電力自由化により従来の電力大手10社以外の「新電力」と契約できるようになったが、燃料価格高騰により電気料金が跳ね上がった。新電力と契約した中小零細企業は電気料金の高騰で廃業寸前に追い込まれている。他の新電力や従来の電力10社への切り替えもできないからだ。「電力自由化」は失敗だと断じるほかはない。また安倍晋三だ。首相としての実績はひとつもなく、負の遺産しかない。
北海道電力。東北電力。東京電力。中部電力。北陸電力。関西電力。中国電力。四国電力。九州電力。沖縄電力。それが電力大手10社だ。その10社により地域独占された電力供給体制が戦後日本の電力会社の構図だった。
この構図は電力10社に特権を与え、国営企業と民間企業の良いとこ取りをしたような夢のような体制だった。地域独占体制なので競争はなく、絶対に作った電気は元値より高く売れ、倒産することは絶対になく、「民間企業」という建前からある程度政府の介入を抑制できたからだ。このような優遇された体制は他にない。私の若さもあり、「ズルい」と思っていた。
絶対に倒産しない会社であれば、国営企業としてやるべきで、それが無理なら電力自由化をして「競争」すべきだと考えた。間違いだったが。東京電力の東日本大震災による福島第一原発のメルトダウンで電力大手の信用は地に落ちた。そのため電力自由化に反対する政治力を失っていたため、安倍晋三が電力自由化を断行した。その結果がこれだ。電気を使わない人も法人もないのだから電力会社は国営企業としてやるべきなのだ。
しかし戦後日本にも事情があった。冷戦により政権交代を起こさせるわけにはいかなかった。だから電力大手10社は「民間企業」として財界の雄として存在しなければならなかったし、自民党に政治献金をするスポンサーでなければならなかったのだ。
だが冷戦は終わった。だから「民間企業」でなければならない理由はないはずだった。しかし時代の流れは新自由主義だった。
いわゆる「三公社五現業」は民営化された。国鉄の民営化が一番有名だが、それだけではない。
専売公社はJTと塩事業センターに。電電公社はNTTグループに。
そして郵便局も郵政公社を経て民営化された。
中曽根康弘の国鉄民営化は「成功」ということになっているが、現在綻びがあちこちに見える。JR北海道は単独での独立採算制ではやっていけず、不祥事と不採算路線の廃止が相次いでいる。採算が取れないからと路線の廃止をしてしまえば地域で生きていくことはできなくなり、限界集落になる。
自己責任論者は過疎地域を捨ててみんな都市部で暮らせば良いなどと言うが、この狭い日本で離島山間地に人が住まなくなれば山は荒れ放題、国境離島は隣国に侵略されてしまう。中央から予算を出して赤字路線を維持することが全体として、永い目で見れば安上がりであり国益なのだ。
しかし新自由主義ブームでその声を黙らされた。田中角栄はそのことをわかっていたようだからやはり相当な政治家なのだ。
話を電力会社に戻そう。だから電力大手10社を国有化して「国営日本電力」を創設するのが良い。規模の効率を追求できるから同じものに投資する無駄が減る。広告も企業献金もなくなり、さらに効率的になる。社会主義だと批判されるだろうが。
原発のリスクは民間企業に負えるものではない。福島第一原発のメルトダウンで東京電力の信頼は地に落ちている。だが原発は必要な技術だ。それは國の責任でやるしかなく、そのためには電力大手10社を国有化した上で統合し、「国営日本電力」とすることが効率的なのだ。
電気を使わない人も法人もないのだから電力会社は競争する必要はないのだから国営独占体制が効率的なのである。
それだけではない。新電力は採算が合わなくなれば即撤退だ。無責任だが、それが民間営利企業というものだ。今でも電力大手10社に「電気最終保障供給約款」があるようだが、はじめから「国営日本電力」一社の方が責任の所在がはっきりする。少々電気料金が安くなるよりも安定した電力供給の方が大事だろう。引用した福井新聞の中小零細企業社長もそれを痛感していよう。
撤退する新電力の「エルピオでんき」
私は電力だけではなく、鉄道、水道、郵便局も国営(水道は公営)にすべきだと考えている。
「民でできることは民で」ではなく「官が責任を持つべきは官で」だ。
~~引用ここから~~
新電力と契約する福井県嶺北地方の繊維関連企業の50代社長が福井新聞の取材に応じ、電気料金高騰の実態を語った。燃料価格高騰を背景に昨秋以降急激に上昇し、割安だった昨春の電気料金に比べて今年1月分は約4倍に。「早く解約しなければ」と他の新電力や北陸電力への法人契約切り替えを探したが、どこも受け付け停止で、切り替え先が見つからない。「ぎりぎりの経営を続けてきたが、高騰が続くと廃業しかない」と訴える。
会社は家族経営で、繊維商社から糸を預かり受託加工する仕事だ。電力契約を北陸電力から新電力に切り替えたのは2020年10月。東証1部上場のグループ会社と「市場連動型」料金プランで1年契約した。「『北陸電力よりも安くなりますから』と言われて。内容に不安もあったが、新型コロナウイルス禍で経営が厳しい中、少しでも負担が減るなら、と思った」
