大都市だけでなく、日本の多くの道に点字ブロックが設置されています。
目の見えない人にとって、点字ブロックは社会生活の範囲を広げる生命線といえます。
ブロックがあるおかげで、これまで行きづらかった場所に安全に行ける。
これは目に障害がある人にとって、必要不可欠な存在といえます。
ところがこの点字ブロック、材質に大きな問題があるのです。
とにかく濡れると滑る。
雨の日にうっかり踏んでしまうと、接地面積が狭いこともあってつるんと滑ってしまう。
特に雨上がりに自転車で乗り上げたりすると、転倒しそうになります。
その意味では点字ブロックは健常者にとって「障害物」です。
駅のホームから転落する事故が多発する中、ホームドアを設置する駅が増えています。
目の悪い人や酔客にとって、ホームドアは命を助ける装置です。
しかし、もしも東京のJR、私鉄、メトロのすべての駅にホームドアを設置しようとすると、最低でも数兆円が必要です。
また銀座線や丸ノ内線のように古い路線では、ホームがドアの重さに耐えられないので補強工事が必要です。
これらの費用は利用者、つまり乗客が負担しなければならないでしょう。
障害のある人に優しい街を作るのは、大切なことです。
しかしそのために「負の要素」があることも、忘れてはいけません。
そのバランスをとることが重要なのです。
来年の五輪を控え、東京ではバリアフリーがあちこちで進んでいます。
しかし五輪が終わったら、どうなるでしょうか。東京以外ではどうでしょうか。
日本はバランスのとれた国であり続けられるのでしょうか。
そもそも現在、バランスはとれているのでしょうか。