大相撲の先場所で10勝して大関に返り咲いた栃ノ心ですが、今場所は初日から5連敗、ついに6日目から休場となってしまいました。
彼は若いうちにいちど小結にまで上がったのですが、右膝に大怪我をして幕下まで番付を下げます。
そこからまた這い上がって幕下優勝、十両優勝、そして幕内優勝も果たし、大関にも上がったのですが、やはり膝は完治しておらず、取り組み相手よりも常に怪我と戦い続けてきました。
大関から陥落して関脇で迎えた先場所は、序盤から連勝を続けて復調を印象づけたのですが、今場所は初日から5連敗。
休場してじっくり治療に専念するのは賢い選択でしょう。
強い時の彼は、上手をとれば相手が三役でも豪快に勝つ実力の持ち主ですが、おそらくその怪力に下半身がついていけないのでしょう。
しかも膝をかばいながらですから、勝ちも多ければ負けも多い。
今場所は特に怪我がよくないようで、取り組みを見ていてもまったく踏み込めておらず、力の半分も出せていないようでした。
ヨーロッパ出身で大関まで上がり幕内優勝もしながら怪我に泣かされた先輩力士といえば、琴欧洲がいます。
ブルガリア出身の、明治製菓の化粧回しをつけていた、あの人です。
彼は栃ノ心ほどの重症ではありませんが、肩、肘、膝に常に持病を抱えていました。
幕下に落ちることはなかったものの、優勝して大関に上がってからはいわゆるクンロク大関で、カド番を迎えてはぎりぎりに勝ち越す繰り返しでした。
こう考えてみると、怪我で休場した翌場所にあっさり優勝してしまう白鵬が、いかに「無事是名馬」であるかがよくわかります。
とはいえ、白鵬もあと10年20年現役を続けられるはずもなく、鶴竜は最後に優勝してからもう1年。
そして三役に「こいつは近いうちに横綱に」と思える人も、どうでしょうかねえ。
かえって幕内下位の炎鵬や照強、十両の石浦など、小兵力士の活躍を観るほうが楽しみです。
「舞の海時代・再び」とでもいえばいいでしょうか。
今場所、大相撲をテレビで観るなら、彼らの出る4時頃がおもしろいですよ。