只 秋も遅くなって茸も終わりに近づき 冬が来ると
松葉掻きと言って
裏山の松林へ登って熊手で松落葉を掻集めては
大きな背負い尾籠(びく)に詰めてくる作業は子どもの仕事にもなった
これは 焚きつけにするためだった
何処の家でも囲炉裏で火を焚いていたから 焚きつける物が必要だった
豆殻・ボヤ(小枝)が多く
松葉は燃やすと煙が多いので家の中では余り良い焚き付けではなく
風呂などによく使ったような気がする
余談ながら 囲炉裏で思い出すのは
薄い経木板の端に硫黄をつけた附木(つけぎ)と呼ばれたものだ
この板を裂いて 硫黄の所を炭火に付けると
青い炎が立って経木に燃えついた
小さな燠(おぎ)から火を燃え上がらせたり 火を移すのに使われた
しかし 松葉掻きの出来る山林までは 30分以上登らないといけなかった
山は四季を通じて遊び場だった
春から夏にかけては 蕗の薹・タラの芽・芹・蕗・山独活・蕨・ゼンマイ・小梨等採りには
一家総出で出かけたりした
家の近くでも 遊びながら 榎の実・グロテスクな形のてんぽん梨(玄圃梨)桑の実・木苺等
自然の恵みはいくらでもあった
只 イタドリだけは
我が家では塩漬けなどの処理をしなくては食べるのは禁止だった
-終-
☆イタドリ → 夏から秋に細かい白花を咲かせ 春先の若芽は食用になるらしいが
花が咲くと 秋に昆虫が集まる花の代表的なものであるようで
冬を越したり 宿にする虫もいたのでしょう
もしかしたら こんなことが関係して
春先採ったイタドリは 一旦 塩漬けにすることが良かったのかもしれない
親父の時代も 僕の時代も
山や野から貰う食べ物は全く同じ・・・
是だけは 年齢差は無いみたいです
大正 昭和の話ですよ
現代はこんな事 共有できないかな・・・
淋しいですね