いつもよりケーキをたくさん食べるくらいで、
ちっともクリスマスと関係のない私ですが、
きのうは足立区生物館で、金ぴかのサナギツリーを見て、
ちょっとクリスマス気分を味わいました。
こんなツリーだったら、私もつくるのに挑戦してみたいなあ。
オーナメントは4種類のチョウのサナギだそうです。
この生物園は、ヒカリモノに力を入れているらしく、
週末の午後6時からは「冬のホタル」も見ることができるそうです。
ただ、まだ羽化していないので、光ってはいるけれど、
幼虫なので飛ばないそうです。
実はホタルは卵も幼虫もサナギも、もちろん成虫も、
全ステージで光るんだそうです。光る卵っていうのも、見てみたい。
サナギツリーに見とれた後は、チョウの温室へ。
きょうのお目当てはチョウ園で毎日3時半から行われているという放蝶イベント。
時事ドットコムの昆虫記者氏の記事
http://www.jiji.com/jc/v?p=new-special-hotal0001で読んで、さっそく。
このところ樹皮をめくったり、枯葉をひっくりかえしたり、
といった地味目な虫さがしが続いているので、
たまにはパアーッと華やかなものが見たくなり遠路やってきたのです。
チョウの温室へ一歩はいると・・・・そこは一気に南の国。
開帳10センチ近くある大きなオオゴマダラが、
わっさ、わっさと羽ばたいて、つぎつぎと目の前を飛んでいきます。
薄黄色の地に、細いペンで描かれたような繊細な黒いすじ模様、
胸部には黒地に白い水玉を散らした胴着を来た女王のような気品。
何度見ても、オオゴマダラはチョウ園の女王です!
関東に定着したかと思われるナガサキアゲハも交尾中。
ここで飼育されているチョウは、オオゴマダラ、カラスアゲハ、ジャコウアゲハ、
ナガサキアゲハ、ツマベニチョウ、リュウキュウムラサキ、コノハチョウ、アサギマダラ
などなど、その数約500頭。
温室内は25度くらいあるみたいで、すぐに汗だく。
ん・・・・・・カユッ!
と思ったら蚊に刺された。
大好きなアサギマダラも。
そしてお待ちかねの放蝶タイム。
飼育員のおねえさんが、チョウの入った白いネットをもってあらわれると、
20人くらいの子供たちがわっと押し寄せます。
わたしも負けずに押し寄せました。
後ろには子供たちの父兄がつめかけ、熱気むんむん。
おねえさんはまず、子供たちにチョウはサナギの中で体をすっかりつくりかえて、
羽をもった飛べる成虫になることを話し、
「これから、きょう羽化したチョウをみんなに持ってもらいます。
そのとき、2つお約束がありまーす」と元気な声で説明。
「ひとつは、チョウを持つときは、「チョキ」の手で、
ひとさし指と中指の間にはさむように、もつことです。
それからチョウを持つと手に鱗粉という粉―これはチョウの体をおおっていて、
雨で翅がぬれないようにするとか、
とっても大切な役目をしています―がつくので、
特に毒ではありませんが、手を洗うようにしましょう」
「はーい」。
こどもたちは、早くも手を「チョキ」にして、
おねえさんの方に差し出しています。
「それじゃあ背の順にならんでね。小さい子が前ですよぉ」。
やったあ!
背が小さいことでは人後に落ちない私ですから、
子供たちには負けますが、後ろに詰めている父兄たちのなかでは、
いちばん小さい自信アリ。
子供たちの数はざっと20人、
白いネットのなかにはチョウが30頭以上入っているようなので、
大人にもチョキのチャンスがありそうです。
みんな正しいもち方ができてます。
ところで、私はきょうここに来るまで、
チョウを手に持つことになるとは、まったく思っていませんでした。
ふだんから、観察や飼育をすることはあっても、
できるだけ素手で触れないようにしています。
それはなんといっても、チョウのあの翅とやわらかそうな腹部の、
美しくももろい、こわれそうな感じが、触るのをためらわせるから。
そしてさらに、私がチョウに触れないのは、
強烈にインプットされた、あるイメージによるところもある・・・・・・。
あれは、もう何年も前の、ちょうど今ごろのこと。
上智大学のノンフィクションライティングの講座で、
講師の加藤恭子先生に、一年のお礼に何か受講生たちが贈るということになり、
私がそのプレゼントを選んで用意することになりました。
受講生たちの相談の結果、何か先生が身に着けられるものがいい、
ということになったのですが、
一人の方が「あ、チョウの柄のスカーフとかは、やめた方がいいです」と。
え、それはなぜ?
