「しんぶん赤旗」2025年3月2日
トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領は2月28日、ワシントンのホワイトハウスで会談しました。トランプ政権が侵略国ロシアに融和的な姿勢をとっていることにゼレンスキー氏が不信感を表明したところ、トランプ氏らが激怒。激しい口論となって会談は決裂し、当初の目的だったウクライナの鉱物資源を巡る合意文書の署名には至りませんでした。
1月の第2次トランプ政権発足後、両首脳が対面で会談したのは初めてです。トランプ氏は冒頭に「ロシアとは非常に良い議論ができた。(戦闘の)停止を実現させるつもりだ」と語りました。ゼレンスキー氏は「今回の文書が安全の保証の最初の一歩となることを願う」と述べ、米国からの支援継続に期待を表明しました。
同席したバンス米副大統領は「平和への道は外交に取り組むことだ」と発言。ゼレンスキー氏はロシア側が停戦合意を破りウクライナ国民を殺害してきた経緯に触れ、「どんな外交だ?」と応じました。
これをきっかけにトランプ氏やバンス氏は「米国に対し敬意がない」とゼレンスキー氏に反発。トランプ氏は「あなたは何百万人もの命を使って賭けをしている。第3次世界大戦を巡って賭けをしている」と述べて、侵略国と侵略被害国をあべこべに描きました。
会談後に予定されていた共同記者会見は中止になりました。ゼレンスキー氏が研究所で行う予定だった講演も中止されました。
ノルウェーのストーレ首相は、第3次世界大戦に関するトランプ氏の言い分について「まったく筋が通らず、私は距離をとる」と語りました。
トランプ政権の幹部らは「米国のために勇気を持って立ち上がってくれた」(ルビオ国務長官)などとトランプ氏を絶賛しています。一方、野党民主党からは「(トランプ氏の振る舞いは)不名誉で危険だ。敵を助け、友人を傷つけ、安全保障を弱めている」(ベイヤー下院議員)などの批判が出ています。
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ウクライナ 根深い欧米不信
トランプ氏は個人的な恨みも
【ワシントン=時事】トランプ米大統領のウクライナ停戦への取り組みに同国のゼレンスキー大統領が疑問を呈して激しい言い合いとなり、2月28日のホワイトハウスでの首脳会談は物別れに終わりました。背景には、ウクライナ側が求める「安全の保証」を巡って、根深い欧米への不信があります。
ウクライナが独立を宣言したのは1991年8月。同国は94年、旧ソ連時代に配備された大量の核兵器の放棄に同意しました。これを受けて米ロ英の核保有3カ国はウクライナの「安全の保証」を約束。その20年後の2014年、3カ国のうちのロシアのプーチン大統領がクリミア半島を一方的に併合しました。
ゼレンスキー氏はこの日、トランプ氏の前で「誰も彼(プーチン氏)を阻止しなかった」と指摘。その後、ドイツとフランスを交えてロシア側と停戦合意(ミンスク合意)を結んだものの「(プーチン氏は)停戦を破り、仲間を殺し、捕虜交換も行わなかった」と糾弾しました。
プーチン氏が今後も約束をほごにするとの疑念は、トランプ氏と今週会談した英仏首脳もあらわにしています。一方、トランプ氏はウクライナの鉱物資源の権益を巡り合意を迫り、「安全の保証について話す必要はない」と取り合いませんでした。
トランプ氏の一方的な振る舞いは、19年にゼレンスキー氏に対して軍事支援などを行うことを条件として、ウクライナと関係のあったバイデン前大統領(当時は前副大統領)の醜聞を捜査するよう要求した事件をほうふつさせます。
ゼレンスキー氏はこの時、トランプ氏の求めに応じず、米下院はトランプ氏を弾劾訴追(上院で無罪判決)しました。米外交関係者の多くは、トランプ氏がゼレンスキー氏を恨み、嫌っているのは明白だとみています。
さてさて、日本の石破氏はどのような態度に出るのでしょう。
「何もしない」でしょうね。
今日はまた冬に戻りです。
しばらく天氣は良くないようです。