6月4日、京都左京区のガケ書房でのイベント『虫愛ずる一日 in 京都』。
10時からトークイベント、お昼には近くの「なやカフェ」でランチしつつ親睦会、
そして午後は近くの吉田山を虫目で歩く観察ワークショップ、
と1日を虫目三昧しようという欲張った内容でしたが、
予想外(?)にたくさんの方が参加してくださってびっくり。
参加してくださったみなさま、ほんとうにありがとうございました!
わたしは前日3日から京都へ。
イベント翌日の5日は大阪の箕面昆虫館へ出かけるという充実の虫目3日間でした。
虫と人に会いに行った京都、大阪への2泊3日。
まず1日目から。
5時起床。
どんなときも朝食は必ずとるので、
早起きしていつものようにご飯づくり。
メールをチェックしつつ、出かける準備。
仕事の都合でどうしても同行できなくなった娘が、
イベント成功を祈って自由が丘のガチャガチャで集めてくれたという、
テントウムシのストラップをお守りに、家を出ました。
真ん中のハイイロテントウ(外来種)と奥のウンモンテントウ、今年こそは見つけたい。
9時の新幹線でまず新大阪へ。
12時少し前に大阪駅で、イベントをいっしょにやる池内美絵さんと待ち合わせ。
待ち合わせ場所へ行く間に、大阪へきたぞ、と実感することが3つ。
一つ目は、東京にはない踊り場のあるエスカレーター。
エスカレーターの途中に、水平な部分があり、
下りではその部分を過ぎたとたん、滝のように下に流れ落ちる。
はじめて乗った時はびっくりしました。
2つ目。平日昼間も女性専用車両がある。東京でも作ってほしい。
3つ目。エスカレーターの右寄り左側空け、の習慣。
東京は逆なのですが、私は右寄りの関西方式のほうが体になじみます。
池内さんといっしょに『虫目で歩けば』を置いてくれているブックショップ&カフェ
「カロ」http://www.calobookshop.com/
さんへ。
店主の石川さんに連れてきちゃったゴマダラオトシブミを見せているところ。(撮影 池内美絵)
センスのいい、しかも気の置けない雰囲気のすてきなショップです。
こんなお店に私の本がセレクトしてもらえるなんて、うれしい。
お昼時だったので、石川さんお手製のスパイシーなカレーでランチ。
(撮影 池内美絵)
ちょうど新たに注文してくれた本が出版社から届いたところだったので、
その何冊かにサイン。
(撮影 池内美絵)
きょうは池内さんと一緒に、イベントの打ち合わせや観察会の下見やら、
まだやることがいっぱいあるので、タクシーで大阪駅へもどる。
地下鉄で京都へ移動。
電車の中で、池内さんから明日のトークイベントの申し込みが
18人になったときいて、よかったー、とふたりで喜びました。
1週間前までは申し込みが、えっ!ふたりぃ?・・・さびしっ!
という状態だったのが、ここへきてどっと人数が増えたのだそうです。
京都着。
四条烏丸から岩倉5番のバスで30分。白川通りに到着。
1分ほど歩くと、道の向こう側に、あ、見えてきました、ガケ書房。
京都大学があるこの地域は、
京都ならではの雰囲気と、新しいことが同居している町です。
その中でも、ギャラリー、セレクトブックショップのガケ書房と恵文社は、
この左京区の文化を象徴する存在といえるでしょう。
恵文社は以前行ったことがありましたが、ガケ書房は初めて。
ひとめ見て、写真を見て想像していたよりずっと素敵なお店だったので、心が躍りだしました。
http://www.h7.dion.ne.jp/~gakegake/
けっこう大きな一階建ての建物で、
外壁は石をびっしり挟み込んだ粗い金網をめぐらして崖に見立て、
その一か所に後ろ半分が埋まったように、赤い車が顔を出している、
ひとめ見たら目に焼き付いてしまう外観。
広々した店内には書架がいい感じに並び、
1冊1冊セレクトされた本や雑誌が並んでいます。
店長の山下さんにご挨拶&明日の打ち合わせ。
申し込みは今日も増え、25人になったときいて、おお~。
「ありったけのイスを出しても足りるかなあ」と山下さん。
イベントの一環としての「虫本フェア」の本ももう並べられています。
ここは、明日のトーク後に池内さんがヤスデをみんなに紹介する、
というイベントを開く
ガケ書房入口にある「もぐらスペース」。
ほんの半畳くらいの広さですが、なんだか上から陽がそそいで、元気な黄色いもぐらもいていい感じ。
「自分だったら、このスペースを一日提供してもらったら、何をするかな?」
とつい考えてしまうような、気持ちのどこかを刺激するものがあるスペースでした。
明日は朝9時に集合して準備をする、とういことで、
次はすぐそばのなやカフェさんへ。
http://www.naya-78.net/
なやカフェは、「手ごねの酵母パンと石焼き豆コーヒー」をメインに、
自畑で育てた野菜などのこだわり素材の料理、
レトロであたたかみのある店内雰囲気で常連も多い人気カフェ。
私ははじめて行ったのですが、
オーナーの侑記さんが厨房に立つ姿があまりにすがすがしく絵になるので、
ああ、こんなお店で虫イベントのランチ親睦会なんていうことをしていいんだろうか、
と心配になった。
でも事前に池内さんからきいたところによると、
虫愛ずる一日のランチとして、なやさんでは、特別メニューを考えてくれていて、
それがなんとハチの子がはいっているパテとか、
カイコ(!!!)とクワの葉のサンドイッチ・・・・・・とか。
しかし、カイコは今その数が減少しており、
仕入れができなかったとのこと。
