蝉の声 消えて吹き来る 風は冷え しづかに高き 神の空かな
*今週も、一首も詠めませんでした。苦しいですね。詠みたいのに詠めないのはもどかしい。感性をフル稼働して言葉を組もうとしても、何も浮かんで来ないのです。少し水を向けるだけですらすら詠めていたころが夢のようだ。今はとにかく、この状況に耐えるしかなさそうです。
ゆえに、冒頭の作は5年前に詠んだものです。正確にはわたしが詠んだものではないのですが、この季節にぴったりだと思って取り上げました。
台風が過ぎたら、一気に秋が来たような感じですね。あれほどうるさかった蝉の声ももう聞こえない。風も冷えてきて、見上げれば高い空に神がいらっしゃる。
めぐる季節の約束を、神は決してたがえたりしない。夏の次には必ず秋が来る。当然のようにそうなることが、奇跡のようにすばらしいことなのだ。
神はその約束を守るために、陰でどのような努力をなさっているのだろう。星を動かし、風を動かし、空を動かし、神は常に、すべてのために努力なさっている。それなのにそれを決しててらうことはなさらない。静かに空にいらっしゃって、いつでも見つめていてくださる。
神は遠くにいるものではない。見上げればいつも空にいらっしゃる。わたしたちがすべてをわかるようになるまで、いつまでもそばにいて、わたしたちを育ててくださるのです。
人間はもう、それを感じることができるようになった。空を見れば神を感じ、神のおっしゃることがわかるようになった。ここまで来るまで、神はどんなことを人間のためにやってくださってきたのだろう。
空を見るたび、はるかな思いにとらわれ、胸が静かに澄んでくるのです。