録画してあった「王立宇宙軍 オネアミスの翼」を観ました。
もともと「日本SF大会」という、まだ日本では珍しかった「SF」というジャンルを紹介や研究するイベントがありました。
第1回が開催されたのは1962年。
まだ「鉄腕アトム」が毎月新刊で出ていた頃、といえばおわかりでしょうか。
紹介や研究といっても単なる真面目な研究会だけでなく、SFのプロやアマチュアが集まっていっしょに騒いだり、山下洋輔トリオに筒井康隆やタモリが加わってライブを行ったり、とお祭り要素もたくさんありました。
ひとときのような盛り上がりは影を潜めたものの、現在でも年に1回開かれています。
展示会や研究会のような大会を「コンベンション(convention)」というので、毎回開催都市にちなんで「〇〇CON」という別名がつけられました。
たとえば東京ならTOCON、大阪ならDAICON、神戸ならSHINCON、北海道ならEZOCON、という具合に。
まあ途中からそれもいいかげんになって、長野で「やねこん」(ひらがな!)、千葉で「未来国際会議」、宮城で「みちのくSF祭ずんこん」など、好き勝手にやっているようですが。
今年も今月末にやるらしいですよ。
1981年に大阪で行われたDAICON3で、運営スタッフ(主に学生)を中心に作られたオープニングアニメーションは、その後販売されて大きな利益を生み出しました。
その利益とスタッフが新たなアニメーションを生み出し、2年後のDAICON4の開催と「ダイコンフィルム」の誕生につながりました。
このダイコンフィルムのスタッフは、いちどそれぞれプロの現場に入って仕事を学び、改めて商業作品の制作を目指します。
そして最初は「王立宇宙軍」は短編のオリジナルビデオにる予定でしたが、バンダイのスポンサードがついたために2時間の劇場版になり、ダイコンフィルムはいちど解散して新たなプロダクションが作られました。
それが「GAINAX」であり、後に「新世紀エヴァンゲリオン」を生み出すわけです。
要するにエヴァンゲリオンは、日本SF大会を開くために大学にも行かず運営に腐心していた大阪の学生たちの成れの果てが生み出したものであり、世の中どこで何が起こるかわからないものです。
演劇の世界でも、野田秀樹と夢の遊民社の母体は東大中退の連中だし、鴻上尚史と第三舞台は早稲田(鴻上は卒業)、つかこうへいは慶応中退です。
少子化なのに大学は増え続け、政府は学費を無償にするとかいっています。
いまでも多い「勉強しない大学生」は、今後もっと増えることでしょう。
そして上記の成功者たちの後ろにいる、数百倍の失敗者も増えていくでしょう。
技術立国・日本は、どうなっていくんでしょうかねえ。