盗人宿

いまは、わかる方だけ、おいでいただければ。

あらまあ

2019-07-14 16:30:58 | にゃんころ
きのう書き終えていた文章を投稿したら、なぜか編集画面に戻って文章が消えてしまいました。
自動保存もされていません。
1000文字以上書いたのに、無駄足です。
新しいエディタになってから、こういうことが何度も起きて困ります。
 
そういうわけで、困った時の江戸時代。
 
 
大文字楼といえば、吉原でも屈指の見世でございまして、こういうところは引手茶屋から客が送り込まれてきますから、花魁が張見世などで客引きをする必要はありません。
そろそろ客を迎える時刻になり、花魁衆は湯から上がって諸肌脱いで、胸のふくらみなど丸出しにして顔から襟元に白粉を塗って化粧をしている、実にどうもたとえようのない艶やかさでございます。
 
さて、ちょうどその頃、天狗が「飛行の術」を使って空を飛んでいて、たまたま下界をのぞいたときにその光景ですから、ついふらふらっとして術を忘れ、大文字の庭にドシーン!と落ちた拍子に長い鼻が庭に刺さってしまった。
あの長さでございますから簡単には抜けません。若い衆も手助けをするのですが、やはりだめ。
 
その時、化粧を終えたのが、お職をはる花魁。「お職」とはその見世のナンバー1の花魁のことで、やはり貫禄がございます。
人を制し、庭下駄をつっかけてゆっくり天狗のそばに寄り、懐から桜紙を取り出しまして、天狗の鼻のところをひょいとつまんで、
 
 「さぁ、ぬし、抜きなんし」