中医基礎理論の主要な出典である黄帝内経素問には、「肝は目に開竅す」とされています。
開竅(かいきょう)とは難しい言葉ですが、臓腑の機能が体表の孔に現れるということです。例えば肺は鼻、脾は口に開竅します。
目は視覚を司る感覚器官であると同時に、孔として肝と繋がっていると捉えているのです。
肝の病理は目の症状として現れ易く典型的には眼精疲労、目痛、目赤(眼球結膜充血)、流涙、眼痒、あるいは白内障などの視力低下など呈します。
逆に目を酷使すると肝の病理を引き起こします。特に肝血虚の頻度が圧倒的に多いのです。黄帝内経素問に「肝は血を蔵す」ともあります。
ここでいう「血」とは中医学で言う血であって、現代医学のBloodの概念を包含しますがさらに広い概念であり、人体組織を滋養する物質的栄養物を指しています。(これに対して非物質的なエネルギー物質を「気」と呼んでいます。)
肝の主要な働きの一つは、この血を備蓄し人体各所の需要に応じて血を供給することです。
例えば女性では月経前に血を胞宮(現代医学では子宮)に供給するようになっています。
肝血虚の人はこの時に血のストックが乏しく、月経前には肝血虚が一層強くなるためにPMS(Premenstrual Syndrome)の諸症状が起こる頻度が高いのです。... さらに表示