今日ももたもた

絵本描いています。
たまーに更新。主に愚痴。

気持ち悪い理由

2007-11-04 01:02:11 | ノンジャンル
木曜日の教室終了後、ある保護者の方に聞いた話によると、Aちゃんの学校の、前いた先生が図工の時間がんばりすぎる人で、作品展などでずらりと同じ絵が並ぶ、ということでした。同じテーマ、同じ構図、同じ色づかい・・・Aちゃんママはそれを見て気持ち悪い、と感じたそうですが、それはまっとうな反応だと思いました。
お話からすると、その絵は酒井式描画法と呼ばれる指導法で描かされたものと思われます。
酒井式は、導入から鑑賞までこと細かくマニュアル化したような図工の指導法で、誰が指導しても素晴らしい絵を描かせることができる、と思わせ、図工指導に悩む教師なら試したくなるような気にさせられます。
「かたつむりのようなゆっくりした線で描く」とか「自分の顔を触りながら描く」とか、混色の方法など、いいなと思い、私も取り入れてみたこともあります。
ただ、そのマニュアルを鵜呑みにし、そのAちゃんの先生のように、先生の言うとおりにできない子は怒られる、というのはやり過ぎです。
結果、先生の言うとおりに描けた同じような絵が並ぶことになります。
造形教室ではむしろ人とは違う、その子なりの工夫、その子なりの発見を認めたいので、同じ絵ができてしまったら、私だったら「失敗だったかも…」と落ち込んでしまうのですが。

「自由に描け」と言われて戸惑う子もいるでしょうし、小学校中~高学年以上だとコミックイラストのような絵ばかりになってしまうなど、概念的になってしまう子どもたちの絵の概念砕きの一つの方法としては良い面もあると思っています。
でも、それ一辺倒になってしまうと怖いです。

もっと怖い話が、2歳の子に酒井式で絵を描かせる、というものです。
殴り描きから、丸が描けるようになって、目や口が描きこまれて、それに手足が生えて、やがて胴体も描かれるようになって…という発達の段階は幼児の認識の段階と一致しています。
それを大人の見方で、白眼も黒眼もまつ毛もあって、歯もあって…という絵を描かせ、こちらの方が素晴らしいのだ、と主張するのはやっぱり違和感があります。
2歳児はやっと丸が閉じてくるところ、その丸がとってもかわいらしい。
3歳児は頭足人(顔から手足が出ている)を描くころ、その時にしか描けない素晴らしい絵です。
児童画展で、幼稚園で酒井式で描かされた絵を見かけることもあります。
私が行ってる二つの園では、酒井式で指導されていないので本当によかったと思います。