残念なようなホッとしたような。
なやさんを出るとはや3時すぎ。予定が押している。
これから吉田山へ行って明日の観察ワークショップの下見をし、
池内さんはそのあとトーク時に写真を映すプロジェクターなどの準備をして、
それから大阪の自宅に帰って明日ヤスデを連れてくる準備をしなくちゃいけないのに。
かなり焦り気味に吉田山を目指す。
歩いて15分くらいで山道の入口である赤い鳥居に到着。
吉田山に来たのは、はじめて。
(撮影 池内美絵)
明日は20人くらいの人たちを案内しなければ、ならないのです。
虫が見つかってほしいのはもちろん、
まずはみんなを連れて道に迷うことだけは避けたいので
方向音痴の私もかなりマジで道を覚えようとするあまり、虫目がおろそかに。
時間がない上に道を覚えなくてはいけないという二重のプレッシャーで虫目になる余裕なし。
足元にシデムシ、花盛りのトベラの木にオレンジ色のイモムシを見つけたくらい。
こんなことで、明日は大丈夫だろうか、という不安がよぎる。
吉田山はこじんまりした小さな山、という印象ですが、
その割にはけっこう枝道があって、
メインの道を上ってきたつもりが、やっぱり迷ってしまいました。
そこで、時間もないけれど、山頂付近にあるという「茂庵」という、カフェを目指して、
道を尋ねることにしました。
歩き回った後で、カフェ、という言葉が
魔法のように疲れた足に元気を注いでくれます。
さらに迷ったあげく、なんとか茂庵にとうちゃく~。
そこは緑したたる敷地内に昔の茶室などが点在し、古い町屋をそのまま使ったカフェ
。時間がないけど、道に迷って疲れてもいるし、
ふたりとも遅れている時間を無視してお茶にすることに。
メニューは軽食と、和洋が融合した甘味類。
どれも和を感じさせつつ、バランスがいい。
白ごまと黒ゴマのシフォンケーキに、キャラメルとナッツをかけたアイスクリームというセットにしました。
白とグレーのマーブル模様を描くシフォンケーキは目にも美しく、
ゴマの味も出過ぎずちょうどいい。
自家製キャラメルソースとカリカリのナッツをかけたバニラアイスも、
添えられた生クリームの甘さ加減、ゆるさ加減も・・・・・
すべてが調和していて、大満足のセットです。
ところで私は京都の「和スイーツ」というものを、
どうも世間でいうほど評価できないのです。
ひとことでいうと、和素材をこれでもかと積み重ねてはいるが、
総合的にみるとどこか野暮ったい。
たとえば京都の和スイーツを食べさせる甘味店の代表として名高く、
東京をはじめ全国的に人気の京はやしやなども、
抹茶のクオリティにお金をかけすぎているのか、
値段の割に私的には毎回満足度低目。
素材それぞれの品質にはこだわりをもって、
真面目に誠実に京都ならではのあれこれをつぎ込んではいるのですが、
それを統合するセンスに欠けるのが惜しい気がする。
特にいままで食べてきた京都の和パフェには
全部食べきれないものが多かった。
パフェなどというのは、細長いグラスのなかに、
さまざまものが積み重なって、
つぎつぎつぎとスプーンの先で掘り起こされるアンコ、
白玉、わらびもち、栗、寒天、アイスクリーム、わらびもち、抹茶もの、黒蜜、果物などなどが、
その時その時にどれといっしょに口にはいっても、んー、んまいっ!
と思わせる内容要素のセレクトと盛り方がいのち。
味のバラエティと意外な調和の醸すひと匙の至福の連続、
というものを味わわせてくれるのが、パフェの醍醐味というものでしょう。
ちなみに、私が和スイーツとしての妙味に
いつ食べても満足するのは、(京都発ではない)キハチと梅芯庵です。
あずき、抹茶、アイスクリーム、きなこ、わらびもち、コーンフレイクと
のどれをとっても「うん、ちゃんとしてるな」と感じさせる素材、
ピタリと決まった甘味のほどよさ、
そして全体をまとめる構成のセンス。
これは食べ物全体にいえることだけれど
お客にどんな体調のときに食べても美味しいと思わせるのは
並大抵の力じゃない。
朝起きてまず食べるのは、
富沢商店の「特選こしあん」を龍泉洞の水でゆるめた「あんこソース」を、
やわらかめにつくったサイの目の寒天にかけたもの、というほどあんこLOVE,
かつ乳製品とあんこの相性の良さに陶然とする私は、
京都の和スイーツに、京都発という強力なブランド力とともに、
もう一歩踏み出した精進を、と期待しないではいられないのです。
さて茂庵の和洋融合甘味。
さりげなく白黒のゴマを見た目と風味に活かしつつ、
全体としてすごくいいハーモニーの一皿。
汗も不安も疲れも悩みも・・・・・・
窓外の風雅な風景と、
吹き込む緑の風とともに消えていくのでした。
山頂というと行くのがたいへんそうなイメージですが、
吉田山はこじんまりしているので、
仏像とか国宝とか庭園とかといった人口美を堪能したあとは、
ぜひ京都の豊かな自然美を楽しむために、
吉田山(木々、花、虫)&茂庵というコースをおすすめしたいです。
満足度の高い甘いものですっかり元気をとりもどした私たちは、
明日のルートなどを確かめつつ、山を下りました。
はや夕暮れ。
ヤスデの魅力をみんなに伝えるための準備とか、スクリーンを借りてくるとか、
まだまだあすのために準備がたくさん残っている池内さんと別れ、
四条烏丸のホテルへ向かいました。
甘いものの話につい力がはいり、
虫目はどうした?といわれそうな、寄り道気味の1日目の報告でしたが、
次はいよいよイベント当日の様子を盛りだくさんにお伝えしま~す。