「先生はチョウがダメなんですって」
加藤先生のお年を感じさせないすぺすべの白い肌に合うような、
きれいなピンク色のマフラーをお贈りしながら、
好奇心を抑えきれず、なぜチョウがダメなのか、
先生にお訊きすると・・・・・・こんな話が。
まだ小学生だった先生は、ある夏、山の別荘で採集したチョウを、
大人に教えられたように三角紙にはさみ、
そして、それを押し入れにいれたまま、すっかり忘れてしまった
2週間以上たったある日、
本を取り出そうと押入れを開けた先生の目の前に・・・・・・・
まるで幽霊のように翅がぼろぼろになったチョウが、ふわーり、と。
生き物を捕まえて、それを忘れてしまった罪悪感と、
そのあまりの無残な姿に、小学生の先生が受けたショックは大きく、
その体験がトラウマとなって、以来、
本物のチョウはもちろん、絵も写真も、
チョウがモチーフにつかわれているものすべてに
恐怖を感じられるようになられたのだそうです。
なにせ、ノンフィクション作家として
大宅壮一賞を受賞された加藤恭子先生です。
その語られる言葉にはすごい力があり、
押入れとチョウの光景はまるで自分が見たことのように強烈に、
私の中に残りました。
足立区生物園ののチョウ園に話をもどすと、
子供たちの後ろに並びながら、
私にはチョウを「チョキ」することにまったくためらいはありませんでしたが、
心の片隅を「押し入れ」がよぎったのも確かです。
でも、「チョキ」してみて、ほんとうに、よかった!
それは、思いもかけなく、触れてみなければわからないチョウの飛ぶ力を、
指のあいだにはっきりと実感することができたからです。
今にも破れてしまいそうな翅のなかに、あんなに強い「飛ぶ力」が潜んでいたとは!
初めての飛翔に向かって、その翅脈のなかにはあふれるように、力がみなぎっているのが、
はっきりと感じられました。
うふふ・・・・・
ところで、チョウを「チョキ」した大人は・・・
私ひとりだけでした。
チョウを持った自分の子供の写真を撮るのに夢中で、
自分でももってみよう、と思った人はいなかったようで。
最後に飼育員のおねえさんが、メスを誘引する匂いを出す「ペンシル」を出している
マルバネルリマダラとういのを見せてくれました。
お尻の先端から出ている黄色いのがペンシル。
まだあまりふつうのチョウ図鑑にも載っていないという沖縄のチョウだそうです。
きれい!
ナガサキアゲハ、ツマグロヒョウモン、アカボシゴマダラなど、
北上してきたチョウも増えていますが、まだ南へ行かなければ見られないチョウも多い。
来年は沖縄かな~
ミカンキンカメムシもニシキキンカメムシも、そろそろ本物を見たくなってきたし。
つかの間の夏を楽しんだ、12月のチョウ園でした。
ちっともクリスマスと関係のない私ですが、
きのうは足立区生物館で、金ぴかのサナギツリーを見て、
ちょっとクリスマス気分を味わいました。
こんなツリーだったら、私もつくるのに挑戦してみたいなあ。
オーナメントは4種類のチョウのサナギだそうです。
この生物園は、ヒカリモノに力を入れているらしく、
週末の午後6時からは「冬のホタル」も見ることができるそうです。
ただ、まだ羽化していないので、光ってはいるけれど、
幼虫なので飛ばないそうです。
実はホタルは卵も幼虫もサナギも、もちろん成虫も、
全ステージで光るんだそうです。光る卵っていうのも、見てみたい。
サナギツリーに見とれた後は、チョウの温室へ。
きょうのお目当てはチョウ園で毎日3時半から行われているという放蝶イベント。
時事ドットコムの昆虫記者氏の記事
http://www.jiji.com/jc/v?p=new-special-hotal0001で読んで、さっそく。
このところ樹皮をめくったり、枯葉をひっくりかえしたり、
といった地味目な虫さがしが続いているので、
たまにはパアーッと華やかなものが見たくなり遠路やってきたのです。
チョウの温室へ一歩はいると・・・・そこは一気に南の国。
開帳10センチ近くある大きなオオゴマダラが、
わっさ、わっさと羽ばたいて、つぎつぎと目の前を飛んでいきます。
薄黄色の地に、細いペンで描かれたような繊細な黒いすじ模様、
胸部には黒地に白い水玉を散らした胴着を来た女王のような気品。
何度見ても、オオゴマダラはチョウ園の女王です!
関東に定着したかと思われるナガサキアゲハも交尾中。
ここで飼育されているチョウは、オオゴマダラ、カラスアゲハ、ジャコウアゲハ、
ナガサキアゲハ、ツマベニチョウ、リュウキュウムラサキ、コノハチョウ、アサギマダラ
などなど、その数約500頭。
温室内は25度くらいあるみたいで、すぐに汗だく。
ん・・・・・・カユッ!
