眠りが浅い のは、身体の深部と表面の中間くらいの深さ、(この場所を半表半裏といいます)に、熱気がこもっているせいです。
人が眠りにつくとき、体表面を循環して、身体を動かし目や耳を利かせ、意識を働かせていた「陽気」が、身体の深部に入ってきます。
「半表半裏」に熱が停滞すると、深い眠りに入ろうとしても、「陽気」は中途半端の深さで阻まれて、表面に出たり入ったりするので、眠りは浅くなって、何度も目が覚めます。
「半表半裏」は、漢方的な別のいい方をすれば、「肝・胆」につながる場所です。
イライラがつのって怒り出すことを、「カンシャク」を起こす、と言いますが、これは元は漢方の用語で、「肝癪」。
精神的ストレスに耐えられなくなると、「肝・胆」に熱が詰まってきます。
だからこの方の、口内炎・目の充血・寝汗などは、「肝・胆」に詰まった熱気のせいでしょう。
もう一方の「咽喉の詰まり」は、「腎」が作る「陽気」の不足です。
これもストレスから、「腎」が弱って、「陽気」が少なくなると、「陽気」は全身をくまなく巡れなくなって、あちこちに痞えます。
よく痞える場所の一つが咽喉になります。
これで、この方の処方が決まりました。
「肝・胆」の熱気を冷ますのは、「柴胡」が主薬になります。
「柴胡」が主薬の処方の中で、「腎」の陽気の流れを回復する「桂枝」
「牡蠣」が入っている、「柴胡桂枝乾姜湯」という処方があります。
この「柴胡桂枝乾姜湯」のエキス剤を、1週間分、服用したら、まずイライラが楽になって、よく眠れるようになりました。
続いて、肩こり、口内炎、寝汗なども減ってきました。