鈴木海花の「虫目で歩けば」

自然のディテールの美しさ、面白さを見つける「虫目」で見た、
身近な虫や植物の観察や飼育の記録。

虫の本、制作中~

2013-03-11 10:30:39 | 日記
竹上妙さん、宇佐美朋子さんと小野路へ。


 6月はじめに出版する書籍―虫テーマの2冊目の本―の制作に追われる毎日です。
5月31日に見本が上がり、6月初旬には書店に並ぶ……という予定ですが、間に合うのか……。
 本のタイトルはまだ絞り切れておらず、サブタイトルは「虫と、虫をめぐる人の話」になりそう。
 このブログに書いてきた日々の観察や、虫の縁で訪ねた人の話など、書籍のためにすべて加筆修正しています。
 2月以来ブログを更新していなかったのも、この間のアサギマダラの飼育記などの話題は書籍に入れようと……出し惜しみしているため。
 
 一昨日は、にわか春陽気に誘われて、小野路へ。
 本に作品を載せさせていただく木版画作家 竹上妙さんと、イラストレーター宇佐美朋子さんと、打ち合わせをかねての虫散策です。
 
 池田清彦さんの本で、小野路でアリスアブの幼虫を掘りだした、というのを読んで以来、 小野路はずっと行ってみたかった場所。なんと竹上さんのフィールドで、虫をテーマのほとんどの作品は小野路の散策から着想した、というのだから、一度はいっしょに歩いてみたかった。

 小野路といっても広大。林道あり、切通しあり、谷戸もいくつもある。
アリスアブは見つけることができなかった(切り通しの土手を掘るのはかなり目立つ行為)けれど、竹上さんにトタテグモの巣を教えてもらった。
トタテグモの巣はずっとみて見たかったもののひとつ。


土手をほじくり返す、マスク姿の怪しい乙女たち。


あ、これです。教えてもらわないと、まず気がつかない。
戸が閉まっている状態。

この上を虫が歩くと……中でじっと息を殺しているクモが、パっと飛び出してくる仕掛けです。

へー、すごい。トタテグモの巣は、入口がこんな風に観音開き仕様になっている。


いくつか見つかったものの、この日はクモはみんなお留守だったのが残念。



 トタテグモは見つからなかったけれど、すぐそばにいたのがアカケダニ!

3ミリもある、蛍光を帯びた鮮やかな赤色のダニです。

 わかってますよ~虫が好きでも、みなさんがダニだけはどうしても嫌だ、と思っているのは。最近は健康被害をもたらすダニも騒がれているし。
でも、人間が被害をこうむるのは、ダニのほんとうにごくごく一部。ほとんどは土のなかで、もくもくと土壌を再生する役目を果たしている。
 シカダニとか、深刻な被害をもたらすダニから身を守るために、せいぜい野外を歩くときには、首のまわりにバンダナとかタオルとか巻くことにしよう。

 アカケダニは、外国ではなんと1センチもあるものもいるとか。
ふっくらとした体形で、ベルベットのような細毛がはえてモコモコしているのがかわいいと、ぬいぐるみになったり、ペットとしても人気があるそう。
この春、赤穂のアース製薬に就職が決まったNさんは、上司へプレゼント(って、せっかく就職が決まったのに……だいじょうぶ?)するために、切り紙師の鍋嶋弘道さんにアカケダニの立体切り紙をオーダーしているらしいです。

アカケダニについては、ダニ学者五箇公一さん(Nさんの上司)のブログで詳しく、面白く紹介されているので、ぜひご覧ください。


 実がなっているから、カメムシがいそう。


やっぱり、いた。アカモンツノカメムシ。



 持ち前の手先の器用さで真剣に材をほじくる宇佐美朋子。虹色のゴミムシダマシが出てきた。








小川のなかのドジョウを捕まえようと身構える竹上妙。


 
 谷戸を見渡せる土手の上でおべんとう。


あー、気持ちいい~

おやつは宇佐美さんお手製の虫クッキー。



 このところの運動不足が一気に解消された、早春の一日でした。

 竹上さん、宇佐美さんの木版画やイラストがどんな風に本を彩ってくれるか、
どうぞ、お楽しみに。