と思ったら蚊に刺された。
大好きなアサギマダラも。
そしてお待ちかねの放蝶タイム。
飼育員のおねえさんが、チョウの入った白いネットをもってあらわれると、
20人くらいの子供たちがわっと押し寄せます。
わたしも負けずに押し寄せました。
後ろには子供たちの父兄がつめかけ、熱気むんむん。
おねえさんはまず、子供たちにチョウはサナギの中で体をすっかりつくりかえて、
羽をもった飛べる成虫になることを話し、
「これから、きょう羽化したチョウをみんなに持ってもらいます。
そのとき、2つお約束がありまーす」と元気な声で説明。
「ひとつは、チョウを持つときは、「チョキ」の手で、
ひとさし指と中指の間にはさむように、もつことです。
それからチョウを持つと手に鱗粉という粉―これはチョウの体をおおっていて、
雨で翅がぬれないようにするとか、
とっても大切な役目をしています―がつくので、
特に毒ではありませんが、手を洗うようにしましょう」
「はーい」。
こどもたちは、早くも手を「チョキ」にして、
おねえさんの方に差し出しています。
「それじゃあ背の順にならんでね。小さい子が前ですよぉ」。
やったあ!
背が小さいことでは人後に落ちない私ですから、
子供たちには負けますが、後ろに詰めている父兄たちのなかでは、
いちばん小さい自信アリ。
子供たちの数はざっと20人、
白いネットのなかにはチョウが30頭以上入っているようなので、
大人にもチョキのチャンスがありそうです。
みんな正しいもち方ができてます。
ところで、私はきょうここに来るまで、
チョウを手に持つことになるとは、まったく思っていませんでした。
ふだんから、観察や飼育をすることはあっても、
できるだけ素手で触れないようにしています。
それはなんといっても、チョウのあの翅とやわらかそうな腹部の、
美しくももろい、こわれそうな感じが、触るのをためらわせるから。
そしてさらに、私がチョウに触れないのは、
強烈にインプットされた、あるイメージによるところもある・・・・・・。
あれは、もう何年も前の、ちょうど今ごろのこと。
上智大学のノンフィクションライティングの講座で、
講師の加藤恭子先生に、一年のお礼に何か受講生たちが贈るということになり、
私がそのプレゼントを選んで用意することになりました。
受講生たちの相談の結果、何か先生が身に着けられるものがいい、
ということになったのですが、
一人の方が「あ、チョウの柄のスカーフとかは、やめた方がいいです」と。
え、それはなぜ?
「先生はチョウがダメなんですって」
加藤先生のお年を感じさせないすぺすべの白い肌に合うような、
きれいなピンク色のマフラーをお贈りしながら、
好奇心を抑えきれず、なぜチョウがダメなのか、
先生にお訊きすると・・・・・・こんな話が。
まだ小学生だった先生は、ある夏、山の別荘で採集したチョウを、
大人に教えられたように三角紙にはさみ、
そして、それを押し入れにいれたまま、すっかり忘れてしまった
2週間以上たったある日、
本を取り出そうと押入れを開けた先生の目の前に・・・・・・・
まるで幽霊のように翅がぼろぼろになったチョウが、ふわーり、と。
生き物を捕まえて、それを忘れてしまった罪悪感と、
そのあまりの無残な姿に、小学生の先生が受けたショックは大きく、
その体験がトラウマとなって、以来、
本物のチョウはもちろん、絵も写真も、
チョウがモチーフにつかわれているものすべてに
恐怖を感じられるようになられたのだそうです。
なにせ、ノンフィクション作家として
大宅壮一賞を受賞された加藤恭子先生です。
その語られる言葉にはすごい力があり、
押入れとチョウの光景はまるで自分が見たことのように強烈に、
私の中に残りました。
足立区生物園ののチョウ園に話をもどすと、
子供たちの後ろに並びながら、
私にはチョウを「チョキ」することにまったくためらいはありませんでしたが、
心の片隅を「押し入れ」がよぎったのも確かです。
でも、「チョキ」してみて、ほんとうに、よかった!
それは、思いもかけなく、触れてみなければわからないチョウの飛ぶ力を、
指のあいだにはっきりと実感することができたからです。
今にも破れてしまいそうな翅のなかに、あんなに強い「飛ぶ力」が潜んでいたとは!
初めての飛翔に向かって、その翅脈のなかにはあふれるように、力がみなぎっているのが、
はっきりと感じられました。
うふふ・・・・・
ところで、チョウを「チョキ」した大人は・・・
私ひとりだけでした。
チョウを持った自分の子供の写真を撮るのに夢中で、
自分でももってみよう、と思った人はいなかったようで。
最後に飼育員のおねえさんが、メスを誘引する匂いを出す「ペンシル」を出している
マルバネルリマダラとういのを見せてくれました。
お尻の先端から出ている黄色いのがペンシル。
まだあまりふつうのチョウ図鑑にも載っていないという沖縄のチョウだそうです。
きれい!
ナガサキアゲハ、ツマグロヒョウモン、アカボシゴマダラなど、
北上してきたチョウも増えていますが、まだ南へ行かなければ見られないチョウも多い。
来年は沖縄かな~
ミカンキンカメムシもニシキキンカメムシも、そろそろ本物を見たくなってきたし。
つかの間の夏を楽しんだ、12月のチョウ園でした。