鈴木海花の「虫目で歩けば」

自然のディテールの美しさ、面白さを見つける「虫目」で見た、
身近な虫や植物の観察や飼育の記録。

不思議なメキシコみやげ「はねる豆」

2010-12-01 20:48:07 | 日記

 アーティストの荒木珠奈さんhttp://tamarimo.exblog.jp/から、

うっかり持ち帰ってしまったので海花さんに、

とこんなものが送られてきました。

 

 

 

 

 Aさんは、一昨年私が虫の布人形を買いたくて訪ねたメキシコ南東部のチアパス州に半年間滞在して帰国したところです。メモによると、ツクストラという町でオカマちゃんが売っていて、心臓が苦しくなったとき握りしめるといい、というお守りのようなもので「はねる豆」と呼ばれている、とあります。このように袋に入れて、安全ピンで服に止めておくもののようです。

 「9月に買ったけれど、まだまだ元気です」とも書いてあります。

元気って・・・豆が???

 

 Aさんは以前にも、メキシコの「コチニール」という、食紅の代用着色剤として需要が増えている、カイガラムシを乾燥したものをおみやげにくれたのでした。これを煮出してみると、赤いゼリーのような液体ができあがりました。口紅とかカマボコとかお酒の色付けにつかわれているそうです。

 

 それで今回は、豆。

頭のなかが???だらけになりながら、おそるおそる袋の中身を出してみると

4粒の豆のような種のようなものが出てきました。

 

 

 

 これがどうして「元気」なんだろう・・・・・。

 

 とりあえず、お皿の上に出してじーっと観察してみると、

 

 

 チリンとお皿の鳴る音がして、ほんとだ、豆がはねた!

 

珠奈さんにメールしてきくと

frijol saltarines(はねる豆)といって、ソノラ州の灌木の花に卵を産む、ガの一種みたいです。

花で孵った卵が、タネに侵入し6月頃から、中で36ヶ月も生きるそうです。

ということは、いつか出てくるんですよね?」と。

 

 ということは、ガの幼虫がはいっていて、元気よく動いているんでしょうか?

夫が、そういえば以前テレビでみたことがあるような気がする、といいます。

 これはもう、中を見てみなくっちゃ。

ということで、勇気をふるって、解体してみることに。

中に何かいるのだったら、傷つけないように、と少しずつカッターで切ってみると、

 

 

やっぱり!

白い幼虫がいました。

豆の内側はうっすらと白い糸のようなもので覆われていて、小さなフンのような黒いものが少しあるだけ。他には何にもありません。

 ガの幼虫だとしたら、きっと食べ物がたくさん必要だったと思うのですが、もう食べつくしたんでしょうか?

このあと空になった豆の中でサナギになるとして、こんな硬い豆の中で、どうやって羽化し、出てくるんでしょうか?

 もう少しして、動かなくなったら、またひとつ解体してみようかな。

もしかしてサナギになっているかも。

 謎が深まるばかりのメキシコのおみやげなのでした。