市場連動型は、卸電力取引所の市場価格に連動して従量料金の単価が決まる。昨冬は電力需給逼迫(ひっぱく)で卸電力市場価格が高騰したが、「新電力側が『契約したばかりなので』と安い料金に抑えてくれて安心していた」という。昨年4月分も割安の8万円台に落ち着いていた。
だが契約が自動更新された後、突然、11月の電気料金が当座預金の残高不足で引き落としされていない、と通知が来た。料金を確認すると31万円超。北陸電と契約していた頃でも20万円以内に収まっていたのに、「見たこともない金額」に跳ね上がっていた。
12月も33万円台、今年1月分は38万円超と上がり続けた。燃料価格高騰による昨秋以降の卸電力価格の急激な上昇をもろに受け、料金明細にある1月の平日ピーク単価は昨年4月に比べて4倍近くになっていた。「通常の電気代だと加工賃の1~2割に収まるが、一気に5割以上になってしまった」と、会社存続が厳しい状況にまで陥った。
もう限界だと感じ、2月に入って新電力側に電話すると「解約金を払って他社に切り替えてもらって構わない」とあっさりした対応だった。急いで他の新電力を調べたが、新規受け付けしている社が見つからない。北陸電力に連絡しても全面停止だとして断られた。
2月以降は電気料金を少しでも抑えようと、平日日中の工場稼働をやめ、単価が安い午後10時以降の夜間に稼働をシフトした。だがその分、稼働率は半減した。「原材料価格、輸送費の高騰のしわ寄せに加え、異常な電気代の値上がり。三重苦どころじゃない。リーマン・ショック後、ずっと家族経営で厳しい中をくぐり抜けてきたが、これ以上続くなら廃業しかない」と吐露する。
~~引用ここまで~~
~~引用ここから~~
燃料価格の高騰を受け大手の新電力などが法人向け電気料金の引き上げを続々と通知し、北陸エリアの企業などから北陸電力(本店富山市)に契約切り替えを求める申し込みが殺到、北陸電側が現状の供給力では対応できないとして受け付けを停止していることが分かった。福井県内の電力関係者によると、ウクライナ危機による影響もあり多くの新電力が新規契約を停止する異常事態で、契約先を選べない企業にとってコスト増に拍車が掛かりそうだ。
北陸電が法人向け契約切り替えの受け付けを停止しているのは2月下旬からで、電力小売り自由化後、初めての措置という。同社は「急激な申し込みの増加は想定していなかった。要望に応じるには市場調達する必要があるが、卸電力市場の現在の市場価格を踏まえると、企業側にメリットがあるような提案ができない」としている。
電力関係者によると、原油や液化天然ガス(LNG)、石炭価格の高騰により、卸電力市場の取引価格が2021年10月以降値上がりが続き、大手の新電力などが相次いで4月以降の電気料金引き上げを契約企業に通知しているという。「最大1.5倍ほどの値上げを提示する事業者もあり、相対的に安くなる北陸電に申し込みが殺到したようだ」と関係者は指摘する。
卸電力市場からの調達価格が顧客への販売価格を上回る「逆ざや」状態に陥っている新電力の事業者もあり、契約企業に対して継続打ち切りを求めるケースも出ているという。
企業は、どの小売事業者とも契約が結べずに電力供給が受けられなくなる恐れもある。その場合、北陸電力送配電の「電気最終保障供給約款」によって、北陸電の標準電気料金の2割増で供給を受ける救済措置がある。
ただ、電力関係者は「企業側が(新電力の)値上げを飲むにせよ、電気最終保障供給約款で電力供給を受けるにせよ、負担が重くなる。現在の卸電力取引は異常な状況で、地域経済に大きなダメージを与える恐れもある」と懸念した。
電力・ガス取引監視等委員会によると、北陸エリアの法人分野の販売電力量に占める新電力のシェアは16%(昨年10月末時点)。
~~引用ここまで~~
北海道電力。東北電力。東京電力。中部電力。北陸電力。関西電力。中国電力。四国電力。九州電力。沖縄電力。それが電力大手10社だ。その10社により地域独占された電力供給体制が戦後日本の電力会社の構図だった。
この構図は電力10社に特権を与え、国営企業と民間企業の良いとこ取りをしたような夢のような体制だった。地域独占体制なので競争はなく、絶対に作った電気は元値より高く売れ、倒産することは絶対になく、「民間企業」という建前からある程度政府の介入を抑制できたからだ。このような優遇された体制は他にない。私の若さもあり、「ズルい」と思っていた。
絶対に倒産しない会社であれば、国営企業としてやるべきで、それが無理なら電力自由化をして「競争」すべきだと考えた。間違いだったが。東京電力の東日本大震災による福島第一原発のメルトダウンで電力大手の信用は地に落ちた。そのため電力自由化に反対する政治力を失っていたため、安倍晋三が電力自由化を断行した。その結果がこれだ。電気を使わない人も法人もないのだから電力会社は国営企業としてやるべきなのだ。
