全額支払いを要求し、就任後もNATO(北大西洋条約機構)加盟国に対し、軍事費を国内総生産(GDP)比2%以上への増額を執拗(しつよう)に迫りました。

 NATOはロシアがウクライナ侵略を開始した22年以降、軍事費のGDP比2%への増額を加速。岸田前政権も足並みをそろえ、22年に策定した安保3文書で軍事費の2倍化=年11兆円規模への大軍拡を決定しました。来年度予算の概算要求では約8・5兆円が計上。新しく発足するトランプ政権で、米軍思いやり予算など軍事費増額がさらに要求される恐れがあります。

 また、トランプ氏は前政権時に、日米首脳会談で毎回のように米国製武器の購入を要求。安倍晋三首相(当時)はこれに応じて、F35ステルス戦闘機やV22オスプレイ、陸上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」などを“爆買い”しました。陸上イージスは20年に配備を断念し、現在はイージス・システム搭載艦として配備を狙いますが、取得費が1隻あたり約1兆円という超高額兵器となっており、「負の遺産」と化しています。

 石破茂首相は7日、さっそくトランプ氏と電話会談し、「日米同盟を新たな高みに引き上げていく」ことを確認しました。総選挙の結果、衆議院で過半数割れに追い込まれた石破政権が、米国の後ろ盾を得るために不当な要求を丸のみすることは許されません。

 また、石破氏は自民党総裁選で日米地位協定の改定を訴えていました。トランプ氏との会談でこの点を突きつけるのかどうか、石破氏は試されています。(斎藤和紀)

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新外交イニシアティブ(ND)代表・弁護士 猿田佐世さん

本当の「国益」のため意見を

 トランプ政権の一番の特徴は何が起こるかわからないという「不確実性」の高さです。その上で、圧倒的な軍事力の誇示により紛争を抑止する「力による平和」を進め、米国が一番の競争相手とする中国に対峙(たいじ)していくことが強く想定されます。日本にもさらなる防衛力強化や米軍駐留経費の増額を求めてくることが予想されます。

 バイデン政権は気候変動など協力すべき点では協力するとして閣僚級政治家を頻繁に中国に送るなど外交も一定尊重していました。他方、トランプ氏は中国に市場を奪われているなどとして、中国製品への関税引き上げなど経済面での対立が激化することが予想されます。半面、人権や民主主義といった価値の観点から中国を批判はしないため、その点での衝突は減るでしょう。

 前トランプ政権で大統領補佐官(国家安全保障担当)を務め新政権の国務長官等の最有力候補とされるロバート・オブライエン氏は、日本、オーストラリア、フィリピンなどの同盟国は米国との合同軍事演習などを通じて対中軍事力を強化する必要があると主張しています。「同盟ただ乗り」との同盟国への不信も強いトランプ氏ですが、対中政策としては、バイデン政権で進められてきたインド・太平洋地域における同盟国との連携を一層強めたうえで、同盟国の負担増を求めながら、軍事面でも中国を抑止していくことが見込まれます。

 現在、米軍と自衛隊の一体化が加速され、南西諸島における自衛隊基地の強化も進められています。これは米国の要求でもありますが、日本政府が希望して進めていることでもあります。南西諸島の自衛隊配備についても、今後、トランプ氏からさらなる強化を求められるかもしれませんが、まず、日本政府自身が「本土防衛」のために沖縄の人々の安全を脅かす政策はとらないとの立場をとることが重要です。

 大手メディアは、今までの日米同盟がいかに素晴らしいものであったかをトランプ氏に伝え、理解してもらわなければならないと論じるでしょう。しかし、完成の見通しが立たない米軍辺野古新基地建設に莫大(ばくだい)な予算を費やしていることなど、日米同盟には多くの問題があります。これまでの外交を変える転機にすべく、いかに困難でも日本政府は本当の意味での「国益」のために米国に意見していかなければなりません。(聞き手・石橋さくら)


冬景色。