鈴木海花の「虫目で歩けば」

自然のディテールの美しさ、面白さを見つける「虫目」で見た、
身近な虫や植物の観察や飼育の記録。

夢よ、もういちど

2012-07-04 22:32:52 | 日記
                   
                       オオトラフコガネの黒っぽい個体。6月の裏高尾にて。
 



 数年来の念願かなって、やっと見つけたオオトラフコガネにもう一度会いたい!と
翌週も裏高尾に出かけました。

 でも・・・・・・先々週見つけたいくつかの場所をくまなく探したのですが、
一頭も見つからず。
たった一週間のうちに、姿を消してしまっていました。
ああ、また会えるのは来年か・・・・・・・。

 オオトラフコガネの魅力って―
それは隅から隅まで、どっこも手抜きしていない感、といったらいいか、
職人さんが意匠をこらして丹精してつくりあげた工芸品のような
手の込んだ外見です。





顔は、こんな。



 オオトラフはもう見つからなかったけれど(どこへ行っちゃったんだろう?)、
ここ2週間くらいは虫が濃く、たくさんの虫が見られました。





これも見つけるとうれしいヒメアシナガコガネ。







 きょうは昼蛾がたくさん。

シロテンツマキリアツバ。



ミヤマキベリホソバか?



ヒロオビトンボエダシャク?



ヒトツメカギバ。



しぶーい装いはツトガの仲間。



スカシノメイガ。




交尾するギンモンカギバ。




キベリネズミホソバ。




ウスキツバメエダシャク。



おお! ジャコウアゲハに擬態しているというアゲハモドキ。
姿は似ているものの、飛び方がぜんぜんアゲハとは違うので、すぐにわかった。



ちっちゃくてもこっとしているアカイラガ。
以前見た幼虫はグミキャンディみたいだった。




そして、林道の針葉樹の幹に大発生したクスサンが!



「白髪太郎」の異名のとおり、青みを帯びた長い白髪がふわふわ、陽に輝いていた。
10センチ近くある。



道には脱皮殻やハイカーに踏まれてつぶれちゃったもの多数。



木の枝には、乱れ編みみたいな風雅な趣のある繭殻も。

成虫は開長10センチという大型の蛾。
クスサンって、いい名前だなあ。
クスの木につくから楠蚕。
語感に、いかにも深山に棲むっていう感じの静謐感があって。

 クスサンを見ていたら、久しぶりに篠田節子の処女作、『絹の変容』を読みたくなってきた。
虹のような神秘的な輝きをもつ幻の野蚕を、バイオテクノロジーで増やす女性研究家の話。





林道に沿って、サワサワと涼しげな音で流れる渓流がひやっとする風を送ってくる。
まさに天然クーラー。




流れるようなフォルムの、フタスジモンカゲロウ。




マルウンカ。



上にも下にもヒメツノカメムシ。



平地では、もうオトシブミの姿はほとんどみないが、
ここではまだ葉を巻く姿が。
これはヒゲナガオトシブミのメスか?



ヒメクロオトシブミ。



ハエだって、負けてない。

ヒラヤマシマバエ。



ハマダラミバエの一種。


眼が薄緑色。




トゲヒゲトラカミキリ。




8センチくらいのナナフシも。



高尾山といえば、ハナイカダ。




チャモンナガカメムシ。



この擂りガラス細工のようなのはアカアシカスミカメというカメムシの仲間。




幼虫もきれいだけれど、
成虫も幾何学模様を思わせる美しさ。



 6月って、いいな。
虫がいっぱい!


 それにしても、いま一番欲しいのは、
生態写真で検索できる蛾の図鑑。
ネットで検索していると、眼玉が干からびてしまう。
やっぱりページを繰って見渡せる紙の図鑑が欲しいのです。
6000種以上といわれる生態写真の蛾の図鑑をつくるのは
一生仕事になるかもしれないけれど、
だれか、つくってー!。