しかし戦後日本にも事情があった。冷戦により政権交代を起こさせるわけにはいかなかった。だから電力大手10社は「民間企業」として財界の雄として存在しなければならなかったし、自民党に政治献金をするスポンサーでなければならなかったのだ。
だが冷戦は終わった。だから「民間企業」でなければならない理由はないはずだった。しかし時代の流れは新自由主義だった。
いわゆる「三公社五現業」は民営化された。国鉄の民営化が一番有名だが、それだけではない。
専売公社はJTと塩事業センターに。電電公社はNTTグループに。
そして郵便局も郵政公社を経て民営化された。
中曽根康弘の国鉄民営化は「成功」ということになっているが、現在綻びがあちこちに見える。JR北海道は単独での独立採算制ではやっていけず、不祥事と不採算路線の廃止が相次いでいる。採算が取れないからと路線の廃止をしてしまえば地域で生きていくことはできなくなり、限界集落になる。
自己責任論者は過疎地域を捨ててみんな都市部で暮らせば良いなどと言うが、この狭い日本で離島山間地に人が住まなくなれば山は荒れ放題、国境離島は隣国に侵略されてしまう。中央から予算を出して赤字路線を維持することが全体として、永い目で見れば安上がりであり国益なのだ。
しかし新自由主義ブームでその声を黙らされた。田中角栄はそのことをわかっていたようだからやはり相当な政治家なのだ。
話を電力会社に戻そう。だから電力大手10社を国有化して「国営日本電力」を創設するのが良い。規模の効率を追求できるから同じものに投資する無駄が減る。広告も企業献金もなくなり、さらに効率的になる。社会主義だと批判されるだろうが。
原発のリスクは民間企業に負えるものではない。福島第一原発のメルトダウンで東京電力の信頼は地に落ちている。だが原発は必要な技術だ。それは國の責任でやるしかなく、そのためには電力大手10社を国有化した上で統合し、「国営日本電力」とすることが効率的なのだ。
電気を使わない人も法人もないのだから電力会社は競争する必要はないのだから国営独占体制が効率的なのである。
それだけではない。新電力は採算が合わなくなれば即撤退だ。無責任だが、それが民間営利企業というものだ。今でも電力大手10社に「電気最終保障供給約款」があるようだが、はじめから「国営日本電力」一社の方が責任の所在がはっきりする。少々電気料金が安くなるよりも安定した電力供給の方が大事だろう。引用した福井新聞の中小零細企業社長もそれを痛感していよう。
撤退する新電力の「エルピオでんき」
~~引用ここから~~
https://lpio.jp/electrical_kyushi/(エルピオでんきのURLが貼れない)
平素はエルピオでんきをご利用いただき誠にありがとうございます。 2020年12月以降、天然ガスなど発電燃料不足による電力卸売市場の価格高騰、 その後、2021年10月から慢性的に高値が続く電力卸売市場の中でも、弊社は お客様負担を増やすことなく、社会貢献にもつながると信じ、「格安でんき」の料金を維持してきました。
しかし、2022年も慢性的な天然ガス不足の影響もあり輸入価格が高額をつける中で、 更にロシア軍のウクライナ侵攻が勃発。ヨーロッパの天然ガス市場の大暴騰を受けて 日本の電力先物、電力卸売市場、天然ガスを発電燃料とする発電所からの買取価格が、昨年より一段と高値をつけてしまいました。 今月3月に入っても欧州情勢と原油先物価格等が落ち着く見通しがつかないことから 当面の間、弊社の電源調達も厳しい立場に立たされています。
この状況を受けて、弊社では3月18日より新規の申込を休止させていただきました。
その後も3月以降、引き続き発電所、その他の電源保有事業者と調整をおこなってまいりましたが、 電源調達の見込みが依然として見られないこと、福島県沖地震後に電力卸売市場が昨年比の2倍-5倍の値段をつけていること から「格安でんき」の料金を維持していくことが困難になってしまいました。
このままでは、これまでの1.5倍から2倍近い大幅値上の料金とせざるを得ず、他の電力会社様の方が圧倒的に安くなり、 お客様に対しご迷惑をおかけすることになるため、「エルピオでんき」の全エリア、全メニューのサービス提供を停止することとなりました。
お客さまにはお手数をおかけしまして、誠に恐縮でございますが、エルピオでんきはエネワンでんきの代理店となり、お客様におかれましては、株式会社サイサン(エネワンでんき)に下記より速やかに切替手続きをしていただきたく、お願い申し上げます。
誠に勝手なお願いではございますが、何卒ご注意頂きますようにお願い申し上げます。
~~引用ここまで~~
私は電力だけではなく、鉄道、水道、郵便局も国営(水道は公営)にすべきだと考えている。
「民でできることは民で」ではなく「官が責任を持つべきは官で」だ。
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