仏教国のタイで、おもしろいことを考えた僧侶がいます。
「ペットボトルを『お布施として』寺院にもってきてほしい」というのです。
持ち込まれたペットボトルは再利用され繊維となり、綿などと混ぜて布にして僧衣(東南アジアでよく使われるオレンジ色のやつ)が作られます。
僧衣を縫製する人には給金も支払われます。
一般の僧衣より割高ですが、ミャンマーやラオスからも注文がきているそうです。
なるほど、分別だ回収だといわれても、行政からの押し付けと考えればひねくれて守らない人もいるでしょうが、宗教のお布施といわれれば信心の深さを示すものですから、みんな喜んで持ってくるでしょう。
いまはまだ数百着程度だそうですが、今後もっと広がっていってほしい取り組みです。
タイは廃プラスチック問題に積極的な国で、国内最大のコーヒーチェーンでもコップやストローに生分解プラスチックを使うなど、おそらく日本より進んでいるでしょう。
そのかわり、そのタイの生分解プラスチックは、日系企業の製品だそうです。
生分解プラスチックは、いまは普通のプラスチックより割高のため、目先の利益にこだわる企業はなかなか使おうとしません。
もっと大規模に使われるようになればスケールメリットでコストも下がり、やがて世界中で現在のプラスチックにとって替わられるでしょう。
面倒なのはアメリカで、サンフランシスコ市ではプラスチック製ストローの使用を禁じる条例ができた反面、テネシー州などでは経済活動の混乱を招くとして「プラスチック禁止を禁止する」条例ができたりして、どうにも手に負えません。
先日終わったG20でも「2050年までに現在のプラスチックを廃止する」指針が採択されました。
G20といえば世界の経済活動の8割を占める国々です。
目の前の利益や既得権にしがみつかず、新たなビジネスチャンスとして本気で取り組んでもらいたいものです。